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乙女チックに恋は生まれない。

なんやかんやあったものの、私達の買い物は終わった。

ナナ先輩のお勤めのショップのバックはシンプルだけど細かなところでロゴやモチーフが凝っていて素敵なのだ。

持ってるだけでハイセンス!的な。


色々相談した結果、さや先輩は肘位まで袖があるゆったりしたパーカー、私はノースリーブに近いパーカーで形違いのややお揃いコーデにしてもらった。パーカーの丈はお尻が隠れる位の長さで安心である。

汗じみしにくいうえひんやり素材で、さわり心地も良いのだ。

グレーだからよっぽどひどいシミじゃなければだいたい落ちるよーとのこと。

ネットに入れれば洗濯機洗いできるって素晴らしい。



「付き合ってくれてありがとう。

千佳ちゃんも同じような服装だから安心だわ。」



「こちらこそ楽しかったです!

あ、私は下ショーパンにレギンスにしますけど、さや先輩はジーンズでしたっけ。」



「そうしようかなと思う。

この前ストレッチ素材のやつ安売りでゲットできて良かったわ~

なんだかね、ジャージより楽なのよ。ウエストゴムだから…」



「ゴムは神…」



「しかし、慣れ過ぎるとウエストゴム無しが過酷…」



二人でウエストゴムについて考えてしんみりした。

どうしてこうなった。



「あ、ナナちゃんに教えてもらったプチプラのアイシャドウってどこに売ってるかな?」



「あ、ドラッグストアさっき見ましたよ!戻りますか。」





★★★★★




そんな話をしていた私達は、とある公園に居た。

右手はホワイトエール、左手には串焼きである。



「全国地ビールフェスなんてあったら寄っちゃいますよね。」



「普通のビールは苦手だけど、地ビールとかホワイトエールだと飲めちゃう不思議よね。

あとドイツビールもけっこう美味しいわ。」



私達は地ビールフェスに居た。

いやだって、ドラッグストア行く途中に偶然見付けちゃったから。

お昼ご飯もまだったから、ここで食べちゃおっか~良いですね~となり、無事ホワイトエールと串焼きをゲットしたのだ。

会場からちょい離れた所にあった偶然空いていた木陰のベンチに座り乾杯をする私達。


酒がうまい!

串焼きうまい!!


モグモグごくごくしていると不意に声をかけられた。



「鈴丼、男らしいな。

今日は丼じゃないんだな~」



ややチャラチャラだけど面倒見の良い水卜先輩ことミトサンが立っていた。

太陽を背に立つミトサンを見て、そーいやそこそこかっこいい人だったな…とぼんやり思った。



「ミトサン、私だって串焼きやクレープを食べたりするんですよ。

あとコンビニご飯。最近のコンビニ飯の進化はすさまじいですよ。親子丼めっちゃ好き!!!」



「千佳ちゃん、千佳ちゃん、丼モノに帰化してる。」



「安定の鈴丼だな。」



「水卜センパ~イ!!!

酒とツマミ買ってきましたよ~!!!

って鈴木先輩と穂積先輩!?えっと、こんにちは!!」



はからずも丼ネタでツッコまれる事態になった所に、丹波がやって来た。

何故居るし。



「おー、豆っ子ご苦労!さあ座るか。

鈴丼、穂積さん悪いがベンチ半分貸してくれ。」



「えー!

ぎゅうぎゅうになるじゃないですか。

あっ、丹波はさ、ミトサンの膝に座ればいいよ。」



「膝にのせるのは女子がいい。」



「ワガママ言っちゃいけないですよ、ミトサン。

丹波は顔もいいし、ピッチピチですよ!女子じゃないだけ!!」



「一番見逃しちゃいけない案件だろ!」



ミトサンと私が掛け合いをしている間に、どこからともなく荷物フックを取り出しベンチに取り付けたさや先輩がショッパーを椅子の裏側にかける。優しい。



「じゃあ、私の膝でよければどうぞ~」



「ええっ!!?」



にこにこしながらさや先輩が言う。丹波は狼狽えている。



「では失礼して。」



「よきよき。」



すかさず私がさや先輩の膝に軽く座る。



「お前が座るのかよ!」



ミトサンのツッコミがすかさず入る。



「さや先輩!なんか良い香りする!!」



「え?肉臭い?」



「多分、柔軟剤!!!」



「ずっと使ってると分からないものね~」



なんかテンションが高くなってしまう。

すべては酒のせい。きっと酒のせい。しかし、さや先輩の柔軟剤良い香り。

ここぞとばかりスンスン嗅いでしまう。



「どーどー、千佳ちゃん。

丹波君困ってるわ、遠慮せず座ってね。

ほら千佳ちゃんも戻って。」



「はーい。」



「お邪魔します!」



「穂積さんどうもありがとう。」



さや先輩、私、ミトサン、丹波の順に座る。

はたから見るとカップルにも見えなくもないかもしれない。

ミトサンと丹波が。



「あっ、水卜先輩お釣りです。ゴチになります!」



「えー!ミトサン私にもおごってくれても良いんですよ!」



「新人時代けっこう奢ってやったと思うが…?」



「その節はありがとうございました。

それにしてもミトサンと丹波はお出掛けするくらい仲良しなんですね。いつの間に。」



「学生の頃、豆っ子のサッカークラブのコーチ手伝いみたいなことしててそこそこ仲良かったんだよ。

しばらく音信不通だったのが会社で再会したんだよな。」



「運命の出会いですね。恋とか芽生えなかったんですか?」



「芽生えるかつーの!

しばらく彼女は居ないけど、だからって豆っ子はないな。

それだったらまだ鈴丼の方が…いや、無理ですごめんなさい。」



「告白してもいないのに振られた!不本意!!

謝罪と賠償を要求する!!唐揚げさんをいただく!!!」



傷心の私は素早くミトサンの唐揚げを奪う。



「美味しい!!

さや先輩、次は唐揚げにしましょ…って大丈夫ですか?」



さや先輩は声を出さずに笑っていて、酸欠寸前だった。

なんかミトサンと私のやり取りが面白かったみたい。









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