その存在が奇跡!
「さや先輩!遅延してすいません!!」
「良いのよ、さほど遅れてないし。」
今日は土曜日!
昨夜、さや先輩とお買い物の約束をして意気揚々と待ち合わせ場所へと向かった…のだけど、電車が遅延してしまい少し遅れてしまった。
めっちゃ焦った…
「じゃあ、行きましょうか。」
「はい!」
件の美少女系のお友達のショップ店員さんに会えるのが楽しみである。
「さや先輩、今日の服装かわいいですね~。
すごく似合ってます!」
「え、あ、ありがとう。
これも友達の見立てなの。千佳ちゃんも似合っていて素敵よ。
髪もまいて、爪も可愛い!」
今日のさや先輩はリネン系のレースブラウスにロングスカート、薄手のカーデガンである。
髪もゆるい編み込みをしてアップにしているし、会社ではお互い必要最低限の化粧だか今日は素敵にメイクアップしている。
私は黒のノースリーブのレースブラウスにジーンズ、ヒールのあるサンダルだ。
ロングの髪はヘアアイロンで念入りに今日は巻いてみた。
そして、爪は今の最推しのツートンカラーである。
手の爪はさすがにできないので、ペディキュアだ。
さや先輩とお出掛けなので気合いを入れてみた。ツケマもバッチリつけた。
BLに目覚める前は、ギャルよりの格好を好んでいた為かやや名残が残ってるのだ。いや、でも前はもっとガッツリ重ね付けとかしてたし、アイライナーとかも激しかったので、社会人になってからだいぶ大人しくなったと思う。
「へへ、ありがとうございます!
では今日はよろしくお願いします!」
「ふふ、それじゃあ行きましょうか。」
こうして、さや先輩と私はお店に向かったのだった。
★★★★★
「いらっしゃいませ!
あっ!さーたん!!!いらっしゃい!待ってたよ~」
素敵なショップには素敵な店員さんが居た。
えっ、妖精さんかと本気で思ったんですけど。なんかエフェクトかかって見えるんてすけど!!!!!
ボブの艶やかな髪色はミルクティー色。
自前の長い睫毛にヘーゼルの瞳、白い陶器のような肌、そして華奢でほっそりとした長い手足。
カラフルな服を着ているが、それすら着こなしている。
さや先輩と同じ歳だと聞いていたが、私より年下に見えるんですが。なんなんですか。
さや先輩に抱きついて歓迎してる姿は、姉と美しすぎる妹にしか見えない。
毛穴無いんですけど。
なんだこれ、二次元か?!
会社で美形耐性ついたと思ったけど間違いでした。
最近の美形ツートップは富久山と綾城さんだったけど、塗り替えられたよ、こりゃ。
さや先輩のお友達さんと綾城さんがツートップだわ。
「ナナちゃん、頬スリスリはやめて…ファンデついちゃうよというか私が貴方の陶器肌に耐えられない。」
「さーたん!お化粧はおおむね合格だけどアイシャドウが冬のままよ!
プチプラでいいから新しいの入れなさいっていつも言ってるじゃないの!」
「えー…でもワンコインもしくはそれ以下にプラス何円か足せば漫画か小説か雑誌買えるじゃない。」
分かる…!!!!!!
お洒落も大事だけど、自分を着飾るか推しに貢ぐかだったら推しになるよね。だよね。
「もー!
後でワンコインしないやつ教えてあげるから、絶対買って。」
「分かったわ…はぁ…
あっ、千佳ちゃん紹介するね。
学生時代の同級生。滑川 七瀬。
ナナちゃん、こちらは会社の後輩の鈴木 千佳ちゃん。趣味もあって頼りになるのよ。」
「こんにちは!鈴ちゃん!!
私も好きに呼ぶから、鈴ちゃんも好きに呼んでね!!」
「えっ、あっ、フェアリーさんよろしくお願いします!」
「「それはないわ。」」
私渾身のあだ名はさや先輩とフェアリーさんに速攻で拒否された。
解せぬ…!!!
結局…フェアリーさんのあだ名はナナ先輩になったのだった。