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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になるには兵士から
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帰還

評価して頂きありがとうございます。

 俺が目を覚ましたのはそれから三日経ってからだった。

 ミリューゼ様の配慮で、馬車に寝かせてもらい、負傷兵と供に運んでもらったのだ。

 王都に帰ってから目を覚まし、兵舎に寝かされていた。


「イッテぇ~」


 体中のあちこちが痛い。

それでも俺は生きている。手も足もどこも無くしていない。


「よっ、良く生きてたな」


 傍らにはランスがいた。毎日お見舞いに来てくれているらしい。


「よう。でっ、首尾はどうだい?」

「お前のお蔭で俺は指揮官を倒せたよ」


 勝鬨が上がったのはランスのお蔭だったらしい。

あのとき魔物を指揮していた男が倒されたことで、戦況が一変して我が国が勝ったのだ。

 ランスは大手柄ということだ。


「やったじゃないか、これで正規兵だな」

「おう。まぁそれはお前もだけどな」

「はっ?俺は無様に黒騎士のやろうにノされただけだぜ?」

「俺もそう思ってたんだけどな。お前はどうやら王女様を護ったことになっているらしいぞ」

「はぁ~?」


 ランスの言葉に俺は耳を疑った。

ミリューセ様を護った?どこでどう間違えばそうなるんだ?俺はランスが敵の指揮官を討つまでの時間稼ぎをしていただけだ。

 向こうの目的が現れたから妨害していただけなのだ。どうしてそうなる。


「まぁ俺にもわからねぇけど。お互い正規兵に成れたんだ。いいじゃねぇか」


 ランスのあっけらかんとした言葉に、考えるのが馬鹿らしくなってくる。


「それもそうだな」

「だろ。まぁまだ正式採用じゃないらしいから、辞令を持った人がそのうちお前のところにも来るんじゃないか?」

「お前のとこにはもう来たのか?」

「おう。俺は下の下、門番からだ」

「いいじゃねぇか。正規兵になったんだからよ。応援してるぜ」

「おう」


 ランスは街の散策に行くと言うので、兵舎を出て行った。

 俺はこれからのことを考えつつ、戦場であったことを振り返る。

 やはり戦場は恐かった。人が死に、自分も死と隣合わせにいるのだ。

 そこで見た光景が頭から離れない。血が手にべっとりとこびり付き、それでも襲ってくる敵をなぎ倒す、あれこそ地獄だった。


「あなたがヨハンさんですか?」


 緑色の髪に眼鏡をかけた無表情な女性に声をかけられた。


「そうです。あなたは?」

「私はミリューゼ様付き、近衛騎士が一人、マルゼリータです」


 六羽ロクヨクのお一人でした。

六羽とは、姫将軍の異名を持つミリューゼ様を護るために作られた女性だけの近衛騎士達のことだ。

 構成人数は6人で、いずれも戦闘、礼儀、教養の三つを兼ね備えている貴族の女性たちだ。

 ゲーム中でも重要な役割をもっており、メインヒロインであるミリューセ様攻略時には障害であったり、お助けキャラであったりと色々活躍してくれる。


「マルゼリータ様?」

 

 名前を反復しながら、目の前にいる美少女について思い出す。確かマルゼリータは魔法を得意としていたはずだ。


「はい。今日はあなたに辞令を持ってきました」

「近衛騎士様直々にですか?」

「そうです。これは姫様からの勅命でもあります」


 勅命という言葉に緊張する。


「本日をもって、あなたを第三魔法師団所属とします」

「はい?」


 俺はあり得ない事例に聞き返した。


「もしかして頭が悪いのかしら、それも耳が悪いの?悪いのは顔だけにしてほしいのだけど」


 聞き返しただけで、物凄く罵られた。


「頭は確かに悪いですが、耳は良いと思います。顔はどうしようもないですが……」

「マトモに応えるということは素直なのかしら?辞令は伝えたわ。ケガが治り次第、魔法師団の方に顔を出しなさい」


 命令口調で辞令を告げたマルゼリータは、要件は済んだとさっさと兵舎を去って行った。


「なんだか、ツンツンした人だな」


 少し疲れもあり、横になってステータスを表示する。


 名 前 ヨハン

 年 齢 14歳

 職 業 冒険者(ランクC)戦士、エリクドリア王国第三魔法師団所属

 レベル 26

 体 力 120/230

 魔 力 30/103

 攻撃力 154

 防御力 218

 俊敏性 204

 知 力 132

 スキル 斧術、3/10、スマッシュ、経験値アップ

 魔 法 ヒール、4/10、ウォーターカッター、3/10

 兵 法 背水の陣


 スキルポイント 30


 なんだか物凄いレベルアップしていた。ステータスもかなりの上昇率だ。

 さらに項目が増えていた。兵法、背水の陣ってことは、必死に戦ったのが認められたのかな。

 嬉しいのはスキルポイント30だな。

スキルが何でも覚えられんじゃね。とりあえず、スキル覧を開けてみる。


 レベルが20を超えたこともあり、覚えられるスキルが増えていた。


 とくに気になるモノはないかと、物色しているとアイテムボックスと鑑定が目についた。

 アイテムボックスはスキルポイントを25消費することで獲得てきる。その代わり、今あるポイントをほとんど使わなくてはならない。

 それに対して、鑑定はスキルポイント15で得られるのだ。

 しかし、悩んで末にアイテムボックスを手に入れた。25ポイント溜める方が大変だろうと判断してのことだ。


「これで、手持ちが軽くなるな」


 とりあえずケガが治ってから出頭だと言っていたから今はゆっくり休ませてもらおう。

 兵舎にいる間は、兵舎お抱えの治療師が健診に来てくれるので、甘えることにした。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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