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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
地方開拓をやってみよう
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森の脅威

 サクがガルガンディアに来訪し、シェーラがエルフ族の相談をしてきてから一週間が過ぎようとしていた。まだまだ形もできていないガルガンディアだが、サクが次々と効率の良い案を出してくれる上に、俺が見てもわからない書類を懇切丁寧に説明してくれるので、困ることなく業務が進められた。

 

「それで、何なんだ?」


 先ほどからゴブリンの三人組が執務室に来ているのだが、何を言っているのか容量を得ない。

ゴブリンは元々話をするのが苦手なのだ。そのうえ興奮しているので「ギィギィ」とか「ウゥー」とか言ってくるので、訳が分からない。


「いいか、お前達は仲間を探す前に勉強しろ!」


 俺はゴブリンでも分かるシリーズの中から、王国言葉編を投げつけた。三人はそれでも何かを訴えようとするが、さっぱりわからん。


「それを読んで話せるようになってから来い!」


 俺がそう言って三人組を執務室から追い出すと、今度はリンが入ってきた。


「ヨハン様!大変です」

「今度はなんだよ」


 俺はやっと落ち着けると思ったところなので、ため息交じりにリンを出迎える。


「お疲れですね。後でお茶を入れます」

「ああ、ありがとう。それで、どうしたんだ?」

「あっ、はい。近くの森にモンスターが出たと報告が上がっています」

「モンスター?今時モンスターなんているのか?」


 確かにスライムやゾンビなどの意思を持たぬ魔物はモンスターと言えなくもない。

だが、ゴブリンやオークなどの人型は魔族化でもしない限りは暴れるような者は少なくなっている。むしろ人として共同生活する方が増えているぐらいだ。


「毛むくじゃらで巨大なモンスターなんです」


 毛むくじゃらな巨大モンスター、そんなのいたか。

ウルフ系だろうか?取り得ず獣系だろうな。


「それで?そのモンスターはどこにいるんだ?」

「森に出たと言うので、どこにいるかはわかりません。でも、商人の人やガルガンディアに来ようとしてくれている人たちを襲ってるみたいなんです」


 なかなかに厄介な出来事が起こっているみたいだな。


「とりあえず、見に行ってみるか」

「はい!」


 リンを同行者につけて、俺は旅人を装い、ガルガンディアまでの道のりを歩いてみた。ガルガンディアは森に囲まれているので、どの道を通っても森に入る。

 一応、馬車が通れるだけの道は確保されているので、それでも歩いてみると整備が必要なところが、ところどころ見て取れた。視察としては丁度よかったかもしれない。王国に通じる道だけでも整備した方がいいことが良くわかる。


「それで?こいつがモンスターか?」

「多分、ビックベアーと呼ばれるモンスターの変異種だと思いますが、さしずめマダラベアーでしょうか?」


 マダラベアーって……目の前にいるのは、間抜けな顔をしたパンダだろ。

確かにデカい、それにクマというのは凶暴な生き物だときいたことがある。危険も多いことだろう。

 ただ、このパンダは顔が以上にデカい。三頭身ぐらいしかないのではないだろうか。

顔もなんだが凶暴というよりも絵に描かれたパンダのように間の抜けた顔をしているのだ。


「おい!お前、言葉はわかるか?」


 モンスターと言ってもここまで大型の相手だ。言葉ぐらいはわかるかもしれないと声をかけてみる。


「ガオ?」


 どうやら話しかけられているのわかるらしい。

健気な犬とか、気ままな猫とかならなんとなくわかるだが、クマの気性ってどうなんだ。


「お前が市民を襲っているせいで迷惑している。やめてくれないか?」


 俺の言葉を考えているように腕を組む。顔のデカさに対して、腕が短い。


「ガォー!!!」


 どうやら交渉決裂したようだ。パンダの手には爪が出現して俺に襲い掛かる。


「問答無用か?リン、下がっていろ」

「はい」


 俺も両手に斧を構え、パンダを迎え撃つ。

腕の短さに反比例するようにパンダの爪はどこまでも伸びてくる。

 俺が間合いを測りそこねて、斧を弾き飛ばされた。


「ほう~なかなか面白いな」


 どうやらパンダは魔族化しているわけではなく。野生化しているだけのようだ。

腹が減って餌を探していただけらしい。それでも襲われた方は堪ったもんじゃない。


「対峙するには間抜け図らが愛らしいと思うがな」


 俺は斧を捨てて肉体強化の魔法を唱える。最近覚えた魔法だ。

補助系魔法はリンの方が得意だが、一つ覚えてみれば案外共通するところが多く。攻撃強化やスピード強化も覚えれた。


「耐えろよ」


 俺は肉体強化+攻撃強化を拳にかけてパンダの腹を殴った。


「堅い!」


 俺の強化した拳よりもパンダの腹筋の方が堅かった。

驚いている俺に対してパンダは勝ち誇ったような顔になり、爪を振り下ろしてきた。


「舐めるなよ」


 レベルも上がり物理攻撃力が高いはずの俺よりも防御力が高くとも防げないものがある。


「スタンガン」


 いくら防御力が強かろうと、魔法耐性が高くなければ防げない。


「グオーーーーー」


 どうやら今度は聞いたらしい。

本来で有れば気絶してもおかしくない量の電流を流したはずなのにパンダは立ち上がった。


「やるな」

「ガォー!」


 パンダも本気になったようで、左右だけでなく足の爪も伸びる。

足も短いのだが、二十本の長い爪が前後左右上下から俺に襲い掛かる。

 獣の勢いは人間の反応速度をはるかに超える。パンダもその例に漏れないらしい。

どんどんと加速していくパンダに反応が遅れだす。


「ヨハン様!」

「手を出すな」


 俺はまだ負けてない。



いつも読んで頂きありがとうございます。

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