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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になるには兵士から
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密談

とりあえず、第一章 完 です。


短めですが、よろしくお願いします。

共和国某所にて、三人の人物がテーブルを囲んでいた。共和国内に住んでいる者ならば、この三人が一堂に会するなどありえないと誰もが言うことだろう。


一人は黒いローブに身を包んだ怪しげな男であり、ある黒太教の教祖をしている。闇法師と言われる人物であり、信仰も特殊故に危険視されている人物だ。


 また闇法師の向かいに座るのは、共和国を二分する傭兵王ビスタと呼ばれる人物で、戦場を渡り歩き今の地位を手に入れた豪傑である。


 最後に残った人物は、ビスタと共和国を二分している。大商人のドン・アスタークという。闇商人の肩書きを持ち、違法武器から人身売買まで売れるものであれば何でも取引すると言われる恐ろしい人物だ。


「よくぞ御出で下さった友たちよ」


 闇法師が二人を見て、大仰に両手を広げながら話をする。


「何が、友だよ。前回の戦闘ではケチクサい予算で、相手を牽制してこいとか言いやがって、まぁ化け物どもを貸してくれたからな。あれのお蔭で俺の家族に被害はないがな」


 前回王国に攻め入ったのは、闇法師の策略であり、モンスターを使う実験でもあった。

 そのため、いくつか闇法師の手下を差し向けられ、モンスターの指揮官としていたのだ。


「うむ。前回は余計な邪魔が入ったせいで、情報が少なくなってしまった。しかし、少しでも得られた情報を元に、今回は十分な改良をしている」

「へっ、俺達に被害が無ければ問題ねぇよ」


 ビスタは家族思いの男であると共和国内で有名なのだ。

その実、野心家でもあるので、闇法師からの提案である、王国に攻め入ることを承諾した。

 前回はモンスターたちを使って王国に攻め入りビスタの戦略にどれほどモンスターが使えるかも試していたのだ。


「まぁアイツらも十分に動いてくれるしな。駒としては丁度いい」


 モンスターたちは個でも強力な存在なのだが、闇法師の手下が操ることで連携も取れる。

 それを考慮してビスタが指示を出し、要所に責め入り王国軍と渡り合うことができた。

 途中から参戦した。第三軍の加入があったため、状況は崩れたが。

ビスタはそれなりの手ごたえを感じていた。


「うむ。また総大将をお願いしたいがよろしいかな?」

「おうよ。次こそ王国の奴らを蹴散らしてやんよ」

「それで、どうしてワシは呼ばれたのかな?」


 大商人と言われているが、身体はやせ細り、裕福そうには見えない。


 しかし、その目は全てを見透かすように、常に人を見ている。この男が共和国の闇を背負い、ドン・アスタークと呼ばれていることも事実なのだ。


「アスターク殿にも今回の話に関与して頂きたいのです」

「ワシがこの男と手を組むと思うのか?」


 戦闘狂であり、浪費家のビスタと、大商人として堅実で貯蓄家のアスタークでは、性格が正反対なのだ。

 悪と悪、同じ人種に見えて目的が大きく違う二人は、正直生理的に合わない。人として好きになれないと互いに思っている相手だった。


「組みますとも、今回の戦闘にはそれだけの利益がもたらされる。大商人のあなたがそれを無視できるとは思いません。前回同様ね」


 闇法師の意味深な言葉にアスタークはニヤリと笑う。


「利害が一致しておるということか……」

「はい。ビスタ殿が表舞台、アスターク殿が裏方、そして私が出資、提供者としてご協力致します」


 闇法師の言葉には甘美な響きが含まれている。


 戦闘を求める傭兵王は新たな戦場を得て、戦いに赴くことができる。それも国をかけた大戦となれば血が滾る。

 それと同時に戦争という大事業ほど儲かるものはない。

食料、武器、防具、何を揃えるためにも金がいる。その金が湯水のように提供されると言うのであれば大商人として願ってもないことだ。

 そして、提供と口にした闇法師自身もモンスターを使いあることをしようとしてる。 

 

 三人の利害は完全に一致していた。


「では、ここに契約を」


 大商人であるアスタークが魔法の紙を置く。

そこには契約書と書かれており、ここで行われた一切のことを他言無用とし、漏らした者はその身から火を噴き出し焼かれるというものだった。

 これが闇の取引であることは、ビスタもアスタークも理解しているのだ。


「よいでしょう」


 闇法師は自らの指を切り裂き、血を垂らす。ビスタ、アスタークも続き三人の契約は完了した。

 同じ物を三枚造り、三人がそれぞれの持っておくことして解散となった。


 ここに長い長い共和国と王国の戦争が開始されようとしていた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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