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わたしが今興味のある本、『淳』について(土師守さん著)

昨日、投稿したエッセイと同じ内容となっております。

せっかくですので、連載形式とすることに致しました。


こちらは、一部残酷表現がございますので、R15とさせて頂きます。

 今世間では、「絶歌」という本が話題となっている。既に10万部が売上げられ、昨日のニュースでは、新たに5万部増刷されたという事だ。

 1997年、日本中を震撼させた「神戸連続児童殺傷事件」で「酒鬼薔薇聖斗」と名乗る人物が起こした、凄惨な殺人事件の犯人が記した手記だ。

 その当時、わたしは中学生だったと思う。犯人と同年代だった。

 連日マスコミでも取り上げられ、そのあまりに惨たらしい犯行に、10代の子供が起こす事ができる事なのだろうかと疑いさえ感じたものだった。

 子供の頭部を切断し、あまつさえ、それを学校の校門に晒すだなんて……。

 想像するだに恐ろしい。けれど、それが現実として行われたのだ。



 わたしは、よくアマゾンで古本やDVDを漁り、購入する事が多い。

 この作品も例外ではなく、アマゾンで販売されている。

 正直、わたしは、この本を読もうかどうか迷っている。つまり、興味があるのだ。この「元少年A」は何を考え、どんな環境で、そんな犯行に及んだのか。元から何か疾患があったのか、それとも後天的なものだったのか……。



 だが、その前にわたしは、レビューを覗いた。

 わたしは、温泉旅館などに宿泊する時は、必ず他の人のレビューを参考にしている。利用した宿泊客たちの生の声を知りたいからだ。

 そのため、今回も例にもれず、わたしは絶歌を読んだ人の生の感想を読んだ。



 すると、「更生など皆無」「金儲け」「被害者の気持ちを無視した暴挙」など、辛辣な意見が多数を占めていた。被害者側の気持ちに配慮したものが多かった。


 5つ星のうち、1.6という評価。

 評価的には大失敗なのではないのだろうか。けれど、今回現実として5万部も増刷されたのだ。

 つまり、評価は低くても、読みたいと思っている人たちが、およそ5万人程度想定されているという事なのだろう。ただし、この中には、はなから転売目的で大量購入している者もいるだろう。実際、そういった行為は既に横行しているようだ。けれど、出版社からすれば売れればいいのだ。


 しかし、その中でも星5つを付けた購入者もいる。

 彼らのレビューを見てみると、「なぜ、あんな凄惨な事件を起こすに至ったのか知る事ができた」「文章に引き込まれた」「自分も何かのはずみで、殺人者になる可能性を秘めているのではないか?」といった、逆に加害者側の視点に立った意見が多かった。



 なるほど、どちらの意見も納得のいくものだ。



 購入するべきか、見送るべきか……。

 アマゾンには、そんな悩める人のために「閲覧履歴からのおすすめ」という個所がある。

 自分が閲覧したページを分析し、「あなたにおススメのこんな面白そうなものがありますよ」という、いわゆる販売促進を狙った、ユーザー心をくすぐる紹介欄だ。

 これが、意外と馬鹿にできないのだ。

 「あっ、こんなのあるんだ~」と、そのページを開いてみると、その先には再び自分の購入意欲をそそる物が……。そんな風にして、気付くと何時間もアマゾン漁りをしてしまっている事があるのだ。



 少し話が逸れてしまいましたので、表題に戻りますね。


 そんな、アマゾン漁りをしている中で発見したのが、『淳』という本だった。

 著者は、土師(はせ)守さん。

 元少年Aに惨たらしく殺害され、校門に晒された男の子、淳君のお父様です。



 わたしは、「絶歌」よりも、こちらの方が読みたいと興味をひかれた。

 「興味がひかれる」という表現は、不適切かもしれませんね。

 けれど、大切な我が子を突然失ってしまう。そんな辛い状況をどのように克服し、手記にしようと思ったのか。お父様や、彼の家族たちがどんな困難に立ち向かっていったのか。そんなリアルを私は知りたいと思ったのです。

 また、昔は今以上に「少年法」という厚い壁が存在していた。きっと、私のような、よくある平凡な人生を歩んできた人間には、想像できないような苦しみを味わってきたのでしょう。



 こちらは星5のうち、なんと4.9という高評価。一層、読書欲が湧く。

 いざ、購入しようと値段を見ると、なんと文庫で¥4,296!!単行本に至っては、¥4,800だった。

 絶歌の出版で再注目され値段が跳ねあがったのか、もともと人気で希少性があったのか……。

 それではと思い、今度は「楽天ブックス」を見てみる。すると、やはりこちらも品切れ状態……。



 読みたいけれど、この代金は著者である土師さんに入るわけではないのだ。この本を売れると見越した書店や個人の出品者が、価格を釣り上げたのだ。確かに商売とは、そういうものなのだろう。けれど、元少年Aを「金儲け」と軽蔑する者と、あまり変わりないように感じてしまうのだ。もちろん、殺人者を擁護するつもりなど毛頭ない。彼が犯した罪は、あまりにも大きすぎる。

 ただ、自分が¥4,296を払い、いくらかの印税が土師さんに入るのならば、わたしは即購入した。けれど、そのお金が全て別の第三者に入ってしまうのでは、あまりにも虚しい気がしてしまう。



 どうやら、『淳』は既に絶版となっているようだ。

 根気よく本屋巡りをするか、図書館で探すしかないようだ。

 また、今回の『絶歌』の出版に関して、土師さんは回収するよう抗議されたようだ。もっともな事であると思う。我が子を殺害した人間の書いた手記など、被害者家族にとっては何の利になるのだろうか。それどころか、再び傷を抉られるようなものであろう。



 また、土師さんの本に関連して、『「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記』という本も同時に紹介されていた。そちらは、単行本で¥181という古本の一般的な金額だった。


 こちらは、逆に、加害者の両親の書いた手記である。

 レビューを読むと、「どこまでも我が子を無実と信じるだけの母親」「息子の異常性を認識していながら、何の手立ても講じない両親」など、多くは機能不全家庭の在り方に言及していた。また、葬儀の時に淳君のお母様が、あまりに酷い息子さんの顔を見れずにいたら「息子の顔ぐらい見たりぃな、難儀なことやなぁ」と元少年Aの母親が言い放ったそうだ。

 このレビューを読んだだけで、既に、この本のあらましさえも見えてきてしまった。


 このようなレビューを読んでいたら、「こんな親に育てられたら、性格も歪むよなぁ。もしかしたら、殺人を犯してしまう程の闇をずっと溜め込んでいたのかもしれない」と、加害者に少し肩入れしてしまう自分がいたのだ。

 おそらく、このような気持ちになった方が、「絶歌」に星5を付けたのでしょう。



 ともかく、わたしは今これらの本に興味を持っている。

 わたしは、この「小説家になろう」で小説を執筆しているくせに、あまり小説を読まない方なのだ。もちろん、全くという訳ではない。けれど、この「なろう」内で熱心に執筆に励んでいる諸先輩方に比べれば、読書量は少ない方なのではないかと思う。(漫画は大好きで良く読みますが……)




 まず、図書館や書店巡りをして『淳』→アマゾンにて『「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記』を購入→図書館で『絶歌』を借りる、という目標を立ててみようと思う。




 皆様も、偶にはアマゾン漁りをしてみるといいかもしれませんよ?

 時には、このような良い本との「出会い」がありますから! 





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