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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
地方開拓をやってみよう
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奴隷を見に行こう

だいたいの挨拶回りやら、人材確保を終えた俺はヤコンと合流していた。リンがいないのは、本日向かう場所がリンには不適札な場所に思えたからだ。実際はワクワクしている。


「本当によろしいんですか?」

「何が?」

「リン嬢に黙っているのでしょう?」

「リンには……後で言い訳するよ」

「言い訳ですか」


 ヤコンは面白いモノを見るように俺の方を見てきた。


「なんだよ」

「いえ、二人の力関係が面白いなと思っただけですよ」

「別に恐いわけじゃないさ。慕ってくれているのに無下にしたくないだけだ」

「そういうことにしておきましょう」


 ヤコンに話をはぐらかされ、釈然としないが。この話をしていても俺の方が不利な気がしてきたのでぶり返そうとは思わない。


「それで、どこにいくんだ?」

「奴隷は合法な商品ですが、やはり人目を気にする商品でもあります。そのため普通の露店や商館ではなく。奴隷専門の商館があるんですよ」


 ヤコンに案内されてきた場所は、ランスと初めて街を散策したときに迷い込んだ。怪し雰囲気漂う遊郭街だった。

 あの時助けてくれたお姉さんがいないか、気にはなったが、今は遊んでいる場合ではないので、視線をヤコンの背中に向ける。


「ここです」


 ヤコンがここだと言った場所は何の変哲もない古びた屋敷だった。

古びた屋敷の前には剣を携えた傭兵らしき男が、古びた屋敷の玄関を護っている。


「商人ギルドのヤコンだ」

「話は聞いております」


 ヤコンは事前に訪問を予約していてくれたらしく、すんなりと商館内に入ることができた。

屋敷の中は薄暗く、黒いカーテンで部屋の扉が全て見えないようになっていた。

 真っ直ぐに廊下を抜けたところで、広い部屋に出た。


「こちらです」


 案内された場所は広い部屋の横にある個人商談用ソファーが置かれた部屋だった。


「これはこれは新鋭貴族のヨハン・ガルガンディア様ではありませんか。いや~ヤコン殿から客を紹介すると言われて、お待ちしておりますれば、これからが楽しみな貴族様をご紹介いただけるとはありがたい」


 部屋に入るなり、物凄い勢いで話し出したシルクハットをかぶった男は、この商館の主人でドドンと名乗った。

 俺はドトンの勢いに圧倒されながら、席に座らされ話もそこそこに質問を投げかけられた。


「ヤコン殿より事情はある程度お聞きしております。それでどう言った奴隷を御所望でしょうか?働き者とゴブリン族がよろしいでしょうか?それとも見目麗しいエルフの少女や、魔法が使えるウィッチなども取りそろえておりますよ」


 奴隷のほとんどは他種族のモノが多い。

獣人に関しては獣人王国と同盟関係にがある手前、王国内で取引されることはほとんどないが。裏では取引も行われているらしい。


「それぞれ相場が分からないので、全て見せてもらえますか?」


 俺の正直な感想に関して、ドドンはにんまりと微笑みで大きく頷いた。


「かしこまりました」


 シルクハットを外して深々と頭を下げたドドンは、奥の部屋に入っていき準備に取り掛かる。


「予算とか聞かれないんだな」

「ドドンは優秀な商人です。あなたの風貌を見て判断したのでしょう」


 緑色のローブはすでに返しているので、貴族になるに当たりそれなりの服装はしている。

それでも楽な恰好が好きなので露店商で見繕ってもらったものだが……


「そうか」


 まぁ粗悪な奴隷を見せられても別にかまわないと思いながら、しばらく待っているとドドンが10人ほどの少年少女を連れてやってきた。


「お待たせしました。いや~選りすぐりを選ぶのに時間がかかってしまいました」


 ドドンが額に汗を流しながら連れてきたのは、ゴブリンが三人とウィッチが三人、オークが三人、最後にエルフの少女を連れてきた。


「いや~この娘が言うことを聞きませんで、苦労しました」


 ハンカチで額の汗を拭いながら、エルフの少女だけは首輪をつけられ、鎖で引っ張られてやってきた。


「そうか、それで相場を教えてくれるか?」


 俺は若干ドドンに嫌悪感を持ったので、そっけなく質問を投げかける。


「はい、ただいま。まずゴブリン三人は良く働きますが、力がそれほど強くないので一人当たり銀貨30枚でセットで買っていただけるのなら銀貨70枚で構いません。ウィッチは全て女しかいませんので、色々使い道もあります。ですので、一人当たり金貨一枚でしょうか?オークは力も強く良く働きます。彼らもウィッチと同じ金貨一枚と言ったところですかね」


 ドドンはそこで一旦言葉を切ってエルフの鎖を引っ張る。


「エルフは存在だけでも珍しい上に、こいつはまだ少女です。金貨20枚は下らないでしょうね」


 俺が本当かとヤコンを見れば、ヤコンも頷き返した。俺はエルフを見て、あることを思い出した。

それはランスの最後の攻略者の存在を思い出す。

 彼女はエルフの姫君でハイエルフなのだ。帝国と戦争の最中にランスが出会う最後の存在はまだまだ現れはしないが、俺だけが攻略者だと知っている。


「どうかされましたか?」


 俺は呆然としていたらしい。


「いや、少し考えていただけだ」

「そうですか、それでどうされます?」


 俺はふぅーと息を吐く。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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