天帝
第二章最後です。
物凄く短めです。
ブックマーク100人到達。本当にありがとうございます。
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漆黒の柱に漆黒の天井、黒を基調としたその城は別名闇黒城と呼ばれている。
黒は帝国を象徴する色であり、黒を着こなす者こそがより帝国の威厳を保つ者だと言われている。
そんな帝国の玉座に黒い鎧に身を包み、黒い髪をした王が膝をついてある客人を待っている。
彼の傍には様々な風貌をした者達がそれぞれの姿で立ち尽くしていた。
「そろそろか……」
「はっ、すでに城に入ったと連絡がありました」
「あい、わかった」
王の言葉に執事のようなタキシードに身を包んだ男性が応える。
王が目を瞑ると足音が聞こえてきた。
共和国は王国との戦争に敗走した。傭兵王ビスタと大商人ドン・アスタークは
闇法師に導かれ城の中を歩いていた。
「最初からこれが狙いだったのか」
「喰えぬ人ですね」
二人は闇法師に悪態を吐きながらも正装をして、ふてぶてしい態度をとっていた。
「共和国からやってきたビスタとアスタークだ」
闇法師が部屋の前に立っている兵士に名前を告げると、仰々しい扉が開かれた。高い階段の上には一つの玉座が置かれており、その横には誰も経っていない。
唯一一人の人間が座り、階段の段ごとに個性豊かな人物達が左右に立っている。その玉座は権威を象徴するように作らており、謁見の間に入ったビスタとアスタークは唖然とした。先を歩く闇法師が入って行くので後に続いた。
「よくぞ来た。我が友たちよ」
遙か高見から聞こえる声に、ビスタとアスタークは身が震えるような思いがした。それは腹の底から恐怖が滲みでるような、圧倒的な存在感と威厳が感じられたのだ。
二人は心の中で同じことを思っていた。これが魔王かと……
「我らの言葉をお聞きいただきありがとうございます。天帝様」
天帝、それは帝国の王を表す言葉であり、共和国と隣接するもう一つの国家だ。王国よりも圧倒的な領土と軍事を有しており、全世界を支配できるだけの力を持っていると言われている。
共和国も再三に渡り帝国へ下るように勧告がきていた。
しかし、纏まらぬ二つの頭と王国という憂いがあったため、なかなか帝国へ下るまで話がいかなかった。
今回、二つの頭はもう一つの頭である闇法師を挟むことで共闘することになり、互いに領土を減らすことになった。
そのため自分達の力の無さを痛感し、また弱った自分達では本気で帝国が攻めてきたとき対抗できないと判断したため、下ることを良しとした。
「「ありがとうございます」」
「うむ。共和国の傭兵王と大商人が仲間になってくれるのだ。これほど嬉しいことはないぞ」
今回帝国に下るに当たり、帝国側が出した条件は税を納めること。それだけだった。
税を納めれば帝国の民として認めるという寛容な言葉に最初こそ疑った二人であったが、天帝に会うことで自分達は小物であり、天帝からすれば弱小な護るべき存在でしかないのだと実感した。
「はっ。この身天帝様の為に捧げまする」
「はっ。この知天帝様の為に尽くしまする」
傭兵王は武を、大商人は知恵をそれぞれが持てる力を天帝に捧げる宣言をして、二人の大領主は帝国へと受け入れられる。
これにより共和国という国は消滅した。
代わりに巨大な帝国の領土が増すことになり、また王国への足掛かりができたことを意味する。
「我々の相手は王国である。皆もそのつもりで準備いたせ!長き戦いになるか、短き戦いになるかは皆の力にかかっておる」
王は玉座から立ち上がり、片手を上げる。
「王国へ宣戦布告せよ!我が名はデリンジャー帝国初代天帝、サウザンド・デリンジャー一世である。この名の下に戦い。この名の下に全てをもたらせ」
「「「「はっ!!!」」」
天帝の言葉に階段に立っていた臣下達全てが膝を突き頭を垂れる。
これにより、王国と帝国の全面戦争が開始された。
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