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第三十一話 護木律の聖夜

第三十一話 護木(まもるき)(りつ)の聖夜

「いやー食べたなー」

「やっぱ食べ放題ってのはいいな。……バイトもしてない貧乏学生の財布にはキツいが」

「それにしても田辺坂さんはいつも通りえげつない量食べてたね」

「どこに入るんだろな。冷めてきたり少なくなってきた料理を新しいのと交換しにくる店員さんの表情見てたか? 初めの頃は食べっぷりに驚いてたけど、後半は苦笑いっていうか、むしろちょっと引いてたぞ」

「あと早乙女く……さんも結構食べてたね」

「そうだったか? 矢口にあーんしてたのは目に入ったが」

「うん。主に肉料理とデザート系ばっか食べてたよ」

「……なんつうか、早乙女らしいっちゃ早乙女らしいな」

「あれ? なあイマイチ。あそこにいるのって護木さんじゃない?」

「おっ、確かにあの後ろ姿は護木っぽいな。声かけてみるか。おーい、まもっ」

「(イマイチ、ストップ!)」

「(あん? 何だよ)」

「(護木さんの隣、男いるよ! ほら、あのマスクつけてる人!)」

「(マジか!? あの色恋沙汰とは無縁どころか色恋の方が裸足で逃げてくような女に!?)」

「「(これは、後を追う以外ありえない)」」

『うむ、では次は駅前の繁華街に向かうとするか』

『(コクリ)』

「なんかあの男の方あんまりしゃべんないな」

「護木さん、さっきからショップとか覗いて回ってるね」

『お、これなんか似合うんじゃないか?』

『(コクリ)』

「護木さんが、何だろ帽子かな? 彼氏(?)に似合うかどうか聞いてるね」

「それにしてもあの男、さっきから頷いてばっかで会話してないな。ホントに彼氏か?」

『さて、プレゼントも買ったし、次はどこへ行こうか』

『(ボソボソ)』

『ゲームセンターか。確かにいくべきだな。次はそこにしよう』

「ゲーセンに入ってったし丁度いい。そろそろちょっと声かけてみようぜ」

「そうだな。おーい、護木ー」

「ん? 相間に八張か。どうしたこんなところで。まさかとは思うがクリスマスにかこつけて不純な行為をしでかそうだなんて思ってないだろうな?」

「それはこっちの台詞だよ。護木さんにも彼氏がいるだなんてびっくり仰天だ」

「彼氏? なんだそれは」

「八張、俺だ、即だ。ち゛ょっと゛風邪気味でな、あ゛んま゛り喋ると喉が痛いんだ」

「えっ、即君だったの!?」

「今日は姉弟で街をパトロールしつつ、両親へのプレゼントを買いに来ているのだが、それがどうかしたか?」

「まあうっすらそうだろうなとは思ってたけど。予想を裏切らない、期待の裏切りだね」

毎週一話ずつの投稿を目標に掲げておりながら、なかなか達成できず申し訳ない思いでいっぱいいっぱいです。

ところでゴールデンウィークも終わり、連休から日常へと戻ることで生じるやるせなさのことを一般に「五月病」と呼称したりするそうですが、この単語今年はあんまり聞かないような気がします。私だけでしょうか。

ゴールデンウィーク中や明けてすぐにあれやこれやの事件があって、そんなこと言ってる場合じゃなかったり、そもそも今年の連休って微妙だったりして、連休中と日常との落差が少ないのも理由かもしれません。

私ですか? 土日祝日合わせて、八日間は休みが確保されているはずだったのに、実際家で休養したりレジャーに出かけたりできたのは、そのうちたった四日間だけでした。なにがゴールデンかと政府の役人を小一時間説教したいですね。

私も将来都知事になって、税金でハワイにでも行ってみようかな。

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