第十三話 成瀬修斗の悩み
第十三話 成瀬修斗の悩み
「眠い……。朝からこの眠さはハンパないぞ……」
「富家君、また昨日も朝まで晩酌してたの?」
「してないよ。僕はまだ未成年だって」
「おはようっ! 鷹夫君! 大好君!」
「ああ、成瀬君か。おはよーさん」
「おはよ。富家君、その挨拶もおじさんくさいよ」
「どうしたんだい、鷹夫君。朝からこの学校一美しい僕に出会えたというのに元気がないじゃないか」
「逆に朝から成瀬君に会ったゆえに、さらにチョベリバな気分だよ」
「富家君、それは十年以上前の流行語だよ。今では死語の代表格だよ」
「今の流行語は『成瀬△』だよ」
「それも違う。『YESロリータ! NOタッチ!』が正解だよ」
「二人ともそれは自分の中での流行語だろ」
「それにしても鷹夫君も元気がないなんて、奇遇にも僕と一緒だね。誇りに思って良いよ」
「誇りには思えないし、僕はただ眠たいだけなんだけど。てかさっき成瀬君めちゃくちゃ元気にあいさつしてきたよね?」
「どうせ、また『自分の罪に気付いてしまったんだ。……そう、美しさという罪にね!』とかでしょ。美しさといったら今週のM子ちゃん(二次元幼女)の画像の方が一億倍……(ニタリ)」
「携帯の画面を見てニヤニヤするのやめて貰えるかな!? ぞわぁってするよ、ぞわぁって!」
「で、何があったのさ」
「それがね、昨日ある女の子と一緒に星空を見に、向こうの川の河川敷に行ったんだ」
「リア充爆発し(ry」
「確かに、あそこは星がよく見えるって聞くね」
「で、良い雰囲気になってきたから、空を仰ぎながら僕が言ったのさ」
「リア充爆(ry」
「鶴瓶田君うるさいよ。で、何て?」
「『この星空に浮かぶ星々は美しいけど…………僕の美しさには敵わないね』って」
「言っちゃったのか」
「うん。そうしたら、その女の子は冷たい目で僕を一瞥した後、すたすたと僕を置いて帰っちゃったんだ」
「だろうな」
「何が悪かったんだろう……。落ち込むよ」
「幼女じゃなくて、同世代を誘った事じゃない?」
「『僕』のところを『君』にしなかったところじゃないか?」
「それが悪かったのか……。真実を口にしたまでなのに……」
「それか、頭では?」
「富家君、それだね」
ナルシストの語源ともなったギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスは、彼に恋した人や神を振りまくったせいで、自分自身しか愛せなくなる呪いをかけられてしまい、水を飲もうと泉に顔を近づけたところ、そこに映った自らの顔に一目惚れしてそこから動けなくなってしまいます。そのまま彼は死に、彼が死んだ後には水仙が咲いたことから、欧米では水仙のことをナルシスと呼ぶらしいです。
ところで、この話から得られる教訓は「イケメン過ぎると死ぬ」ってことでいいんすかね。




