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閑話 竜騎士VS勇者 1

色々重なり、投稿が遅れて申し訳ありません。

 セリーヌ軍の遊撃隊をしていたランスたちは、ヨハンの活躍により敵の動きが変わったことを察知して、反撃を仕掛けた。セリーヌ軍が仕掛けたスキをついて、ランス一行は元共和国内に入りこむことに成功した。


「ここまで順調にいくとはな」

「ルッツの案がよかったんだろう」


 ルッツの提案で、倒した帝国兵の服を借りて帝国軍に紛れ込んだ。そして、暗闇ととともに脱走する形で共和国内を逃げこんだのだ。

 帝国側としても王国軍と対峙した状態で脱走兵を追いかけるだけの余裕はなく、まんまとランスたちを帝国領内に入れてしまったというわけだ。


「まぁ敵の裏をかいただけなんだけどな」

「頼りにしてるよ」

「おう、こんぐらいなら任せておけ」


 ルッツはランスの参謀役として、剣だけでなく知恵でもランスを助けている。他のヒロイン一行はというと、レイレの用意したお茶を飲みながらティータイムだ。


「本当においしいわね」


 エルフのシェリルはレイレのお茶を気に入っているので、嬉しそうにお茶を楽しみ。同じくミリューゼとティアもレイレが出したテーブルとイスに優雅に座っていた。


「それにしてもどこから出したんだ?こんな大荷物?」

「メイドの嗜みです」


 ルッツの疑問ももっともだが、レイレはミリューゼの大荷物を持ち運ぶために、アイテムボックスを開眼した人物なのだ。そのためランス一行の荷物はほとんどがレイレに預けている。

 もちろん武器や必要最低限の荷物は持っているが、ミリューゼやティアの二人は、元が一国の王女と姫様なので、あまり自分で荷物を持つという習慣自体がないよだ。

 特にミリューゼは、常にレイレが戦場まで来ていたので、武器以外の荷物を持たないところがある。


「レイレがいるのだ。その必要はないだろ」


 ルッツが「レイレさんだけに持たせて悪いと思わないのか?」と質問した時に帰ってきた答えだ。まぁこれにはレイレも悪い。


「ミリューゼ様に荷物を持たせるなど、とんでもない。私の魔力がすべてこの能力に使われようと、ミリューゼ様の荷物は私が持ちます」と、まぁこの主人にしてこの従者だった。


 ルッツもレイレがそういうのであれば、それ以上何かをいうことはできない。


「そんなこよりも、このまま順調にいけばいいが」


 帝国内に入り、天帝がいる帝都を目指して進んでいるが、王国の人間が帝国内にいるのはどうにも目立つらしく、普通の街に入ることもできない。

 街に入れば、それだけで正体がばれて帝国兵が飛んでくるのだ。


「また、この間の街みたいなのは勘弁だぜ」


 元共和国の街に偵察を兼ねてサクラとランスで赴いたときは問題なかったのだが、ミリューゼとティアが街に行きたいというので、連れて行ったのが間違いだった。

 ミリューゼは敵国だから鎧を脱ぎたくないと、王国騎士の恰好やめないし、ティアはフードを被っていたのだが、帝国の環境があまりにも暑いと言ってフードを脱いでしまったときに獣人の印である獣耳が白昼の下、堂々とさらけ出されたのだ。


 帝国兵が騒ぎを聞きつけ、そこから帝国兵との追いかけっこになった。その時もルッツの機転で、ミリューゼとティアを隠すことで、事なきを得たが、街に二人を連れていくのはコリゴリだと思っているようだ。


「とりあえずはサクラの報告待ちだな」


 ランスとルッツがこれからの方針を決定したところで、サクラがもどってきた。


「サクラ、どうだった?」

「ダメ!」


 ランスの質問にサクラは顔を青ざめ、ランスの顔をまともに見れない。


「ダメ?どういう意味だ?」


 サクラが何か言うよりも、それはすぐにやってきた。轟音と共に、巨大な竜がランスたちの上空を通りすぎていく。


「なんだあれ!」


 ルッツが大声をあげ、ミリューゼたちも突然の強風に驚きを隠せない。


「ドラゴン……」


 ランスも呆けるようにそのモノの存在を口にする。


「でもっ!あんなデカいの見たことないぞ」

「だけど、ドラゴンなんだろうな」


 サクラは恐怖からか、ランスの腕を掴みその胸に頭を預ける。ランスもサクラを守るようにギュッと抱きしめた。


「これは本当にヤベーな」


 ルッツは驚いて停止していた思考をフル回転させ始める。これからのことを考えようとしている。


「きた」


 しかし、無情にもルッツの思考よりもドラゴンの動きが速かった。巨大なドラゴンはランスたちの前に降り立つ。木々に隠れた森の中にいるというのに、ドラゴンは木々を踏みつけ、辺りに火を吐き、一面を焼野原へと変えてしまう。


「熱っ!」


 ルッツが熱さを感じるよりも前に、森の木々が溶けてなくなる方が早い。高温で焼かれる木々は燃えるのではなく溶けたのだ。


「スゲー威力だな」


 ルッツはあまりにも強い力にまたも思考を停止させる。


「ルッツ、感心してる場合じゃないぞ」


 ルッツがランスを見れば、左手でサクラを抱きしめ、右手には聖剣を構えていた。


「ミリューゼ、ティア、シェリル、戦闘準備だ」


 ランスは自らを取り囲む美女たちの名前を叫ぶ。彼の声に反応するようにそれぞれが武器を構え、ランスの横に並ぶ。


「サクラ、みんながいる。そして俺がいる。大丈夫だ」


 ランスは胸の中にいるサクラに語り掛ける。


「大丈夫」


 サクラは顔をあげ、頬を赤く染めてランスの言葉にしっかりと返事をした。


「よし、ならどんな敵でも大丈夫だ」


 ランスの言葉に美女たちは力を漲らせる。英雄がいる限り、乙女は強くなる。それがたとえ巨大なドラゴンであろうとも……


いつも読んで頂きありがとうございます。

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