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騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になりました。
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新生 第三軍

久しぶりの投稿です。


いくつか変更点がありますのでご報告します。


まず第四章の章タイトル帝国を精霊領へ変更しました。


また110話の将軍から第五章のスタートさせていただきました。色々考えた末ですので、どうぞよろしくお願いします。

 ヨハン・ガルガンディアが第三軍の総大将となったことは、すぐに国中が知れ渡ることとなった。

雪が降り積もる間は帝国も攻めてはこないため、王国は大々的な改革を行い、それは王国のじゅうで話題となった。

 新たに将軍となった二人は、16歳という若さであり、一人は英雄勲章まで授かっているのだ。それは王国に勇者が現れたことを示し、英雄はその国の旗印ともいえる。王族が討たれようと英雄が生きている限り王国は負けたことにならない。

 逆に英雄が死んだとしても王族が生きていれば負けとはならない。王国に二つの旗ができたことを表している。


 そんな大きな変革を終えた王国は、軍内部でもかなりの変化が訪れていた。第一軍から英雄ランスを慕い、第二軍へ異動を願うモノが相次ぎ、また第三軍のミリューゼ配下だったものがほとんど第二軍へそのまま移籍となった。


 そのため第一軍は、王族と王都を守護する近衛部隊だけとなり、貴族の者達が多く集まった。若者や本当に活躍したい者は第二軍へ異動し、第一軍はその規模を縮小することとなった。

 

 第三軍に関しては、ヨハンを慕った第三魔法師団がそのまま残り、第二軍の私兵として働いたが主を失った貴族の私兵達が行き場を失って第三軍へと流れてきた。

 教養がある分、主だと認めない者には横柄な態度を取る荒くれ者達が集ったことで、第三軍は危険で無秩序な軍と呼ばれるようになる。

 第二軍に比べれば数は半分ほどではあるが、個性豊かな者達が多いため第二軍よりも大変だと思われたのだ。


「ようこそガルガンディアへ。俺が第三軍の大将となったヨハン・ガルガンディアです」


 新たに第三軍となった者達を、ガルガンディアまで連れてきたのには意味がある。俺は自己紹介をして、目の前に集まる第三軍の兵士に語りかけた。


「若輩である俺のことなど知らない者、どうして俺のような者に仕えないといけないんだと思っている者、様々な思いがあると思う。そこであなた達に伝えておきたい。俺は英雄とは違って特別なことは何もできない。領地の経営は元第三魔法師団団長のジェルミー殿に丸投げしているし、軍関連はセレーナ様の参謀であるサク殿に任せている」


 俺が何を話しているのかわからないと言ったような顔で、兵達は不思議そうな顔をしている。


「そこで君たちのことも、ある方に訓練をお願いすることにした。お願いします」


 俺が呼ぶとゴルドナが現れる。


「ヨハン殿の要請により参上した。ドワーフ族総大将ゴルドナだ。貴殿らからすればドワーフなどど思うかもしれないが。これは総大将であるヨハン殿の要請であり、私の命令はヨハン殿の命令と思ってもらいたい」


 突然現れた厳ついドワーフに圧倒されていた者たちも段々と状況が飲み込めてきたようだ。


「質問をよろしいでしょうか?」


 先頭に立っていたイケメンが一歩前にでる。


「なんだ?」


 イケメンに対して、ゴルドナが声を返せば、それだけでかなりの威圧があると感心してしまう。


「それは我々の指揮官をゴルドナ殿がされるということでしょうか?」

「違う。ワシがするのは貴様たちの訓練だ」

「訓練?」


 ゴルドナの言葉に兵士たちがざわつき始める。


「そうだ。ワシのことは軍曹と呼ぶがいい。これから貴様らにはガルガンディア式軍隊訓練に参加してもらう」

「訓練など必要はありません。私たちは第二軍で厳しい訓練を受けてきた正規兵です」

「それを決めるのはお主ではない。このワシだ」


 ゴルドナの物言いに反抗心が湧いてきたのか、イケメンがムッとしたような顔で、さらに一歩前にでる。


「それは横暴ではありませんか。我々にも人権があるはずです」


 そのイケメンの態度にゴルドナはやれやれと言った感じでため息を吐く。


「うむ。では帰られるのがよろしいのではないか?何も強制はせんよ。これはヨハン殿も同意していくれておることだが。所詮、第三軍は寄せ集め集団にすぎん。元々統制がとれているとは思っておらんのでな。行き場の無い者達をここで鍛え直してやろうというヨハン殿の親心ではあるが、それを受け入れられないのであれば仕方あるまい。去るが良かろう」


 ゴルドナの言葉にイケメンは怯み、イケメンと同じ意見で講義をしようとしていた者たちも口々にどうすればいいかと戸惑い出した。


「俺は強制はしません。ですが、現在王国は危機に立たされています。今までと同じでは帝国には勝てないんですよ。今、できることを最大限にやる。それしかないと考えています」


 俺は悩んでいる者たち追い打ちをかけるように熱弁をふるった。人の心理を操るうえで大切なことは、わかりやすいことと、厳しさであると思っている。

 この場合、王国の現状がわかりやすさであり、厳しさとは武力が足りないとハッキリ伝えることだ。


「私の不徳でした。お許し下さい」


 俺の言葉を聞いて真っ先に膝を折ったのは先ほどまで矢面にたっていたイケメンだった。彼は俺の意図を理解したのか、彼が折れると、次々と兵士たちが膝を突く。

 集団意識とは凄いものだ。みんながしているならば自分もしなければならないと思ってしまう。


「ありがとう。理解してくれて。それでは、あとのことはゴルドナ殿に一任している。一か月後、君たちが今よりも強くなっていることを願っている」


 俺はそういうと集会場を後にした。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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