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精霊領奪還 2

昨日はアクセス数が多く。お祝いのお言葉を頂きましたので、今日は頑張って投稿してみました。明日はお休みします<m(__)m>

 ジャイガントが早く去ってくれることを祈っていると、ゴブリン達が雄叫びを上げている声が近づいてくる。戦闘をしていた帝国兵たちが押されているのだ。

 ジャイガントも異変に気付いたらしく。騒ぎが起きている方に視線を向ける。


「騒々しいな!何事だ!」


 俺はジャイガントに気付かれるのを恐れて司令官を装うことを決めた。


「はっ!森の方からゴブリンが大量発生した模様です。群れで街に迫っておりますところ、兵士たちが応戦しております。ただ何分向こうの数が多く。押されております」

「そうか、力を貸した方がよいか?」


 ジャイガントは嬉々とした表情で俺に問うてきた。


「いえ、問題ありません。モンスター如き私がねじ伏せてきます」

「だが、あちらさんはすぐそこまできているようだが?」


 嬉々とした表情でジャイガントが指を差した方角を見れば、ゴブリン達が今にも国境の街に迫るところまできていた。

 向こうにもジャイガントの巨体は見えているはずなのに、どうして止まらないのか。


「あちらさんはやる気のようだな」


 嬉しそうにジャイガントが一歩踏み出す。


「お待ちくださいジャイガント様。あなた様がここで戦われては街にも被害がでます」

「上手いことやるさ」


 ジャイガントは俺の言葉など聞く耳を持たず、ゴブリン達の元へと踏み出していく。俺の足ではジャイガントの一歩に遠く及ばない。


「行くなって言ってんだろ!」


 俺は叫ぶと同時に重力魔法を使う。ジャイガントの一歩がさらに重くなり、地面に巨大な穴が空き、ジャイガントが動かなくなる。


「ほう~ワシの動きを止めるか。お主は本当に面白いの。じゃが、八魔将であるワシの行動を一司令官であるお主が止めてよいと思っておるのか!」


 威圧、殺意、本当の強者が放てば弱い者は心が折れ、それだけでショック死してしまう。ジャイガントは本当の強者である。戦闘に関して彼ほど戦闘を楽しみ、数々の戦闘を経験した者はいないだろう。人を殺した数も、強者を打ち負かした数もジャイガントは誰よりも多いと言える。


「ここは私の管轄です」


 ヨハンの管轄でもない。それでもここは俺が手に入れる。


「ワシの威圧を受けても耐えよるか。うむ。そこまでの意思があるのは良い。だがな、ガルガンディア。我を止めることはできんぞ」


 ジャイガントとの交戦は避けたい。こいつを倒せるのはランスだけだ。


「それでも止めて見せます」

「良いな、良いぞ。ワシはゴブリンなどと言う下等生物よりもお主のような者の方が面白いぞ」


 ジャイガントは標的を変えてヨハンを見据える。


「ならば場所を変えて頂きます。街を壊させるわけにはいかない」

「よかろう」


 ジャイガントは踵を返して街を離れる。街の近くにある岩で埋め尽くされた山まで来ると、俺を待ち構えるように座り込んだ。


「予定が狂ったな」


 俺は魔法で作り出した青い狼煙を上げる。リンとココナへの合図だ。青い狼煙は俺に不測の事態があった場合、それぞれの考えで行動するようにと意味を込めている。


「待ちわびたぞ」


 岩山に到着すれば、ジャイガントは胡坐をかいて座っていた。


「ジャイガント殿、同じ帝国の兵士なのです。戦う必要はないと思いますが」

「まどろっこしいことはどうでもいいわい。お主はワシに意見した。意見を通してほしくば力を見せよ。男ならば黙って拳を交えればわかるというものじゃ」


 戦闘バカに何を言っても仕方がないらしい。


「わかりました。力を示します。それでどうかお帰りください」

「それほどに自身があるか、ならば御託はもういい。かかって来るがよい」


 八魔将の一人、ネフェリト・ジャイガント。ゲームの設定では、攻撃力と体力に関しては最強だったはずだ。しかも、厄介な特殊能力ももってやがる。


「肉体強化!」


 俺は魔力を肉体の強化に費やす。ジャイガントには重力魔法以外は使えないのだ。


「ほう、魔力による肉体強化か。お主、ワシと戦ったことでもあるのか?」


 ネフェリト・ジャイガントに魔法は通じない。魔法を使えば全て吸収して、その身に取り込むからだ。魔力吸収は特殊なスキルであり習得できるのは、固有の種族だけなのだ。特殊スキルと最強矛を持った化け物を倒すためには、同じだけの攻撃力と特殊な武器による攻撃しかない。


「ありませんよ。戦いたいとも思いません」

「ならばなぜ止める?ワシが暴れたとしても、それほどの力量があればお主一人逃げることなど容易かろう」

「それもできませんから」


 俺は司令官の服を脱ぎ棄て、動きやすい格好になる。


「我儘な奴だ」


 ジャイガントはフッと笑うと立ち上がった。


「だが、それが面白い」


 俺は極限まで肉体強化したところで、ネフェリト・ジャイガントに向かって走る。膝にも届かない身長差を活かして死角に回り込もうとする。


「甘いの」


 俺が死角に周り込んで攻撃を仕掛けるが難なく防がれる。


「単純じゃな」


 防がれることなどわかっていた。だからこそ、俺は重力を付加している。


「グっ!」


 ジャイガントの防いだ中指が変な方向に曲がっていく。


「個人属性というやつか」


 個人属性は魔法として特殊であり、魔力吸収と同じ特殊部類に入る。そのため魔力を吸収することができないのだ。


「面白いの~面白い」


 自分の指が変な方向に曲がったことを巨人は笑った。


「久々に痛いと思ったぞ」

「痛いだけですか、結構全力なんですけどね」


 魔力肉体強化+重力カウンターで指一本。ハッキリって割に合わない。


「ガハハハ。もっともっと楽しませてくれよ」


 もしも、蟻と人間が戦ったならばどちらが勝つか?軍隊蟻は大勢で人を襲うことで勝つことはある。だが、たった一匹の普通の蟻が、本気で追いかけてくる巨大な人の攻撃を防げるはずがない。

 巨大な掌が俺を襲う。俺が普通の蟻ならば踏み潰されて終わっていたことだろう。


「紫電」


 魔力による肉体強化に上乗せする形で雷魔法で神経伝達の速度を上げる。身体への負荷は計り知れないが、自己治癒能力強化も上乗せして掌を避ける。

 避けた速度を維持したままネフェリト・ジャイガントの腕を駆け上がる。腰から斧を抜き、切り裂くことも忘れない。

 薄皮を切り裂いただけのような感触だが、多少でも出血させることに意味がある。


「グヌヌヌ!ウガッー!」


 腕を振り上げ俺を振り落とそうとする。


「重力アップ」


 俺は自身の体重を数千倍の重さに変える。自分もカエルのように押し潰されるが、俺の重さはジャイガントの腕を地面にめり込ませ、骨が折れる音を響かせる。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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