ロキの剣が刺さった神殿
シェイラがディルカンに到着して、一ヶ月が経った頃、ディルカンから南西の都市であるヘルゲドムの神殿でへーリグ・プラッツが神官であるターラ・オムに胸ぐらを掴みかかっていた。
「なんで存在もしねぇ神を畏れて、触れさせようとしない!?おぉいっ!」
「何度言えば判る。ロキ様は何処かに隠れて我々を見ておる。小僧がロキ様の剣を——レーバァテインを抜けるわけがないわい。わかったらさっさと帰らんか、小僧!」
「なっ、何をー!?試しもしねぇで何が判るんだこのくそ爺!!」
「言わせておけば、この小僧!神聖な聖武器をこの都市に移り住んで短いものが何を言うか、わきまえんか!?」
「ぐぬぬぅぅっ」
「これを捧げるととしたどうする」
「はっ、お前のようなものに——」
へーリグがシルフィウムを一輪、突き出す。
「なっ……なぜお主のような小僧がシルフィウムを!?じゅるる…….こっ、このそのような高価なものを——」
「あるおねぇさんが何か困った時に見せびらかされば、揺らぐって」
「入る許可をくれるならコレ、やってもいいぞ」
「くぅぅっ。わかったわい、それと引き換えに入ってもいいわい。聖域に……じゃが、触れてもなんの災いが降りかかるかわからんからな。神の神器じゃからな」
ターラは高価なシルフィウムの一輪を奪い取り、歩きだした。
シルフィウムは香辛料や香水、媚薬、薬となれる植物だ。
交易品の一つだ。
ターラは訝しげながらも見たことのある植物に不適の笑みを浮かべずにはいられない。
中々入手出来ないのだ。
へーリグは微笑を浮かべ、奥の祭壇が置かれた一室に脚を踏み入れる。
クリスタルの扉のノブに手をかけ、這入ると威圧感が身体中を纏った。
祭壇の中央には、金で作られた王冠が置かれていた。
祭壇の右側にロキの剣——レーバァテインがクリスタルの小さな丘のようなところに刺さっていた。
僕はクリスタルの小さな丘のようなところに歩み寄り、片腕を伸ばすが触れるなと直感が危険信号を送った。
僕は脚を滑らせ、悲鳴をあげた。
「ひぃぃいいぃぃっっ!!すみませんでした」
身体を支えていた両手を浮かし、立ち上がった。
退いて、扉の方へと走りだした。
僕はそのまま神殿を逃げ出し、自宅へと逃げ帰った。
神殿の奥にある祭壇の上から神が人類に聞こえない声で発した。
〈愚か者め、私のロキちゃんの剣に触れようなんて罰当たりにも程があるわ〉
ロキの母親がレーバァテインに咒いを施している為、ロキ以外には抜けないのだ。
へーリグはその後、神殿に赴くことが減った。
ロキはブーフュースレーンの一番高い樹の枝で鷹に変身して愛娘の成長を見守っていた。
スウェーデン関連や北欧神話のを引っ張ってきてるので気になった方は調べてください。
後に書きます。