話し合い、そして……
すみません。少し遅れましたm(__)m
謁見の間を会談の場として、テーブルを設けた。
俺がヨルダン達に対するように座り、左右を重鎮である。リンとサクが固める。
護衛として、チンとオーク族が後ろに控えた。
鳥人族の方は、ヨルダンの他に年老いたフクロウの鳥人と、白い羽を生やした美しい鳥人の女性。最後に黒い羽を持った鳥人の青年の四人でやってきた。
「それではガルガンディア要塞の権利について、王国代表ヨハン・ガルガンディア様と、ガルーダ代表ヨルダン殿の会談を始めたいと思います」
サクの号令と共に互いに頷き合う。
「まず、ガルーダ側から要求をお願いします」
サクの言葉にヨルダンが立ち上がる。
「このような場を頂いたこと、まず礼を言いたい。本来で有れば戦闘になっていたはずだった」
ヨルダンに続き、残りの三人も頭をさげる。
「改めて我々の要求を伝える。本来、このガルガンディアは我らがガルーダ族の土地であった。お返し頂ければありがたい」
ヨルダンの言葉に俺は黙り、サクが代わりに立ち上がる。
「王国側からの要求としては、すでにこの土地は我々王国のモノであり、ガルーダ族の方には申し訳ないが、お返しすることはできません。また、ガルーダ族は共和国では奴隷であったということは、市民権がなく、この王国でも奴隷としての身分になります」
サクの言葉にガルーダ族のモノだけでなく、王国側もどよめく。サクの非情な言葉にガルーダ族のフクロウの老人が立ち上がる。
「発言をよろしいかな?」
「構いません」
「私はガルーダ族、族長の一人でノズと申す。そちらの言い分は勝手な物言いではないだろうか?本来我々は奴隷ではなく、このガルガンディアの地にてガルーダ族という部族として生きてきた。それを勝手な侵略によりこの地を奪われたのだ」
「弱いあなた方が悪いのでは?」
ノズの言葉に対して、サクが弱者だと切って捨てる。
「確かに我々は弱かったかもしれない。だが、この地に戻ってきたからには、我々は死にもの狂いで戦う覚悟はできておる」
ノズの言葉に黒い羽の青年が腰にさげている剣を抜く。
「待て、ブライ」
黒い羽を持つ鳥人を止めたのはヨルダンだった。
「失礼した。しかし、そちらの物言いはあまりではないだろうか?」
ヨルダンはずっと黙っている俺を見る。
「これは王国の見解です」
サクの言葉にヨルダンは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「我々に救いはないのか?」
ヨルダンは沈痛な面持ちで俺に問いかけてくる。
「一つ、手立てがある」
今迄黙っていた俺は、ヨルダンを見つめて言葉を発する。
「手立てとは!!!」
ヨルダンは声を荒げ、俺の言葉にガルーダ族の四人が顔を上げる。
「俺のモノになれ」
俺は笑う。笑って右手を差し出す。
「どういう意味だ!!!」
俺の言葉にヨルダンがテーブルを叩いて立ち上がる。
「そのままの意味だ。王国に行っても、共和国に行っても、ガルーダ族には居場所がない」
俺は事実を突きつける。優しさだけでは、何もできない。
「ならば力で!」
「力で何ができる?」
「お前達を倒して、この地を手に入れる」
「それで?俺達を倒した後も戦い続けるのか?王国から兵が送られ、お前達は一族全てを殺されるまで戦い続けるのか?」
俺の言葉に沈痛な顔をしたヨルダンが黙り込む。
「どうすればよろしいのでしょうか?」
白い羽を持った美しい女性がヨルダンに変わり俺に問いかけてきた。それは助けを求めるような弱々しい声ではなく、はっきりと意思を伝えるだけの強い言葉だった。
「さっき言っただろ。俺のモノになれ」
「あなたのものとはどういう意味ですか?我々を奴隷にするということですか?」
「そうじゃない。改めてこの地に住むために俺の部下になれ」
ヨルダンは、俺に何を求めたのか。より良い決断とは何なのか。俺のためになり、鳥人族のためになり、王国からも認められ、共和国から救う方法、それはこれしかないと思った。
「部下とはどういう意味だ?」
暗い顔をしていたヨルダンが、俺を見据える。覚悟を持った表情に、真面目なヨルダンなりに何かの答えを出そうとしているのだろう。
「そのままの意味だ。俺に雇われ、俺の私兵になり、俺に従え」
それは彼らの誇りを踏みにじる物言いであり、決して平和的な物言いではない。なぜ、俺がそんな言い方をしたのか、それは彼等に考えさせるためだ。
「そんなことができると思うのか!!!」
ヨルダンに変わり、ブライが激昂して立ち上がる。すでに剣を抜いている。その切っ先は俺に向いていた。
「それは決別ととっていいのか?ガルーダの戦士ヨルダン」
ブライの行動に対して、俺はブライを見るのではなく。ヨルダンを見つめる。
「あなたの申し出、受けさせていただきます」
それはヨルダンではなく、ましてや族長だと名乗ったノズでもなかった。白い羽を持った美しい女性が俺を見据え、凛と背筋を伸ばし俺に答えた。
「ガルーダ族が王、ソフィーア・ガルーダの名の下、ヨハン・ガルガンディア様に全て従います」
「ソフィーア様!」
ブライはソフィーアの発言に驚き、持っていた剣をさげた。ブライの反応を見る限り、どうやらガルーダ族の大将はヨルダンではなかったらしい。
「あなたが王?」
「はい。私こそが聖鳥ガルーダの正統なる後継者です」
俺の問いに彼女の答えは明確だった。
「鳥人族は、この日より我が私兵となり、ガルガンディアの市民と認定する。刃向うもの有れば、俺の名の下、戦うことをここに誓おう」
俺の宣言に戸惑いも多く含まれたが、リンや奴隷達は拍手を打ち鳴らし、サクだけは何も言わず、謁見の間を後にした。
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