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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になるには兵士から
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戦争が始まるらしい

 ヨハンが図書館から帰ってきて宿屋の部屋に入るとランスが興奮した状態で立っていた。


「おい、知ってるかヨハン!」


 ランスに肩を掴まれて揺さぶられる。


「何のことだよ、ランス。何かいいことでもあったのか?」

「良いことも何も、騎士になる方法がわかったんだ」

「へぇ~一日で凄いじゃないか」

「まぁな」


 ランスは得意げな顔で、鼻の頭を掻いた。ランスの嬉しいときの癖なので、本当にいいことがあったのだろう。


「女か?」

「なっ!なんで分かるんだ」

「お前のことで、いいことって言ったら女のことだろう。このムッツリスケベ」

「誰がムッツリだ」


 緊張して話せないが、女好きなのは間違いない。こいつこそ、ムッツリスケベの決定版だ。


「はいはい。それで、何があったんだ?」

「今日パン屋に行ったんだ」

「おいおい、お前も懲りないね」

「いや、今日は追い出されたりしなくて、普通に入れたんだよ。それで話せたんだけど」

「へぇ~お前が話せたなんて珍しいな」

「いや、まぁ話せたというか、向こうが話してくれたんだ」

「ああ、なるほど」


 ようは向こうから話しかけられて、それを聞いたということか。


「それで、何を話したんだ?」

「それが……」


 ランスが美女との話を思い出す。


「あなたは兵士の方ですか?」

「いっいえ、自分は冒険者で、この街に来たばかりで」

「ふふふ、そうなんですか、立派な剣をお持ちだから」

「これは、父の形見で」

「ごめんなさい」


 形見という言葉に彼女表情が曇り、謝られる。


「いや、大丈夫です」


 固まっているランスは、それだけを応えるのがやっとだった。


「なんだか、可笑しい人。きっと真面目なのね。あなたみたいな人が兵士になって、騎士様になってくれたらいいのに」

「えっ?兵士になったら騎士になれるんですか?」

「貴族の方ならね。すぐに騎士になれるんでしょうけど、平民だと兵士に志願して階級を上げないと無理じゃないかしら?」


 ランスは彼女の言葉に感銘を受けた。


「ありがとう。俺、騎士になりたいんだ」


 あまりの喜びに彼女の手を握ってしまう。


「ふふふ。本当に可笑しい人。私はメリル。あなたはなんていうの?」

「ランスです」

「また、パンを買いに来てくださいね。騎士になれるように応援してます」


 話をしながら、顔がニヤニヤしているランスにイベント消化おめでとうと内心拍手を送ってやる。


「それで兵士に成ればいいか……それっと冒険者を続けながらでもいいのか?」

「詳しいことはわからないから、明日は兵士になる方法を調べて来るよ」


 ランスは舞い上がりながらも明日の予定を決めているらしい。多分……彼女に会いに行くんだろうな……


 ランスとの会話を終えて、本日のステータスをチェックする。


 名前 ヨハン

 年齢 14歳

 職業 冒険者(ランクC)戦士

 レベル 16

 体 力 120/130

 魔 力 17/40

 攻撃力 103

 防御力 94

 俊敏性 130

 知 力 83

 スキル 斧術、3/10、経験値アップ

 魔 法 ヒール、1/10


 スキルポイント 10


 経験値アップのお蔭か、今日もレベルが3上がっていたいた。ゲームをやっているときに、パーティーの平均知力が100前後だったことを思えば、知力も人並みになってきた。

 それに乗じて魔力も17から40まで増えている。これは魔力の原理を読んだ効果だろうか?とにかく順調に成長しているのでスキルを次なるステップに進めたい。


 魔法使いになりたいんだ。魔法戦士もカッコいいが、とりあえず魔法をぶっ放したい。ぶっ放すといえば、火力重視の火系魔法か、華麗な風系魔法だが、ここはあえて水系魔法に取ることにした。

 なぜかというと、もし金がなくなったときでも喉は渇く。水が生み出せるならば、喉の潤いを癒すことができるのからだ。魔法って本当に便利だ。


「なぁ、そろそろ冒険者の仕事もした方がいいんじゃないか?鍛錬も大切だろ?」

「それもそうだな。明日は依頼でも取ってくるか」

「頼むな。俺はいつものように図書館にいるよ」

「お前こそ大丈夫か?本ばかりで、腕が鈍ってないか?」

「バカにするな。俺の斧は最強だ」


 最強と言いつつ、らくして儲けるために魔法を鍛錬中とはランスに内緒にしておく。実戦で驚かせた方がサプライズとして面白いだろう。


 次の日もやってきました図書館へ。


「あれ?今日も来られたんですね」


 アリスさんの反応がなんだが鈍い。俺なんかしたのか?


「何かあったんですか?」

「はぁ~わかりますか?何でも隣国と戦争になるらしんですよ」


 どうやら心配ごとがあったので、元気がなかったらしい。


「戦争ですか……大変ですね……」


 恋愛シュミレーションゲームではあるが、平民が騎士を目指しているので戦争が度々起こる。ゲーム初頭にあった戦争といえば隣国のアスターカ共和国との戦争だ。あまり強い敵は出てこないが、これに参加することで騎士としての道が開かれるはずだ。


「ヨハンさんは恐くないんですか?」

「正直戦争の体験が無いんで、実感がもてないんですよ」

「そうですか、ヨハンさんは幸せですね。私なんて王都に生まれたので何度か経験してるんですが、遠い土地で戦っていると分かっていても恐いです」


 アリスの話を聞いても、実感が湧いてこなかった。それでも自分とランスは、この戦争に参加することは分かっていた。


「まぁ今は考えても仕方ないです。今日はこの間のゴブリンでも分かる文字の書き取りをしたいのですがいいですか?」

「書き取りですか?」

「はい。ペンと紙は買ってきたので、机をお借りします」

「お好きにどうぞ」


 アリスは心ここに非ずな様子で、自分のことを勝手に済ませようと本を借りて、書き取りを始める。確かに字は書けるようになったし、計算もできるようになった。だが、まだ書いていないのだ、汚い字で書いていてはハッキリいって情けない。習字を習っていた俺としては、この世界で達筆と呼ばれるぐらいに字が綺麗にかけるようになりたい。


 その日一日を使って書き取りを開始する。360字を一つ一つ丁寧に書いていきながら、しっかりと覚えなおすのだ。日が暮れるまで練習をすると達筆とは言えないが、其れなりに見えるような字になってきた


「これでもレベルが上がるのか……」


 名前 ヨハン

 年齢 14歳

 職業 冒険者(ランクC)戦士

 レベル 18

 体 力 100/150

 魔 力 43/51

 攻撃力 108

 防御力 100

 俊敏性 132

 知 力 101

 スキル 斧術、3/10、経験値アップ

 魔 法 ヒール、1/10、ウォーターカッター、1/10


 スキルポイント 8


 文字が書けるようになった。

 

いつも読んで頂きありがとうございます。

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