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ライア~誰も知らない物語~  作者: 凛彩 ri-sa
第1章 記憶とペンダント
3/21

3.ロゼの家で

「ん…」


 ミーナが目を覚ますと、そこは家の中だった。ベッドに横になり、布団がかけられている。横をむくと、椅子に座って読書をする老婆と目が合った。


「おや、目覚めたね。気分はどう?水だよ、喉が乾いているでしょう。」


 笑いジワが人の良さを醸し出す老婆が、ゆっくりとコップ1杯の水を差し出した。

 ミーナは体を起こすと、それをすぐに飲み干した。


「ありがとうございます。あのっ。えっと…」


「あなた、村の入口で倒れたのよ。覚えているかい?うちの主人と会ったでしょう?」


「あ、はい。おばあさん、ありがとうございます。私、その…」


 老婆はミーナの隣に座ると、背中をさすり、優しく語りかける。


「落ち着いて。私はロゼ。このナナシ村に住んでいるの。あなたの名前は?主人ったら、よく聴き取れなかったみたいなのよ。」


「ロゼさん、助けてくださって、本当にありがとうございます。私はミーナと申します。2日前、気づいたら森の中の祠にいました。でも、名前以外なにも思い出せないんです…。」


 ミーナは、なるべく落ち着こうと、ゆっくり息をしながら話した。

 ロゼは、ミーナの背中をさすり続けている。


「あらあら。なにも思い出せないだなんて…。辛いでしょうに。あの祠は、何百年も昔に作られたらしいけど…。私もね、詳しくは知らなくてね。とにかく、ここまで無事に来てくれてよかった。」


「あっ!あの。茶色くてツノのある…」


 ミーナが慌てて聞こうとすると、ロゼは微笑んだ。


「茶獅子のことね。大丈夫。この家の外で待ってるわ。滅多に人には懐かないのよ。主人も驚いていたわ。」


「茶獅子…!あの子がここまで乗せてきてくれたんです!」


「まぁ!ますます驚いた!」


 ロゼは立ち上がると、キッチンへ向かった。

 鍋を火にかけると、ミーナを見て微笑んだ。


「お腹がすいたでしょう。野菜でシチューを作ったの。パンもあるわ。」


 ミーナは、ロゼの優しさと、おいしい匂いと、安堵とで、ポロポロと泣き出した。


「っ。すみません…私ほっとして…」


「辛いわよね。今日はうちでゆっくり休んで。主人は村の寄場に泊まってもらうから。明日、村長のところへ行きましょう。」


 ミーナはパンをちぎると、シチューに付けて食べた。

 以前、このようにして食べたような気がした。

 何日ぶりかもわからない食事。

 驚くほど美味しかった。










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