第五話 田辺坂理沙の昼食
第五話 田辺坂理沙の昼食
「やっと午前の授業が終わった~~。お昼ご飯だ~~」
「私、朝購買に行くの忘れてたから、急いで買ってくるよ」
「緒世、混むから気をつけてね」
「イオン達は準備して待ってるね~」
「私のお昼ご飯はいつも通り、弟の作ってくれる愛弟弁当♡」
「愛は本当にいつも通りブラコンだねぇ~」
「ブラコン言うなっ」
「理沙の今日のエs……お昼ご飯は何~?」
「今エサって言おうとしなかった?」
「気のせい気のせい~」
「そうかなあ? 私の今日のお昼ご飯は購買で買い占めてきたメロンパンとコンビニで買ってきた冷やし中華とツナマヨおにぎり3つだよ」
「理沙もいつも通り馬鹿食いだねぇ~」
「馬鹿食いって言うな」
「いつも思うけど、何で理沙ってそんなに食べられるの?」
「んー。二年ぐらい前までは普通の量だったんだけど、だんだん食べても食べてもお腹が減るようになっちゃってさ。太るかもって思ったけど体型はほとんど変わらなくて、どんどん背が大きくなっちゃったんだよね」
「へぇー。てことは昔は今よりちっちゃかったの?」
「うん。中学二年生の春には、160㎝無かったし」
「じゃあ、二年間で10数センチ伸びたのか~」
「そういうことだね。成長期かな?」
「ちょっと遅いけど」
「イオンは小さいから、うらやましいな~」
「(じーっ)確かに」
「そういう小さいじゃない~! どこ見てるの~!」
「でもね。胸が大きいからって得するとは限らないんだよ。たとえば」
「聞きたくない~! どうせ小さいイオンには分からないもん~」
「大きいからって威張るなよ! うちの弟ならどんな巨乳がいても私の方に抱きついてきてくれるに違いないんだから!!」
「「うわ~……」」
「あっ、いや、その、今のは違うから」
「引くよ~。コレだからブラコンは~」
「無いわー。これだからブラコンは……」
「ブラコンていうなっ!!」
「うう~。メロンパンが一個もなかったよ……」
「お帰り、緒世。メロンパンなら一個あげるよ」
「よかったね~」
「話を聞けー!!!」
やせの大食いとはいいますが、痩せている人がとんでもない量の食事をしてると、この人の胃袋は伸縮性のいい素材を使ってるんだなあと勝手に想像しています。