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ドラゴンとの生活

__アニスの弟子になり2年。デシールは15歳になっていた。


相性がよかったのか、この2年間で戦士として見違えるほど成長した。


それと意外にも身長が伸びた。


「案外大きく育ったな」


「うん。でも筋肉がなかなかつかない」


「まぁ、その大剣を普通に扱えるなら合格だろう」


二人は王国を中心に移動しながら、色々な種類の魔物と戦っていた。


「どうだ?あれは倒せそうか」


森の奥に見えるのは、巨大なイノシシのような魔物だった。


「うん。多分大丈夫」


「いつも言っているが、勝負は早めに決めろ。長引かせると面倒だ」


「難しいけど、頑張ってみるよ」


「よし、行って来い」


デシールは大剣を構え魔物と対峙する。


殺意を感じ取った魔物は、彼に突進してきた。


大剣を低く構え、走って来る魔物の勢いを利用し足に一撃を与える。


「くそっ、浅いか」


足を切り落とせていたら勝負がついていた。


しかし足にダメージを負った魔物は、もう逃げられない。


大剣をもう一度構え、今度はこちらから斬りかかる。


……斬りかかる。


………斬りかかる。


…………斬りかかる。


「はぁはぁ……お、終わった……」


「3時間。雑魚に随分時間をかけたな」


「い、いや、強かったでしょ」


「さっさと倒さないからこうなる。まぁ、倒せただけよしとするか」


倒した魔物を食材としてさばいていたアニスは、魔物の牙を持ち帰ろうとするデシールが気になった。


「なにをしている?」


「この魔物は討伐依頼が出ていたんだ。この牙を持ち帰れば報酬がもらえる」


「ふむ、金銭のことも考えているとは偉いな。そうだ、褒美をやろう」


牙を回収し終わり休んでいたデシールに、後ろから抱きつくアニス。


「それ恥ずかしいからやめてよ」


「そう嫌がらないでくれ。私はこれが好きなんだ」


これをやられるとデシールは照れてしまう。今の彼には、アニスの豊満な胸の感触は刺激が強かった。


「もういいでしょ。離れてよ」


「駄目だ。これは君に戦い方を教えるという、私の仕事への報酬みたいなものだ」


「それを言われると何も言えないよ……」


アニスの胸の中で、初めて眠ったあの夜を思い出す。


彼女の体に包まれていると、とても安心するのは今でも変わらない。


「なんだか昔は、アニスがすごくお姉さんっぽく見えた」


「今は違うのか?」


「今もそうだけど、昔の方がそう見えた」


「ドラゴンはあまり年を取らないからな」


「え、そうだったの!?」


デシールは驚いたが納得がいった。アニスは出会った時と見た目が変わっていない。


「そう言えばドラゴンの寿命は人間より長かったっけ。だったら僕の方が先に死んじゃうね」


冗談で言ったデシールのその言葉に、アニスは小さな声で答える。


「不思議だ。それを考えると胸が苦しくなってしまう……」


アニス自身、この感情には戸惑っていた。


「ご、ごめん……」


「いやいい、もう帰ろう」




__夜、2人は魔物の肉で作った料理をおかずに、夕食を食べている。


「美味しい。どんどん料理が上手くなるね」


「君が喜んでくれるから、私も作っていて楽しい」


アニスの料理は野性的な味がする。


熱した石で焼いた肉や、薄めた海水で煮込んだ野菜スープ、手作りの石窯で焼いたパン。


そういう自然のもので作った彼女の料理がとても好きだった。


「そうだアニス、明日王国に行こうと思うんだけどいいかな」


「なぜだ?」


「魔物の討伐依頼は王国からなんだ。報酬をもらいに行かないと」


「なるほど。私も王国は初めてだな。行ってみるか」


デシールは食事を一旦止めて、渋々告げる。


「いや……王国へは一人で行くよ」


「駄目だ」


即答だった。


「王国には多くの人間が居るんだろ?変な女にひっかかったらどうする」


「いや、その心配はないでしょ」


「君が何度、言葉を話す魔物に騙されかけたか……!」


実際そういう魔物はとても狡猾で、彼は何度も騙されそうになった。


これを言われてしまうと言い返せないので、デシールは話をそらす。


「えっと……王国にはもう何年も行ってないけど、僕を知っている人もいる。アニスのことを説明するのが大変だよ」


本当は知り合いに出会って、アニスを恋人だとからかわれるのが面倒だった。


3時間もの説得のうえ、なんとか一人で行く許可をもらえた。




__食事を終えた二人は就寝の準備をしていた。


「デシール、寝るぞ。こっちへ来い」


今も2人は一緒に寝ている。


「えぇ……それもうやめようよ」


「駄目だ。来い。師匠の命令だ」


職権乱用である。


「分かったよ」


そうしていつものように二人は抱き合って寝るのであった。


思春期のデシールにとって、この状況はなかなか辛い。


その上、最近は感情が高ぶったアニスが無意識に甘い言葉をかけてくる。


「君は昔よりずっと男らしくなった……。それになんだかいい匂いがするな。はぁはぁ……な、なんか目が覚めてきたぞ」


彼女は男女の関係について、知識がないままデシールへの好意を日々膨らませていた。


デシールに胸を押し付けながら熱い息を吐くアニス。


もう睡眠どころではない。


「……ん? なんか膝に硬いものが……」


アニスはそれを掴んだ。


「……んっ!? ちょっとまっ!」


掴まれているのはデシールの股にあるものだった。


「これを掴むと君は面白い反応をするんだな……! そ、それになんだか、私も下半身のところに力が入るっ……」


息切れをしながらアニスは頬を紅潮させている。


「デシール、こ、この硬いものはなんなんだ!?」


「人間について調べてるなら、自分で調べればいいでしょ! 僕はもう寝るから!」


そう言って後ろを向いて寝たふりをする。


その晩は乗り切ったものの、アニスが性について書かれた本を買ってくるきっかけとなってしまった。

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