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第十八話 護木即の指導

第十八話 護木(まもるき)(そく)の指導

「うあうあ、何とか間にあっ」

「てない。遅刻だ」

「ま、護木君、メリークリスマス?」

「一日早いぞ。今日は12月23日だ」

「折角慌てて走ってきたのに、また遅刻かー」

「通算、これで19回目だな。三田、慌てて来るくらいならもっと早く家を出る努力をしたらどうなんだ」

「またしても腕時計が止まってたんだ……。買い換えた方がいいのかな……?」

「是非そうしろ。次に遅刻したら、反省文を書いて提出して貰うからな」

「善処するよ」

「おい、三田十字。また遅刻したのか」

「え、えっと……?」

「即、三田十字が二度と遅刻しないよう、指導するのは同じクラスの貴様の責務であろう。何をやっているのだ」

「すまない」

「あ、あの……?」

「すまない、で済むか馬鹿者。風紀を守り、良い学校作りをするのが我々風紀委員なのだ。したがって遅刻者は極限まで減らし、全生徒が爽やかな朝を迎えるように努力するのだ」

「分かってるよ、姉さん」

「姉さん!?」

「なんだ三田十字、五月蝿いぞ」

「えっ、護木君この人、君のお姉さんなの?」

「? そうだが? 俺の双子の姉、護木律だ。知らなかったのか?」

「う、うん」

「珍しいな、俺達風紀委員の姉弟をまだ知らなかった奴がいるなんて」

「僕は慌てん坊なところがあって、あまり人の話とかよく聞けないから……」

「人の話はしっかりと、一言一句漏らさず聞くことを心がけろ貴様」

「そうか、よく中弐屋さんを相手に叫んでたのは護木君のお姉さんだったのか」

「うちの学校名物、最強の風紀委員護木律 VS 校則違反者 だな」

「勝手に名物にするな。違反者を処罰するのは当然のことだ」

「ここには個性溢れた生徒ばかりいるからな。風紀委員の仕事はキリがない」

「この前も教室で変な話して騒いでた鶴瓶田君と恋能君が指導室に連行されてたね」

「突然教室で喧嘩始める奴もいるしな」

「三田十字、もう遅刻するなよ。もし、次に遅刻した奴は反省文だけでは済まさんからな」

「はい、努力しま」

「――――やっべ、遅刻したー!! まさかまた腕時計が狂ってるとはー!お、十字君メリクリ、メリクリー。ってまだ一日早かったかー。はっはっはー」

「マ、マケル君!! 逃げて!!」

「逃がさん!!!」


第一話の後書きにも書きましたが、作品中の時系列はバラバラです。この第十八話は12月23日の設定です。

なぜ四月上旬にクリスマス前後の話を投稿するのかというと、答えは簡単、この話を最初に作った時がちょうどクリスマス前後だったからです。

このようにしばしば季節のズレた話を投稿することもありますが、気にしないでください。

ところで、漫画などでたまに遅刻を取り締まる風紀委員や生徒会を見かけますが、本人達は朝のホームルームに出席しなくてもいいんですかね?

遅刻者を注意している人たちも、実はホームルームに参加していないというこの矛盾。

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