プロローグ
柔らかな緑の絨毯。降り注ぐ穏やかな日差し。頬を撫でる柔らかな風。
眼前に広がるのは広大な草原だ。何度この場に立ってもここがダンジョンの中だとは思えない。
初めてこの景色を見た時は、感動したものだが、今は上に続く階段までの道が遠いという感想しか出てこなくなってしまったな。
そんなことを思いながら上に続く階段へと向う俺の前に、いつもの相手が現れる。
白い体毛につぶらな瞳。発達した後脚をもつそいつは、額にある大きな角を除けばウサギそのものなのだが、いかんせん額の大きな一本角と、大型犬ほどの体がうさぎとしての可愛らしさをかき消している。
そんな一角ウサギは俺の姿を視界に捉えると、間髪入れずに襲い掛かってきた。
「ったく。モンスターってのはなんでこんなに脳筋なんだよ」
人間を見つけると、とにかく襲い掛かってくるモンスターに辟易しながらも、一角ウサギの体当たりをひらりと躱し、腰に佩いた片手剣をスラリと引き抜き、流れるように一角ウサギの首に打ち下ろした。
一刀で首を切り飛ばすと、一角ウサギは黒光の粒子となり霧散する。この光景も見慣れてしまったが、初めての時は違和感しかなかったなと、ドロップしていた角を拾いながら思い出す。
「もう出てこないでくれよ。早く家に帰って風呂に入りたいんだ」
今回のダンジョンアタックは二泊三日で行った。ダンジョン内の川や池で水を見つけると身体を拭いていたから臭くはないと思うが、ゆっくりとお湯に浸かりたい。お目当てのドロップも入手することもできた。少し贅沢をして発泡酒じゃなく、ちゃんとしたビールで祝杯をあげよう。
俺はダンジョンの外を目指し、重い足を動かす。だが、気持ちは軽かった。
やっとの思いで集めたドロップ品が、俺の未来を明るく照らしてくれるだろう。
将来に希望が持てるようになるとは、ハンターになって本当によかった。




