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ライア~誰も知らない物語~  作者: 凛彩 ri-sa
第1章 記憶とペンダント
8/21

8.青い瞳とナナシ村

村長の家で、ミーナの話をします。新たな事実に、驚く村長たちです。

「さてさて。」


 ミーナは3人がけの黄色いソファに座っていた。周りを見渡すと、木彫りのお面や、人形などが飾られている。村長の趣味らしい。窓から温かい風が入り込んで、心地よい。

 ミーナの向かいの肘掛椅子に村長がにこにこしながら座っている。そしてお茶をテーブルに並べたホローがミーナの隣りに腰掛けた。


「ミーナさん、まずはお上がり。俺の庭の茶葉じゃからな。フォッフォ。」

「入れたのはわしじゃよ、村長。」


 自慢げな村長に、すかさずホローが釘を刺した。


「いただきます。」

 ミーナはお茶を飲んだ。ハーブのような香りのたつ、優しい味だった。


「わ、とても美味しい。」

 ミーナの言葉で、二人の老人が満足そうに微笑んだ。


「さてさて、申し遅れたな。俺はこのナナシ村の村長のガバラじゃ。この家には孫と二人で暮らしとるよ。」

 村長は、お茶を飲み干したカップをテーブルに戻した。


「私はミーナと申します。気がついたら森の奥の祠にいました。自分のことさえ、名前以外は思い出せません。この村の人たちも、私のことを知らないようですね。」


 ミーナはカップをぎゅっと握り直した。


「うーむ…。記憶喪失となってしまっているんじゃな。可哀想に。残念じゃが、君のことは見たことがない。まず、俺でさえもミーナさんのように瞳の青い人間に会うことも初めてでね。」


 村長はミーナの目を真っ直ぐに見つめた。


「えっ…」

「この村の者はだいたいわしらのような茶色の瞳じゃな。」

 ホローも頷きながら話す。


「そうですか…」

 誰か人に会えれば、絶対に自分のことを知っている人がいるはず、そう思っていたミーナは俯いてしまった。


「それにしても、よく、あの祠から無事に来られたの。あの辺りももうだいぶウェザー化が進んでいると持ったが。茶獅子がミーナさんに懐いたことにも驚いた。」


「ウェザー化?」


 不思議そうに首を傾げるミーナを見て、村長とホローも驚いた顔を隠せなかった。


「ミーナさん、ウェザー化も忘れてしもうたのか!?」


 二人の反応の大きさに、ミーナも驚きながら答えた。

「はい…わかりません。」

「祠から来る間に、紫色のモヤがかかっている場所がなかったかい?」

 ホローがすぐに尋ねる。


「え…と。特に見ませんでした。」

「そんなはずは…いや。これは。ホロー、すぐに調べよう。村の者にも知らせねば。」

「そうじゃな。今の時間なら教会がいいじゃろ。人と馬を集めよう。」


 ミーナは二人の空気がガラリと変わったのを感じた。そしてホローはすぐに玄関から出ていった。


『ギー…』

 再び、玄関の扉が開き、見た事のある青年が入ってきた。


「じっちゃん、ただいま!今ホロじいが血相変えて出ていったけど…あれ?ミーナ?」

 ソラが驚いていると、

「ソラ、ちょうど良かった。俺は今からホローたちと森へ出る。ミーナさんを頼むぞ。」

 村長も、そう言うとすぐにホローを追いかけた。


「あ、うん…え?」

 ソラは呆気に取られながらミーナの顔を見た。






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