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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
ガルガンディア要塞攻略戦
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本当の作戦会議

短めです。


本日は用事で昼間の投稿をお休みさせていただきます。

どうもすみません(T_T)

 ヨハンたちが去った後の本幕の中では、セリーヌがサクに視線を向け、新たな作戦を伝えるように促そうとしていた。


「さて、邪魔者がいなくなったことですし、本当の作戦をお話しします」


 サクの言葉にトリスタントは無表情な顔をピクリと動かした。


「どういう意味でしょうか?サク殿」

「だから言っているではないですか、邪魔者がいなくなったと。あんな平民の小僧には無駄な働きをしていてもらえばいいのです。私達が本体であり、我々が活躍するために彼らには行動を別にしてもらう必要があったのです」


 サクの言葉にまったくの感情は読み取れない。

とういうことはサクは誰かにその言葉を言わされているということだ。

 トリスタントはそこまで思い至りセリーヌを見る。

しかし、セリーヌは目を瞑り、腕を組んだまま何も発しようとはしない。

 そのためトリスタントは自分付きの従者にミリーに警告を伝えにいくように促した。


「トリスタント!何をしようとしている?」


 今まで黙っていたセリーヌが目を開き、トリスタントを見ていた。


「お茶の準備を頼んだだけです。ここまでサク殿を含め話していて喉が渇きましたので」

「そうならばいいけれど、余計なことはしないでね」


 妹だけではない。姉もまた平民が嫌いなのだ。

ミリーは下級貴族であり、またヨハンの部隊に編成されている者のほとんどが、平民や下級貴族がほとんどだった。

 

「何も致しません」


 トリスタントそれ以上動くことはなく、従士は本幕を後にして、数分もかからずお茶を用意して戻ってきた。

 セリーヌも従士の素早さに疑いを止め、元のように腕を組み目を閉じた。


「では、小休憩も終えたところで、本題に入りたいと思います」


 二人の雰囲気をわかった上で、サクは何もなかったように話し始めた。


「すでに我々の密偵がガルガンディア要塞内でに入り込んでいます。我々が一週間この場に留まれば密偵により、中から門が開けられるということです」

「では、何の動きもしないということですか?」


 サクの言葉にトリスタントは何のためにここまで一万三千もの兵を連れてきたのかと憤りを覚えた。


「いいえ、あなた達にもちゃんと働いてもらいます」


 サクではなくセリーヌがトリスタントの疑問に答えた。

それは狂気に満ちた笑みであり、トリスタントは六羽に属する女傑を恐ろしいと思った。


 ♢


 ガルガンディア要塞内会議場に人影はない。

薄暗く光がまったく入らない会議場で、六つの赤い目だけが光を放つ。


「ふふふ、ここは素晴らしい狩場だね」


 女性の声が部屋の中に広がり、声に反応するかのように銀色の細い線が煌めく。


「この要塞を根城にもらったことを感謝しないとね」


 廊下を歩く兵は息を潜め、歩く音さえも消すように静かに扉を通り過ぎようとするが、突然開いた扉から白い糸が兵士を飲む込む。


「つれないねぇ~ここにいる子達は全てあたしのもんだろ。そんなにビクビクするもんじゃないよ」


 松明を持っていた兵士が落とした光によって、赤い目の輪郭がはっきりと映し出される。

すでに松明の持ち主は事切れ、息はない。

 映し出された影は上半身は美しい女性であり、妖艶な雰囲気すら漂わせている。

普通の女性と違うところがあるとすれば額にも小さい四つの目があり、六つの目が怪しく光を放っている。そして一番の特徴と言えば、上半身が人間の女性に対して、下半身が蜘蛛の足と胴体をもっているのだ。


 アラクネ、彼女の種族はそう呼ばれる蜘蛛人間なのだ。


「あんた面白い情報を持っているね」


 アラクネは兵士が持っていた密書を手に取りにやりと笑う。

そこには兵士がこの密書を外にいる仲間へと渡そうとしていた内容が書かれていた。

 それはこの城の門を一週間後に開くというものだ。


「面白いじゃないか。この情報を使わせてもらうよ」


 楽しそうに笑うアラクネに応える者は誰もいない。

それでも彼女は一人で笑い続ける。きたる一週間後の楽しみを思い浮かべて笑いは止まらない。



いつも読んで頂きありがとうございます。

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