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誰かのためになら戦えるのです。

「沈黙は肯定ですよ。」



ミトサンが怖い位の笑顔で念押しする。

ショック受けたような顔をしてるけど、本気で分かってなかったのか。俺様は案外打たれ弱かったんだねぇ。

しみじみして気が抜けたのがいけなかった。



きゅうぐるぐるぐるぐるぐる~



私のお腹が鳴った。

カーッと顔が赤くなるのがわかる。は、恥ずかしい…!!



「今から千佳ちゃんと水卜さんと中華を食べに行きます。

ついてくる気があるのであればそこで話をうかがいます。」



さや先輩が水卜さんの背から顔を出して告げると、俺様樋口部長は力なく了承したのだった。

えー、来なくてもいいんですけど。あー、でもミトサンが居てくれた方が安心できるから仕方がないか。



『鈴丼、店入ったら俺が樋口を壁際席にして座るから、申し訳ないが樋口の正面座ってくれるか?』



私とさや先輩が並んで、その後ろにミトサン、最後尾に樋口部長の順で歩いているとミトサンからメッセージが送られてくる。

さすがだ!

さや先輩の為ならば、奴の正面にだって座ってやりますよ!

すぐさま了解でーすスタンプを押したのだった。




★★★★★




中華屋は珍しく空いていた。

奥の四人がけのテーブルに案内されエビチリと麻婆豆腐、あと青椒肉絲にライスセット4つをつけてもらった。

楽しみである。私のお腹の音は定期的にきてれつな音を奏でて自分でも何故かわからない状態だ。

はじめはいちいち吹き出していたさや先輩も段々となれてきている。

もうどうにでもなれ。



「それで、お話とは。」



さや先輩が切り出す。なんか私の方が緊張してきた!



「穂積、先週は申し訳なかった。」



おっと、謝罪から入ったよ!この人、謝れたんだなぁ。ん?前もそんなことを思ったような…あ!バーベキュー参加偽装事件の時か。



「冷房が強い事による弊害に気付いて居なかった。

あそこまで冷えるとは思わず…無理をさせ過ぎてしまったことを謝罪する。」



「今日になって謝る気になった経緯をご説明下さい。」



淡々とさや先輩が返す。そのタイミングで、ぐぎゅる~と私の腹の音が合いの手を打つ。やめて!私のお腹!!



「午前中、緊急の会議があった。

そこで穂積の件と、うちの服装規定について話が出た。俺の中で正直それほど重要視していなかった問題だったが…社長に直々に仕事の成果をあげるにはきちんと部下をみて、適切な対応をとれと助言されてだな…その、申し訳なかった。」



軽く頭を下げる樋口部長。この人、頭を下げるってことできるんだなぁ。意外。

くきゅ~る、と私の腹の音も申しております。

あとさ、それ助言じゃなく叱られたんじゃね?



「そうですか。謝罪は受け入れます。

ただし…こちらの鈴木さんに対して同じ様に酷いことをこれ以上するのであれば人事に話をします。

適切な対応をしていないのは確かです。

富久山君に対して真綿でくるむように優しく接してほしいと望むのであれば、鈴木さんを指導役からはずしてあげてください。

樋口部長、最近他の人に頼めば良いコピーをわざわざ富久山君に頼んで、よく話し込んでますよね?

富久山君は正直まだ手際が良いとは言えません。そのせいで作業が遅れて、鈴木さんが昼休み返上して机にかじりついて仕事をこなしたり、残業するはめになっていることご存知ですか?

それに服装規定云々を守っていないのは高橋君と富久山君だけです。全員の問題のように言うのはやめてもらえませんか?ちゃんと真っ当にみんな守ってますよ。」



「真綿でくるむようになどしているつもりは…」



「全く違いますよ。他の人と。」



きっぱりと言いきるさや先輩。

かっこいい…さや先輩は自分事はおなざりにしがちだけど、他のメンバーが絡むと全力で助けてくれたり立ち向かってくれる。

普通そんなにできないですよ。

だから、私達もなにか返したいし助けたいと思うのにそうされてくれないさや先輩クオリティー!!

なのでそれをぶち壊してくれるミトサンには感謝してますよ。



「それは他から見ても感じることだ。樋口部長。」



会社を出てから一言も喋っていなかったミトサンが口を開いた。








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