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殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる  作者: ELDIAN
大陸の覇者の没落 ー辺境の地の帝国の来訪編ー
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今更外伝シリーズ3:レイハロの動向(1)

 今回は作中にて全く書かれていない(作者の単なるミス)レイハロの動向についてです。みなさんが喉から手が出るほど渇望するシーンの1つだと思いますが……はてさて。結果はどうなるやら。

*この話は現在改稿中のストーリーに沿って書いたものなので、現在半数以上残存する旧ストーリーとはかなりキャラの考え等が異なるかと思われます。はっきり言えば”別物”としてお読みください。


 あ、そうだそうだ……。新第6話は既に改稿済みなのでもぜひご覧ください!

______


 エルディアン連邦南部沖100キロにて半ば漂流状態に置かれていた亡国カイス王国の王レイハロとその一行。彼らはエルディアン連邦の第29領海警備隊所属の真っ赤で、かつ巨大な船に彼らの住む本土まで曳航されている。


 『『…………』』


 そして、曳航される側である旧カイス王国の王族・首脳らは、彼らの乗る王国一の巨船、セバスティーヤ号の最上甲板で、開いた口が閉じないままその巨大な船の後ろ姿を見つめている。

 王国であれば小型船数隻を用いてやっと曳航できるような、豪華絢爛(ごうかけんらん)且つ船速増進魔法を用い、かなりの速度で航行できる王国一の巨船、セバスティーヤ号をたった一隻……。それも帆らしいものが存在しない巨大な船で——恐らくは、内部になんらかの機関が……恐らくは魔式機関か、科式機関が存在するのだろう——軽々と曳航するエルディアン連邦の国力に、畏怖と興味。その両方が彼らの脳内に同時に脳内に湧き出ていた。


 (これだけ巨大な船……ダーダネルス帝国敗北の報は本当なのかもしれんな……)


 げっそりとやせ細った齢30のレイハロは、静かに、考えを膨らませる。

 ——と、ここで一旦話は置いておいて、余談としてカイス王国がどのような国だったかを話しておこう。

 カイス王国は、初代王カイス・スーザの名前を持つ王国。国教リベリア教に基づいて考えるのであれば全能神リベリアが生み出したとされる世界構成大15大陸の1つ、グラタニア大陸の海岸沿いに存在”した”。

 そこはなぜだか知らないが付近沿岸に魚礁が豊富にあり、恐らくは何か栄養のようなものがよく貯まるのだろうか。それを捕食するために小さな魚類が。それを捕食するために大きな魚類・海竜類が。それを捕食するために……といった具合で、グラタニア大陸東部近海に住まう魚類・海竜類が大抵揃っていた。

 大陸中部に存在することから航海中継地点としてもかなりの評判を博し、更に内陸国家に向けた魚類・海竜類の肉・成体等々の交易、またここでしか獲ることのできない高級・希少生物を買い求める商人らの一大貿易国家として数ヶ月まで栄えていた。


 ————そう。数ヶ月までは。


 だがその平穏も、やがて滅び去った。ダーダネルス帝国は、母国をたった数週間で奪い取った。きっと、今頃は……。


 「……王よ。顔色が優れませぬが……大丈夫でございますか?」


 そこでレイハロの思考を遮るように側近の一人、初老のコローナが心配げな表情で声掛けする。

 コローナは、レイハロの幼少期から側近の一人として仕える一人で、今や護衛の兵を除けば数える程しかいない懐かしの臣下の一人。彼とはレイハロからすれば”ある仕事”をした仲でもある。


 「いや、何……大丈夫……だ」


 「でしたらよろしいのですが……」


 彼らの助けがあればダーダネルス帝国から母国を解放できるかもしれない……いや、本当に、そうしてみせる。すでに後戻りはできない。今や、このグラタニア大陸の殆ど半分がダーダネルス帝国(革命分子)の手に落ちている。今や頼れるのはここか、あの帝国(・・・・)だけだ。

 レイハロは、覚悟を決めて本土到着(その時)を待つ。



 _数時間後



 場所は旧メキシコ領アカプルコ。かつて観光業が栄え、やがて蔓延した凶悪犯罪。そして、環境破壊による海面高度上昇等々により水没。完全に見る目も無くなったそこ。現在は夕日に照らされ美しい景色と、立ち並ぶ無数の廃墟化したビル・ホテル群の奇妙な組み合わせのみが存在する。

 ここは今現在、主にエルディアン連邦沿岸警備隊の人員等々が日々過ごす数個の宿舎と、小さな司令部。そして、エルディアン連邦沿岸警備アカプルコ方面隊のヘリポートが併設された基地として利用されている。

 既に使われていないとはいえ、そこはかつて観光地だった場所。沿岸警備隊に曳航され、基地の波止場へと誘導、接舷されついにエルディアン連邦本土の土を踏んだ彼ら。

 沿岸部にずらっと立ち並ぶビル・ホテル群は、廃墟であるとしてもレイハロ一行に与える衝撃は十分なものだった。


 「こ……こんなものを……彼らは作ってしまうのか……」


 グラタニア大陸にある数多の国々でも建設を成し得ないであろうそびえ立つ数々の巨大な建造物。

 大きな建造物として、見たことがあるといえば闘技場や王城程度。それに負けず劣らずの規模を誇る建造物が幾つも立ち並ぶことに、レイハロも、その配下も言葉を失う。


 「これは……是非ともこれら建造物……?の建築技術を学びたいですな……」


 コローナは、重々しい口調でレイハロに対しそう告げる。


 「あぁ……彼らの技術を使えば、きっと……」


 レイハロは、ほとんど確信を得たかのような表情でそう言った。


 「——おや、彼らがこちらに向かってきておりますな」


 コローナはレイハロにそう言うと、レイハロの後ろ……港湾施設の四角い箱のような建物から数名の青い服を着た者たちを指差す。

 彼らはまっすぐとこちらへと向かってくると、相手方の代表者らしき者——若干背が低く、白い肌をした——が、自己紹介する。


 「どうも、エルディアン連邦沿岸警備アカプルコ方面隊の基地長、ルーサです。レイハロさん、以後お見知り置きを」


 「こ、こちらこそよろしく頼む……」


 なんちゃら基地長のルーサという者はそういうと、そっと右手を前に差し出す。

 確かこの動作は——。


 (——”握手”、か)


 カイス王国にあった文化の一つ、”握手”。起源はよくわかっていないが、それは確かな挨拶、気持ちや喜びの共有と言った意味で存在し、それはやがてこのグラタニア大陸全国家共有の文化として根付いた……とされている。

 若干カイス王国の事が脳内にフラッシュバックするが、レイハロは何事もないように装ってそっとルーサと握手をする。

 それに続き、ルーサはカイス王国の者達とあらかた握手を終えたことを確認すると、今後の予定について話す。


 「さて、挨拶が終わったことですが……皆様方には本日はここでお泊まりいただき、明日、首都までお送りする手筈となっています。宿舎はすでにご用意させていただきましたので、本日はどうぞごゆっくりお休みください——————」


 「……質問、よろしいかな?」


 今後の予定を一通り聞き終えた後、コローナが代表としてルーサに、ある質問を投げかける。


 「はい、構いませんよ」


 コローナは質問の内容……背後にそびえる——王族・首脳部(彼ら)から見れば王国一の巨船、沿岸警備隊(彼ら)から見れば古き良き骨董品——セバスティーヤ号を指差す。


 「あれは……」


 コローナの考えを汲み取ったのか、ルーサは『心配しないでください』と言う。

 彼は自信満々でそう答えたが、見た感じでは特に作業らしい作業はされていない……ように見えたその直後、変化が訪れる。


 「——ん?」


 王族・首脳部の誰かが声を上げる。一体なんだとその声が上がった方向を見ると、そこには波止場に横付けされたセバスティーヤ号。

 青い服を着た者達が数人がかりでそれの舫綱(船を繫ぎ止めるためのロープ)を片付けると、そのすぐそばに頭と同じ程の大きさで、銀一色に塗られた——確実に、撒き餌ではない——『何か』を持った、他とは違う(オレンジ)色の服を身にまとう十数名が歩み寄る。そして、手に抱えていたそれらを突如、海へと放り投げた。


 「……あれは……何をしておられるのですか?」


 コローナは、疑問げな表情を浮かべてルーサに彼らの行動を尋ねる。


 「あぁ、あれですか。あれはですね——」


 ルーサが彼らの行動を説明をするよりも早く、目に見える形でそれの意味が示される。


 ギィィ…………


 「……ん?」


 今一瞬……セバスティーリャ号が、動いた?

 いや……そんなまさか。今は無風。波も穏やかと見える。だとしたら……さっきのは一体……。

 他の者達も気付いたのだろう。彼らの注意の対象が一斉にセバスティーヤ号に移される。

 彼らは呆気にとられた顔のルーサを御構い無しに、じっと、疑い深い目でセバスティーヤ号を見つめる。


 ギィィィィィ………………


 「う、う、う……」


 『『動いたッ!!??』』


 動いた。今も右側へと、ゆっくりとスライドするように動いている。


 「ル、ルーサ殿ッ!あれは……あれは一体どうなっているのですかッ!?」


 コローナは悲鳴にも似た声で、セバスティーヤ号が動き出している理由をルーサに問う。


 「まさか大型海棲生物じゃ……」


 「——大型海棲生物に関しては存じ上げませんが……。『SSAATD』による船舶移動中の様子ですね」


 「え、えすえすえーえーてぃーでぃー……?」


 聞き慣れない単語に、コローナ一同は困惑した表情をする。


 「簡単に言えば……船を移動させる機械——ですね」


 「は、はぁ……」


 コローナ一行は理解したのか、理解していないのかわからない声を漏らす。


 「皆様方の乗られた船はあのまま船舶係留所まで移送しますので、どうぞご心配なさらないでください」


 彼の言うことはつまり『船は保管しておくからその点に関して心配せず悠々と王都へと行ってね』と言うことなのだろう。

 ……それならお言葉に甘えさせてもらう他ない。


 「——さて、皆様。そろそろ宿舎まで移動しましょうか」


 「そ、そうだな……」


 彼らは色々疑問に思うことがあったが、それよりも今は彼らの体に重くのしかかる長旅。そして、このエルディアン連邦(魔境)での驚きの数々での疲労を回復すべく、ひとまず先に彼らにあてがわれたと言う宿舎に向かうことにした。


 ______

 うーん……話が100年後のブツなのにAI関連のことすっかり忘れてて禿げそう。あと今回半ば強引に終わっちゃってるけど許してほしいんです!ネタが思いつかなかった!なんでもしますから許して!(なんでもするとは言っていない)

 ……どうせだから3話に分けて(首都到着までとその後、大統領との会談〜〜までが範囲)投稿することにした!(ゲス顔)


 セバスティーリャ号

 こちらの世界(別世界)では明確な区分等はないが、地球で言えばガレオン船とされる種類。こちらの世界(別世界)において海に生息する大型肉食・凶暴性海棲生物との戦闘・もしくは、それらからの逃走を図るために大まかには『重武装・鈍足型』と、『軽武装・快速型』と言う区分に分けられる。

 彼らが乗って来たのはどちらかと言うと後者で、900トン(地球ではスペイン無敵艦隊の旗艦に相当)と言うかなりの排水量を誇り、外観はスペインのガレオン船に酷似。王族の権威・国家繁栄の象徴として豪華絢爛な装飾が施されている。


 SSAATD

 『Ship Shape Automatic Analysis and Transfer Device』。日本語に訳す所、『船舶形状自動解析・移動装置』。意味も、活用方法もすべてその名前に濃縮される。

 高出力のリチウムイオン電池を、人間の頭骨サイズに格納。機体後部に備え付けられたウォータージェット推進で移動し、移動方向変更にはトルクを用いる。

 利点は小型なこと・船体の微調整に仕えることだが、欠点として単体でも値段が高価なことが挙げられる。……これの制作には、一切合切兵義開発本部の手が加わっていないはずです(おそらくめいびーぷろばぶりー)。


???:1話しか投稿しないなんて言ってない。OK?

???:OK!

バァンッ!

???:グハァッ!

???:     N T W - 2 0 の 2 0 ミ リ 弾 は 正 義 


                            (STAVKA発表)

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