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死霊王

すみません。短めです。

 万全の策を持って、ヨハン・ガルガンディアを討ちに来た。死霊王の能力は腐敗やデスなどの死を司る能力が多い。ヨハンを斬りつけた能力も、自身の体を仮死状態で動かした秘奥義中の秘奥義で、失敗すれば死霊王自身の命がなかった。

 ヨハンによって反撃されたとしても、全ての効かないのであれば、ヨハンを斬ることができると死霊王は考えたのだ。

 秘奥義が成功してヨハンを倒すことができた死霊王は、後の指示を部下へ任せ、一旦陣地の後方へ下がった。自分用に用意させた天幕の中に入り、髑髏の仮面を外して息を吐く。


「ふぅ~どうにも仮面をつけて動くのは息がしずらくて叶わんね。まぁ今の私は死んでるけどね」


 仮面を外した死霊王は、少し疲れた中年オヤジが顔を出す。天帝は最高決定者であるが、実質帝国を運営しているのは死霊王自身なのだ。国の宰相を務めているおり、軍務だけに限らず、政務や内務などの整理も死霊王が務めている。

 最近は帝国内で問題ばかり起きるので、文官たちに残業ばかりさせている。それでも追いつけないほど帝国内は問題が山積みなのだ。


「まぁ問題の一つは、これで解決だね」


 帝国を混乱に導いている人物が三人いる。その三人とは裏切り者の黒騎士冥王ハーデス。王国の英雄、勇者ランス。王国の最高司令官にして無敗を誇るヨハン・ガルガンディアである。死霊王は帝国にとって憂いとなる三人の人物を自らの手で討つため手始めにヨハンを選んだ。もう一人の勇者には竜騎士を当て、冥王には闇法師を当てた。


 しかし、数日前に友と呼べる者を失った。竜騎士が勇者に負けたのだ。ずっと共に帝国を支え一緒にやってきた。まるで体の半分を失ったような喪失感と、片割れを失ったことで分け合っていた責任が、全て自分一人にのしかかってきたのだ。


「あと二人か……兵を半分残して、俺は冥王を抑えるか。闇法師と冥王の相性はあまり良くないみたいだからね。まぁ闇法師には勇者君を頼むとするか」


 闇法師の方も冥王にいいようにやられていた。元々モンスター召喚を得意として、モンスターに戦わせていた闇法師では、個人の武力が圧倒的な冥王に成す術なくモンスター倒されていると報告が入っている。


 八魔将と呼ばれていたのが懐かしく思ってしまう。現在三人まで減ってしまった将軍たちも、死霊王から見れば信用できない二人が残ったのだ。

 一人は自国を帝国に差し出したことで、帝国の地位を獲た得体の知れない法師。そして立ち上げから共にやってきたが、未だに何を考えているかわからない科学者。どっちも気が抜けない二人だ。


「内も外も大混乱、本当どうしてこうなっちまったのかね」


 死霊王は何度目かの溜息を吐く。一時は一千万人もいると言われた帝国兵も、信頼できるのは兵士で言えば残り五十万人足らず、それも今回全て導入してなんとか憂いの一人を討つことができた。

 

「死霊王様!」


 息を吐き、やっと落ち着いた死霊王の下に、叫び声とともに兵士が入ってくる。


「なんだい?」


 慌てている兵士に対して、死霊王は冷静な口調で問い返す。


「てっ敵襲です」

「敵襲?いったい誰が?」

「オークです。オークの群れがこっちに向かってきます」

「弔い合戦かね?あ~やだやだ。とりあえず、返り討ちにするとしようか、でも間所まででいいからね。こちらが深追いする必要はない。向こうの大将はすでに倒した。もう何もできないよ」


 死霊王は髑髏の仮面を再度付け直し、天幕を出る。死霊王がこのあと、冥王の下に赴くことはなかった。何故ならば先遣隊としてやってきたオーク軍の後に、王国軍の総力を結集した二十万の軍勢が死霊王に襲いかかろうとしていた。

 そしてそれを指揮する五人戦女神たちは、誰一人ヨハン・ガルガンディアが死んだとは思っていなかった。



いつも読んで頂きありがとうございます。

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