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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になりました。
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竜の山脈

ブックマーク、評価頂きありがとうございます。


感想も大変役立っております。お気づきのことはどうぞご報告お願いいたしますm(__)m

 ヨハンの命により、ライスを将軍とした第三軍が出陣していった。第三軍から出陣させたのは一万ほどのだった。それでも第三軍の三分の一であり、戦場に駆り出され人手が不足するのは痛い。

 編成は、ヨハンに仕える魔族や亜人達を交えない編成をした。ガルガンディアに住まう王国兵が減るのは残念だが、第二軍との軋轢をなくすためにはその編成が妥当だと判断したのだ。

 その軍には軍師としてサクをつけている。サクがいることで、一万という数でも、帝国の大軍とどうにか立ち回ってくれるだろう。なによりセリーヌの間者を引き離すことに成功したことはヨハンにとって大きかった。

 

 戦場となる中央は、王国の最大勢力である第二軍が砦を作り、防衛に努めている。常時滞在しているのは10万ほどの兵らしいが、圧倒的な帝国兵に対して、現在はなんとか防衛を果たしていた。


 それはあくまで黒騎士が本気ではないからだとヨハンは分かっていた。

黒騎士が率いているのは元共和国軍と帝国軍の混成部隊である。そこから西や東へと兵を分散させて確実に領土の拡大を行っていた。

 土地とは大きなところ以外にも小さな村や山脈など様々である。王国にその全てを護る力はない。そのため黒騎士は元共和国兵と帝国兵が争わないように、それぞれに領土を侵略させることで、報酬と混乱を収めているのだ。

 300万を維持するというのも、本来一人の将軍でできることではない。しかし、黒騎士は不満が出ないように目的を与え、味方同士で揉めないように上手く立ち回っていた。


 そのため黒騎士が護る砦には、30万ほどの兵が常駐しているだけだ。それでも王国の三倍になるが、そのほとんどが落とした砦の周りに街を作るために集められて働いている。街を作り畑を耕し、防備を整える。

 黒騎士は長期で戦うことも視野に入れ、さらに一つの街を作り上げようとしていた。戦巧者だけでなく、政治にも精通しているとヨハンは思った。


「ガルガンディア領付近に、黒騎士の部隊は来てないか?」

「何度か帝国兵らしきものを見たと報告が上がっています」


 俺の質問にジェルミーがすかさず答えてくれる。ライスとサクを出陣させた後にわかったことなのだが、ガルガンディア領にも黒騎士の魔の手は伸びていた。

 上手くサクが排除してくれていたようだが、サクがいなくなったことでそういう問題にも対処が必要になる。


「そうか、ジャイガントと巨人たちにそちらの駆除を頼んでおいてくれ」

「わかりました。彼らが仲間についてくれて助かりましたね」


 俺の指示に従い、ジャイガントたち巨人族が黒騎士に兵を蹴散らしてくれている。彼らは戦闘を好み、帝国兵にも容赦がない。

 巨人族は魔力を吸収できるので、敵の魔力を吸収して無尽蔵に戦い続けてくれる。


「ああ。それにゴブリンやオークたちもよく働いてくれている」


 ゴブリンは偵察役として走り回ってくれている。数が多いので、伝言板にならないように、文字を覚えさせて手紙という形で伝令をさせた。

 力仕事が得意なオークたちには開拓の手伝いをしてもらっている。一人で木材を何本も運んでくれるのでかなり能率がいいらしい。

 魔族としての習性で、戦いの衝動が生まれた者には、ジャイガントともに戦場に送り出している。巨人族がうち漏らした敵を狩っているようだ。


「ウィッチたちはどうだ?」

「メイド業と兼任で魔法の先生をしてもらっています。時代の若者たちの指導に当たってくれていますよ」


 俺の問いに答えたのはリンだった。現在、執務室にはリンとジェルミーの三人で仕事をしている。

もともとリンが俺の代わりに執務をしてくれていたので、わからないところはリンに聞くようにしていた。代わりにリンがわからない軍の状況を俺が説明している。


「そうか、これで配置や仕事配分、上がってきた報告書は終わりだな」

「はい。早急に片付けなければならないものは終わりです」

「そうか、ならシェーラはどうしてる?」

「シェーラさんは、ヨハン様と一緒に帰ってきて、また森に狩りに出ましたよ」


 アイスがいないことで、シェーラには狩りの隊長を務めてもらっている。エルフの技術を教えてもらえる機会に志願者も多く、狩りも順調に言っているようだ。

 そのお蔭でガルガンディア領にいた危険な魔物やモンスターたちも大分一掃されつつあった。


「本当に問題がだいぶ解決してきたな」

「はい。皆の力です」

「そうだな。なら、俺も次へ備える必要があるな」

「次?ですか?」


 俺の言葉にリンが聞き返してきた。


「ああ、次は竜の山脈に手を出そうと思う」

「なっ!それは危険では?」


 俺の言葉にジェルミーが驚き、辞めるように進言してくる。この世界で竜とは特別な存在なのだ。圧倒的な力を持ち、人と交わらない特別な存在として神のように扱われることもある。


「俺たちはこのままでは確実に負ける」


 ジェルミーの進言に対して、俺ははっきりと戦争の敗北を口にした。実際はランスがいれば負けることはない。だが、それは王国が負けないというだけで、こちらに被害が出ないと言う訳ではない。

 戦争によって疲弊した国を復興させるのはかなり大変なことだ。復興するために何年もかけなければならないだろう。それにはかなりの労働力と資金がかかる。また資材なども用意しなくてはならない。


「確かに兵力差は歴然。いくら英雄様がいても確かに我々が不利なことに変わりはないですね」


 ジェルミーはどうやら違う意味で受け取ったらしい。


「まぁ、そういうことだ」


 俺も態々説明するつもりはない。何より戦力が必要なことに変わりはない。


「竜の力、必ず手に入れる」


 俺は砦から見える竜の山脈に目を向ける。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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