15夜 遅い危機感
おろし生姜です。
何を思ったのか以前と比べて長いです。
では、ゆっくり見ていってね!!!
頭が痛い。幻覚が見える。幻聴もだ。
蒼来様の記憶と力の封印が解けたのだろうか。
分身の俺にも影響を与える程の力を持つのであれば蒼来様への影響は俺よりも大きいはずだ。
最悪、人々を見境なく殺してしまうだろう。
【あれ】は人間への殺意が強すぎる。
でも、あの村の人々が過去に行ったことを考えれば妥当なものなのか?
古くから天災を恐れた村人達は神に幼子を捧げる。
簡単に言えば、人柱だ。
人柱にされた彼等の怒り、恨み、悲しみ、など様々な負の感情が【あれ】の殺意になっている。
しかも、思考は単純。つまり、殺意を抑えられないということ。
呑み込まれてしまえばひとたまりもない。彼等の傀儡になってしまう。
自らの手が血に染まっていく様を、ただ見ているしかない。
蒼来様は過去に一度、それで家族をほぼ全員殺してしまった。姉を除く全員を。
原因は蒼来様を人柱にしようとしたため。理由は蒼来様が本当はいるはずでは無かったから。
姉は反対した。弟を生贄にする位なら私が代わると。
だが、家族は蒼来様を人柱に差し出そうとした。そして、殺された。
二度とそんなことが起きぬよう、姉は記憶と力を封印した。自らを犠牲にして。
しかし、力の名残があるのか、蒼来様の寿命は人を超え、姿はほとんど変わらなかった。
姉の考えを理解した蒼来様は村人が人柱を出さない様に、俺を作った。
今は生贄なんて無い世界になった。なのにあれ程まで力があるのか。
幻想郷でも人間が殺される様なことになったら今度は止められない。行かなければ。
〜蒼来〜
「蒼来お兄ちゃんー。あーそーぼ!」
「いいよ。何して遊ぼうか?」
今僕は里の子供達と遊んでいる。こうしてある程度接点を持てば、色々便利だ。
この身体は子供と遊んでいても、違和感が無い。つまり、大人にも不審感を抱かれずに済む。
大人にも子供にも色々な策が立てられる。飽きることはないだろう。
「そうだ、探検しようよ。パパやママをビックリさせてやろう!」
などと言えば
「行こう!楽しみだね!」
とついて来る。そして人の気配がしない場所でわざとはぐれ、
「お兄ちゃん・・・どこ?」
と怖がっている所を背後から殺す。後は親が探しに来たときに傷だらけになって倒れていればいい。
「蒼来君!?大丈夫かい!?」
と心配される。僕のせいとは考えない。滑稽だ。
怯えたように振る舞えば、さらに心配する。
可哀想に、可哀想に。
決して僕が殺ったとは考えない人間たちがとても面白くて、とても愉快だった。
僕だったら殺されていない、生き残ったヤツを疑うのにね。
事前に下準備をしたらこんなにも面白くなるのか。じゃあ、能力を使ったらもっと楽しめるかな?
能力を盗む、か。まずは能力集めだね。
始めよう、盗魔襲を。