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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になりました。
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救出作戦

 ライスによって語られた第二軍壊滅はかなり深刻なものであり、ヨハンに迅速な行動を取らせるのに十分な情報だった。


「ハッキリと状況は分からない。ただ、かなりの劣勢であることは変わりない。それでも第二軍の正確な状況が知りたい。そこで第三軍の生き残り及び、第二軍の救援も合わせて5000を連れて出陣する」


 俺の言葉に幹部たちは戸惑った。今は一刻を争う時だと幹部の意見をねじ伏せ出陣を速めた。


「アイスに帰還してもらってガルガンディアの防衛をしてもらってくれ。残り一万五千は全てアイスに預ける。補佐としてゴルドナ殿、頼んだ」


 俺の言葉に伝令がすぐに部屋を出ていき、ゴルドナがうなずく。


「トン、チン、カンはそれぞれの拠点を守りつつ、出せる人員は全て出してくれ」

「「「はい」」」

「バイド、ギン、グーゴ、お前たちも同じだ。オーク族もゴブリンと同じように出せる人員は全て頼む」

「「「はっ!」」」


 五千の兵はほとんど人間ではなく魔族で固めるつもりだ。


「リンは俺の副官として出撃してもらう。シェーラも同様だ」

「「はい」」

「ジェルミーは内政を頼む。俺もリンもいなくなったガルガンディアを託せるのはジェルミーだけだ」

「やるしかないですな」


 幹部たち全員に指示を出し終え、この場にいないシーラには国境の街の防衛を頼んだ。またジャイアントには継続して侵入してくる敵の撃退をしてもらう。

 自由に暴れていてもらった方が、こちらとしても都合がいい。


「さぁ、やることは山のようにある。仲間を救いに行くぞ」


 俺の号令で全員が動き始めた。ゴルドーにはライスの義足と義手を頼んでおいた。作り方の設計図も添えているので、なかなか良い物ができるだろう。

 

 出撃は編成ができ次第すぐにガルガンディアを立つ。アイテムボックスには3000人が一か月食べていける食事と、荷馬車や毛布、服などの災害に救助に必要な物を詰め込んでいく。

 武器を入れると容量オーバーになりそうだったので、武器は各自で持参してもらう。


「出撃」


 俺の号令でガルガンディアを立った精鋭は5012人、そのほとんどがゴブリンやオークなどの魔族たちだ。

 そして、ワイバーンが俺に付き従ってくれているので、俺とリンはワイバーンの背に乗っている。ワイバーンについて色々と聞かれるかと思っていたが、それよりも深刻な事態が起きたことで、皆の頭がそこまで回っていない。

 出撃してすぐにシェーラには偵察隊を任せた。先行して、敵の動きや味方の居場所探ってもらうためだ。


「サクさんは無事でしょうか?」

「それは大丈夫だろう。あいつは元々セリーヌの部下で、策に長けている。何より忍びとしての技術も心得ているからな、逃げるのもお手のものだろう」

「それならば良いのですが」


 リンの心配を否定したが、内心ではわからないと思っていた。忠義に厚いサクならば、セリーヌのピンチとなれば自分の命など顧みる余裕などないのではないかと思えてしまう。


「伝令!先行しておりますシェーラ様から報告です」

「何かあったのか?」

「この先で、味方と思われる王国兵が敵と交戦していると連絡がありました」

「わかった。シェーラには援護だけで、本体が行くまで深追いするなと伝えろ」

「畏まりました」


 伝令が走り去ると、ゴブリンの大将チンとオークの大将バイドに隊をまとめて迅速に進軍することを命じる。俺はリンを乗せたままワイバーンに飛び上がってもらった。


「ダルダ頼んだ」

「主よ。我に任せよ」


 ワイバーンのことはダルダリアンが長かったので、ダルダと略称させてもらった。ダルダは俺を主と呼びドラゴンマスターとして契約を結んでくれている。

 個別契約なので、種族としての契約ではないが、ダルダが俺を裏切ることはないらしい。


「頼む。一人でも多く王国の人々を救いたい」


 ランスが生存している限り負けではないが、それでも兵がいなくては戦いにすらならない。


 ダルダは俺の意図をくみ取り、全力で戦場へと向かっていく。


「これは……」


 そこには地獄絵図が広がっていた。少数の王国軍に大群で迫る帝国兵たち、固まっているが一人でも脱落すれば、すぐに無数の槍によって貫かれ死体が完成していく。

 残された王国兵もあと僅かなところにシェーラ率いる偵察隊が弓を打ち込んだ。


 シェーラが選抜した狩人たちで隠密行動も弓の扱いも長けている。ただ、100人ほどの彼らの攻撃では敵の攻撃を止めることはできない。

 むしろ自分の居場所をさらけ出すだけで、危険の方が高い。それでもシェーラは黙って見ていることができなかったのだろう。


「ダルダ。ブレスで一気に帝国兵を焼いてくれ」

「承知」


 ダルダがブレスを発動すると同時に、俺は風を巻き起こす。


 協力技 暴風竜のブレス


 久しぶりの閃きで、俺とダルダの攻撃は協力技として発動した。協力技は普通の技よりも威力が大きく広範囲で攻撃で敵に降り注いだ。


「なんだ!どうしてドラゴンがこんなところ!」


 帝国兵はダルダの存在に気付いて、弓や投げ槍を構えるが、上空高くに飛び上がったダルダに攻撃は届かない。

 俺たちは何度も協力技を繰り出して帝国兵を上空から攻撃する。そのうちにチンたちの部隊も到着して地上と上空からの強襲に成功した。

 残された王国兵は巻き込まれる前にシェーラによって救出されたようだ。


 数にして3000ほどの帝国兵がいたが、終わってみれば楽勝で殲滅することができた。


 ただ、救出できた王国兵は200名と随分と少なかった。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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