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十刻ノ月  作者: 牧田紗矢乃
肆ノ日

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33/50

第参刻 〈信号が点滅した〉

 ……、そう、か。

 永遠を手に入れて、アナタは変わった。もちろん、おれだって変わっている。でも、今回のアナタは特に様子がおかしいのだ。


 おれたちは、いつかは別れの日を迎える。

 ……いや、正確にはもう迎えていた。

 それなのに、おれとアナタが離れることはなかった。

 それはきっと、喜ぶべきことなのだろう。アナタを探し求め、果ての知れない旅をする必要がないのだから。




 ある日、途方に暮れているアナタに見知らぬ幼女が声を掛けてきた。

 その日からだ。アナタが変わり始めたのは。

 何かに操られるように、段々と虚ろになっていく。


 ――あいつのせいなのか?


 おれの中にも疑念がわいた。

 けれど、時はすでに遅かったらしい。気が付けば、おれの方までそれは及んでいた。


 自らの意思に反して、体がおかしな動きを始める。

 無意味に街角に佇んでみたり、そこへ通りかかる人々を恐怖させて楽しんだり。


 もちろん、おれたちの悪戯なんて無視して通り過ぎていく人々も数多くいた。

 人を驚かせて楽しむなんて、優しいアナタの姿からは全く想像もつかないことだった。

 おれも、無意識のうちにその悪事に手を貸している。


 やめなければ、とめなければという思いは常にあった。しかし、それは思考よりも強い、本能とでもいうべきものによって制御される。

 どうしようもなく途方に暮れていた時、見知らぬ少年が現れた。


「やっぱりだ」


 彼はそう呟いておれたちに近づいてきた。

 少年はまだ中学生くらいと見え、学校の制服を着ていた。手には通学用のカバンも握られている。

 一体何事かと思ったが、最近はめっきり無視されることが多くなったおれは胸が疼くような不思議な感覚を覚えた。

 彼なら何かを変えてくれるかもしれない、そんな期待まで抱かせる。


「出ておいでよ」


 少年が言った。

 アナタの肩がびくりと揺れる。


 ――大丈夫。いざという時はおれがアナタを守るヨ。


 小さく囁いて、アナタの後押しをした。

 この時、危険を知らせるシグナルが明滅していたことをおれはまだ知らない。

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