17夜 監視する少年
こんにちは、おろし生姜です。
早く暖かくなってほしいですよ。
それではゆっくり見ていってね!!!
どうやらあれは俺をターゲットにしているらしい。
一応蒼来様に俺の能力で監視をつけたのは正解だった。いつ気づかれるかと最初は心配していたが、
そんな心配は無用だったらしい。『監視する程度の能力』は思った以上に良いらしい。
さて、俺はどうしようか。逃げるべきか。会うべきか。
距離は近い。しばらく様子を見るためにも、一旦逃げる方が得策か。
いや、選択肢は恐らく一つだろう。俺はゆっくりと後ろを向く。
「貴方はずっと出てこない方が良かったんですがね。」
「ものすごい言い様だね。お礼を言いに来たのに〜。」
あははー。と彼は笑った。蒼来様じゃあ考えられないお気楽さだ。
「それだけじゃないはずですが。」
「あは、バレた?なら、話は早いよね。」
言うが早いか、彼は攻撃を仕掛けてきた。速い弾と遅い弾があるようで地上では避け辛い。
間を縫うようにして、キューブ(正二十面体)を出す。
『来符 全てを映す水鏡』
網の目のように張り巡らせた弾を撃つ。彼は間を器用にくぐり抜ける。時には相殺をして道を作る。
「あぶ、な」
飛んできた弾が服を掠める。避けるのが遅ければ確実に当たっていた。危ない。
「お返しだっ!」
『盗符 トラップ オブ スティーリング』
網の目のような弾幕が、って俺がさっき撃ったものじゃないか。
ひとまず浮遊した方が確実に避けやすい。空中で避けつつ後ろへ回り込む。
「厄介なスペルカードですよ。攻略すれば良い話ですが。」
蒼来様は飛べないはずなのだが。あれの力があれば飛べるだろう。
「飛ぶのって楽しいね。蒼来も飛べたら良いのになー、あはははっ!」
『魔符 フランベルジェ』
はしゃいでいるのかと思えば、剣が出てくる。思考回路がわからない。
彼が剣を振るうと、衝撃波(?)がとんできた。結構速い。
避けるので精一杯だ。考えている間も無い。
「ど、して、貴方はそう、人間達を意味もなく、襲うのですか?」
「意味ならちゃんとあるんだよ。僕だって考えているんだよー。」
「ああ、そうですかっ!」
聞いている暇もない。
「避けてるだけじゃ、勝てないよー?」
そんなことは分かっている。でも、隙が見出せない。
刹那、空気がざわめく。
「じゃあ、終わらせるよ。」
『来符 クローフィグラート』
「・・・。」
確実に当てた、と思ったんだけどなー。いや、当たった。でも、
「逃げられちゃったね。楽しくないな。」
僕が何で人間を襲うか、教えようと思ったのに。
過ぎちゃったし、仕方ないかなー。人間に混じって情報を集めようかな。
つまんない。ここら辺別に[掃除]しても良いよね。
前は僕が好き勝手やってたから、蒼来の意思も汲み取って行動してるんだ。
蒼来が人間が怖いって言ってた。だから襲ってた。
それだけだよ。僕は怖くなんてちっとも思ってないけどね。
蒼来の分身は僕がただ愉しさのために襲っていたと考えているみたいだけどね。
別に気にしないけど。