見知らぬ敵
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それは突然鳴り響いた。ガルガンディアに来て半年が経ったある日、未確認の敵が現れた。打ち鳴らされる銅鑼は敵を表す音に俺は跳び起きた。
「なんだ?何が起きてるんだ?」
早朝に打ち鳴らされた銅鑼の音に、俺は寝ぼけ眼で跳び起きる。
「ヨハン様」
扉の向こうからサクのことが聞こえる。一早く俺の下に駆けつけて来てくれたらしい。
「何があった?」
「未確認ではありますが、敵襲だと思われます。武装した集団がこちらに向かっています」
「どっちからだ?」
「共和国です」
どっちとは方角を意味する。ガルガンディアは四方を森で囲われているが、南には王国があり、北には共和国があった国境沿いだ。
さらに東にはドラゴンが住まう山脈が続き、西にはセリーヌが管理する領地へと続いている。
「宣戦布告か?」
「いえ、何の声明も出されておりません」
「なら、奇襲による見せしめということか?」
「その可能性はあります」
俺の言葉に扉の向こうでサクも思考を巡らせてるようで、黙り込んだ。
「とりあえず主要人物を謁見の間に集めてくれ。俺も用意してすぐに向かう」
「はっ!」
サクの返事を聞いて、すぐに着替えに入る。ローブと斧はすぐに装備できるようにベッドの脇に置いていた。すぐに装備を終えて謁見の間へ目指す。
すでに銅鑼が鳴っていることで、砦内は騒がしくなっていた。
「よくこんな早朝から集まってくれた」
謁見の間に入ると、すでに主要メンバーが揃っていた。俺は中央の椅子に座り、並んだ顔ぶれを見渡す。
俺の横にはサクとリンが左右に立ち、右側にはゴブリン族のガルガンディア代表チン、他の二人は外に作ったゴブリンの村にいるのだ。
チンに続き、オーク族のバイドとギン。グーゴは物見やぐらの管理を任せている。ウィッチ族のメイド隊も並んでいた。
左側にはシェーラが弓を携え、いつでも戦える準備を整えていた。
その横には露店商から出世した。ガルガンディア地方商人ギルド幹部のウイ夫妻が並ぶ。
リンの家族は来てないようだが、現在この都市の主となっている者達が集まっていた。
「状況説明を頼む」
俺の声にサクが一歩進みでる。
「まだ未確認ですが、武装した集団がこちらに向かっていると報告がありました。今は敵とみなして考えます」
サクが全員を見渡す。誰も反論する者がいなかったので、サクはそのまま話を続けた。
「敵の数はおよそ500。朝靄があり正確な確認はとれていませんが、それぐらいだろうと物見から連絡がきています」
銅鑼を鳴らしたのは外に作ったゴブリンの村から来た者だった。
ゴブリンの村は二つ存在し、一つは共和国の監視用に、もう一つはセリーヌとの国境沿いに作らせている。
「トンの方からということは数字は正確そうだな」
共和国との国境に村を作ったトンは、文字と数字に強いので、500という数字はかけ離れたものではないだろうと予想される。
「それで、どこのバカだ?こんな朝早くから攻めてきたのは?」
共和国が滅んだことは、すでに王国中の誰もが知っている。
帝国はその整備のため、王国への進軍はまだ行われないことも分かっている。
何より共和国でまだ抵抗しているエルフ族やドワーフ族がいるとも聞いているのだ。
「どこの勢力かは不明です。ですが、数が問題です。こちらにはゴブリンたちを集めても150人しかいません」
そうなのだ。非戦闘員を足したとしても200が良いところだ。5万人は収容できるはずの大規模な要塞を足った200で管理しているのだ。
「籠城したとしても全てを補うだけの兵力がないぞ」
「はい。ガルガンディアは常に人出不足ですから」
サクの言葉にため息が漏れる。人材に関しては質を取るために、一年の余裕があるからと悠長に構えすぎた。
「策はあるのか?」
「正直相手の目的や所属が分からなければなんとも言えません」
サクも今回ばかりはお手上げてのようで、どうしたものかと頭を捻る。
「はぁ~500か……とりあえず、俺が偵察にいくか」
「領主自らですか?」
俺の言葉に心配そうな顔をするもの、やっぱりかと呆れたような顔をすものなど様々だった。
「私も付き合う」
そんな俺の発言にシェーラが賛同した。
「僭越ながら私も」
リンも手を上げるが、人数が多くなっても足でまといになってしまう。
「とりあえずは相手の正体を掴もう。俺とシェーラで偵察に出る。リンはガルガンディアの指揮を頼む。補佐はサクがする」
俺の言葉に一瞬リンが暗くなる。しかし、すぐに表情を立て直し、しっかりと頷いた。
「わかりました」
「かしこまりました」
リンの返事の後にサクも承諾の言葉を発する。
「チンはカンに連絡を取って援軍を頼む」
「わかったよ」
「バイドとギンは砦の防御強化を」
「承知いたしました」
オークのくせに礼儀正しい二人は深々と頭を下げる。
しかし、戦いになればこの二人はその怪力で大活躍してくれるのだ。
「メイド隊はリンの指示を伝える役目を」
「「「はい」」」
メイド達の声が揃う。
「ウイさん達は非戦闘員を安全な場所に誘導たのむ」
「わかってるよ。ヨハン様」
ヨハンと呼び捨てにすることはなく。様をつけるようになったが、オッチャンの陽気なところは変わらない。
「今できることをやって行こう」
「「「「「はい」」」」」」
俺は全員に指示を飛ばして、早速シェーラと偵察に向かった。
「ご武運を……」
リンの声が俺の背中を押す。
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