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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になるには兵士から
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山賊討伐 4

 俺の作戦を下に、それぞれの配置についた。

リンにはメイと共に隠れてもらっている。フリードは木の上から逃亡する者を見張ってもらっている。

 アジトの出入り口は一つだ。見張りが立っているので無効かして中に入る。 


「見張りは二人か」


 ランスの呟きに頷き返して相手のスキを窺う。


「いくぞ!」


 ランスの声に体が動いた。見張りが、それぞれ別々の方角に意識を向けた瞬間に走り出す。


 ランスは俺よりも早く飛び出し、一人の首を斬り落とす。俺も斧を投げて見張りの頭を割った。

すぐに見張り二人を入り口から隠し、中に入っていく。中は洞窟というよりも広い迷路のようだった。


「二手に分かれているな」

「どうするんだ?」

「そうだな。別れて危険をとるか、一緒に行って確実性を取るか」


 ランスの問いに俺は考える。

山賊が何人いるのか、迷路がどこまで続いているのかわからない。簡単に分れていいとは思わない。


「一緒に行動しよう。すでに時間をかけている。ここで別れて時間を稼いでも意味はないだろう」

「そうだな。それでどっちにいくんだ?」

「俺は右だな」

「そうか、なら右でいい」

「本当にいいのか?」


 俺が言うとランスは反対しなかった。


「ああ、どっちに行っても同じだと俺は思ってるからな」


 ランスの言葉に不思議な違和感を覚えた。


「どっちでも一緒?」

「ああ、まぁ勘みたいなもんだけどな」

「勘か……」


 俺はそれ以上追及しなかった。

進むと決めた右の道に進むと、すぐに行き止まりになった。

ただの行き止まりではなく、牢獄があり、一人の少女がいた。


「ビンゴみたいだな」

「そうだな」


 青い鬣に獣の耳、獣の鼻をした少女が牢屋の中で座っていた。


「君がメイちゃんのお姉さんですか?」


 横顔では美人なのか分かり辛かったが、こちらを見た彼女は絶世の美女だった。

俺は頭を抑えて溜息を吐く。ランスがダメになる。


「メイを知っているのですか!」

「ええ、僕たちが保護しています。僕たちはエリクドリア王国で冒険者をしている者です。山賊討伐でここに来たところ、メイさんを保護しました」


 ランスには見張りを頼んで俺が説明を変わる。


「よかった……」


 美女は心から安堵した顔で呟いた。


「次はあなたです。一緒に逃げましょう」


 俺は斧でカギを壊して牢屋の扉を開ける。


「さぁ、こちらへ」

「待て、ヨハン」


 見張りをしていたヨハンの声で、美女と俺は動きを止める。


「相手さんのお出ましだ」


 俺は美女を手で制し、斧に手をかける。

ランスの影から様子を窺えば、山賊らしき大男が立っていた。


「おマエダチは誰ダ!オラの縄張りだぞ」


 話し方が明らかにおかしい大男が、二剣を構えて立っていた。

狭い洞窟の中では大男が立っているだけで、道が塞がれている。


「お前……本当に人間か?」


 ランスがおかしなことを言い始めた。


「何言ってだよ、ランス」

「なんか、こいつが纏っている雰囲気が違うんだよ」

「ぐふぐふ、ぐふふふふ」


 ランスの言葉を聞いたからか、大男は不気味な笑う声を上げだした。


「オバエ、スルドイ」


 大男の声が先ほどよりも聞き取りにくくなり、片言になる。


「お前はなんだ!」


 ランスの問いに大男の姿が変貌していく。

太ってデカいだけだった体は引き締まり、先ほどまでよりもさらに身長が伸びて二メートルを超える。肌は真っ赤に染まり、纏う雰囲気が二割増しになったように威圧が増した。額から大きな角を生やした大男はオーガへと姿を変えてたのだ。


「オーガだと」


 俺は驚きのあまり言葉が続かない。確かにこの世界にモンスターは存在する。

しかし、あくまで獣のようなモンスターであり、魔人族や鬼人族などは人間と敵対する行動はとらない。

 ゴブリンヤオークなどの例外はあるが、ほとんどの人型モンスターはともに共存しているのだ。


「本当にオーガか?こんな禍々しい雰囲気を纏った奴みたことないぞ」


 ランスも額に汗をかいている。目の前にいるオーガは強いヤバいのだ。

実際オーガをもし討伐する場合は冒険者ランクAが必要だ。Cランクだった俺達では到底勝てる相手ではない。


「どうするんだ?」

「どうするも何も……やるしかないだろ」


 俺の言葉にランスは剣を握り直す。


「おい、お前。ここにいるのはお前だけか?山賊がいただろう?」


 ランスはオーガに向かって質問を投げかけた。


「喰っタ。ぐふふふ、ココニイタ人間ハ喰っテヤッタ」

「外に居たのは人間じゃないのか?」

「アイツらはゴブリン、アノカタにスガタヲカエテモラッタ」


 オーガは素直に受け答えしてくれる。

それも俺達を殺して食べるためだろう。理性はある、だが俺達を殺そうとしていることに変わりはないらしい。


「作戦はあるか?」

「ここじゃあ、狭いな。できればもう少し広いところに出たい」


 ランスに作戦を聞かれて魔法を使おうにも、ここでは狭くては威力のある魔法は使えない。


「なら、外に連れ出す」


 ランスは、俺の言葉を聞くと雰囲気が二割増しになった。

無意識でしているのだろうが、魔力で肉体を強化したのだ。


「いくぞ」


 ランスは剣を両手で持ち、オーガに迫る。

オーガもランスを敵と認めたのか、剣を受け止めた。

激しくぶつかり合う両者の剣が火花を散らす。


「アイツがスキを作ります。その間に逃げますよ」


 俺は獣人の美女に再度言葉をかける。


「あなたは一緒に戦わなくていいのですか?」


 美女もオーガの存在に気付いたらしい。ランスと俺が共同で戦わなければ倒せないと思ったのだろう。


「一緒に戦いますよ。ですが、あなたがいたら気になってアイツが力を発揮できないんです」

「・・・わかりました。行きます」


 俺の言葉に納得してくれたのか、美女は立ち上がり走るタイミングを計る。


「今だ」


 ランスがオーガの剣を弾き、体当たりをした。オーガが少しよろめき、道が開く。

俺は小さなストーンエッジを作りオーガに放ちながら空いた道を美女の手を引き駆け抜けた。


「ランス!」

「おうよ!」


 ランスとオーガが身体を入れ変え、ランスはオーガを警戒しながら後に続く。


「とりあえず、外に出る。話はそれからだ」


 俺は追ってくるオーガの速度に驚いた。

俺の攻撃で目くらましをされたオーガは、身体を反転させて物凄い速度で迫ってくるのだ。


「俺が時間を稼ぐ、行け」


 ランスが立ち止まるが、いくらランスが肉体を強化していようとオーガの勢いは止められない。


「ランス、ここは俺がする。お前が彼女といけ」


 俺は彼女を押し付け、固まったランスの背中を押す。

命令に従う機械のように走り出したランスを見送って俺は右手に水を左手に風を生みだし、オーガの足を狙う。


「これでどうだ!」


 オーガは急に止まれない。大き目に作った水と風のカッターが合わさり氷の刃を作り出す。オーガの太腿に当たり、太腿を切り裂いた。オーガは転び、勢いが止まる。


「とりあえず時間は稼いだ」


 俺は急いで外へと駆け出す。

外に出れば、ランスが美女と手を繋ぎ固まっていた。


「フリード!彼女を護れ」


 俺は木の上にいたフリードを呼び、彼女を預ける。

洞窟から出てくるオーガを狙うために、俺は右手に炎、左手に風を作り出す。

合わせることで雷を作り出すことができるのだ。


「ランス、タイミングを合わせろよ」

「ああ」


 美女の呪縛から解放されたランスも剣を構えた。




いつも読んで頂きありがとうございます。

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