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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
最終章 誰がために
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同行者

 ミリューゼとレイレが休んでいたと思われる天幕を後にしたヨハンは、ランス王国軍本陣からすぐに離脱した。すぐに精霊王国連合の本陣に戻ったヨハンは、シェーラに敵陣の兵糧の事や布陣の事を話して、近いうちに敵が攻めてくるであろうことを伝えた。


「そうですか、あちらは短期決戦を望むようですね」

「ああ、相手の兵糧からすれば、そうなると思う」

「ありがとうございます。ヨハン様のお陰で、今後の方針を決められそうです」

「役に立てたならよかった」

「これから、ヨハン様はどうなさるのですか?」

「俺か?俺はフリードと合流して聖女のことを調べようと思ってるが、まだ何かしてほしいことがあったか?あるなら遠慮せずに言ってくれ」


 ヨハンはシェーラのためにできることがあるなら、聖女のことを後回しにしてもいいと思っていた。


「聖女ですか?」

「ああ。今回の戦いは、ほとんどが聖女に関与していると思うんだ。だから、俺は聖女を抑える」


 ヨハンの言葉にシェーラは決意したような目になる。ヨハンが本陣に帰ってきたとき、シェーラは安堵した表情をしていた。しかし、ヨハンが自分の下を去ると分かったシェーラは決意するしかなかった。


「わかりました。どうか、私も連れて行ってはくれませんか?」

「なにっ?ここの指揮はどうするんだ?」

「シーラ様にお願いしようと思っています。ゴルドナ殿が行方不明になってから塞ぎ込んでおられましたが、今回の戦いに参上していただけることが決まりました。副官といてココナ殿が付きます」


 シーラならば、シェーラよりも軍略に長けているので任せるのは安心だ。さらに堅実なココナが副官を務めるなら、見落としもないだろう。

 ヨハンは行方がわからないゴルドナの事を考えた。ライスが死に、多分ゴルドナも……ヨハンは拳を握りしめる。この戦いで多くの仲間を失った。これ以上仲間を失いたくない。それでも誰かがこの戦いを終わらせなければならない。


「わかった。俺に協力してくれるか?」

「はい。喜んで」


 シーラが本陣に合流したことで、シェーラが引き継ぎを済ませ旅支度を終える。


「本来であれば、私もお伴したいところではありますが、若輩のシェーラを遣わせることお許しください」


 シーラはシェーラではなく自分が行きたいと言ってくれた。シーラの横でココナも同じように頷いている。


「しかし、誰かがここを守らなければなりません。偵察に向いている、この子が今は必要でしょう」


 シーラなりに考えた末、シェーラの同行を許したようだ。


「どうか、この戦いを終わらせるため助力お願いします」

「ああ、必ず」


 シーラと握手を交わし、ヨハンは精霊王国連合を後にする。シェーラを伴い。テレポートで向かった先は、ランス王都へだった。聖女アクアはこの戦いの発起人の一人ではあるが、戦争には参加せず、王都ランスに留まっていることがわかっている。

 聖女を調べているフリードも、ランス王国にいるはずだと当たりをつけたのだ。


「ランス王都は他の街とは随分と違う作りなのですね」

「シェーラは初めてだったか?」

「いえ、奴隷だったときに過ごしていました。ですが、ほとんど外に出ることがなかったので、街の風景を知りませんでした」

「そうだったな。シェーラとの出会いは奴隷市場だったな」


 ヨハンはシェーラと出会ったときのことを思い出し、奴隷市場のことを考えた。あそこが今はどうなっているのかはどうでもいいが、シェーラ以外にもトン、チン、カンやグーゴたちともであった場所だ。


「ヨハン様に出会って、私の運命は本当に変わりました」

「どうしたんだ?」


 シェーラの物言いを疑問に思ったヨハンが、シェーラに質問を投げかける。


「私にもわからないのです。でも、胸騒ぎが止まらないんです。ランス王都にきてその思いは強くなってきています」


 シェーラの不安を取り除くように、ヨハンはシェーラの頭を撫でる。


「まだ、言ってるのか?俺はちゃんと帰ってきただろ」

「はい。でも、不安なんです。これから恐ろしいことが起きるような気がして」

「大丈夫だ。この世界で俺を倒せるような奴はもういない」

「それはわかっているのですが」


 ヨハンはアイテムボックスにある聖剣を思う。自分は勇者として認められたのだ。ランスのいないこの世界で自分は勇者として生きていかなければならない。そのための覚悟と決意はできている。


「今は不安の答えはでません」

「なら、フリードを探そう。そうすれば何かしら先がわかるかもしれない」

「はい」


 二人はフリードを探すため、聖女アクアが管轄する。教会本部がある地域へと足を踏み入れた。教会本部がある地域には教会に仕える使徒たちが住んでいる。


「ここからは敵地だと思って赴こうか」

「はい」


 亜種族はほとんど見かけない。いないわけではないのだが、あえて相手を刺激するわけにはいかないので、二人ともターバンを巻いて顔を隠すようにしている。

 

「フリードがすぐに見つかるといいが」

「そうですね。何か彼を探す方法はないのですか?」

「あるにはあるが、今は足で探すとしよう」


 フリードを探しつつ、ヨハンとシェーラは教会について調べることを開始した。


 

いつも読んで頂きありがとうございます。

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