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涙水雨

作者: 田中シバコ


悲しみにくれる女の子のお話。


「自分の中にこんなに水分があるなんて。」


使い古された表現。昨日まで、正確には1日と2時間17分前までの自分なら鼻で笑ってただろう。


過去に戻れるなら自分に伝えなければ。「人間は思ったより泣ける。」と。ちょっと待て。そんなことをしてる場合じゃない、過去に戻れるならすべき事があったはずだ。こんなことにならないないように。できることがあったのかは不明だ。

そんなことを考えている今も涙が溢れる。とめどなく。このままいけばこの小さな空間は涙で溢れて自分は溺れるのだろうか。


涙で水死。


史上初じゃないだろうな。いっちょやってみるか。


いなくなるだけでこんなことになってしまう自分はきっと弱い。強いものだと思っていた。強くいなければ、とも。


存在さえ知らないけどこの際なんにでも頼ってしまえ。神よ仏よ月も太陽もお願いだからーー。



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