ストーミィグ村
スウェーデン語でブローは青色です。
ストーミィグは荒れたとなります。ベンドゥラは感心するです。
私はストーミィグ村に到着し、ストーミィグと彫られた看板を一瞥してから脚を踏み入れた。
伐採された樹が何十本も積まれた場所が有り、その奥からカンカンと軽い何かをぶつけ合う物音が聞こえ、近づいて行く。
70ヤヴィトルスほどの粗末な木剣をぶつけ合う少年と少女がいた。
「やぁぁあぁぁッッ!!」
「そんなもんで俺に勝てるか!」
「あんたなんかに負けてたまるかぁぁああぁぁぁ!!」
少女が少年におされていた。
「おうおうやってるじゃないか!冒険者にでもなるのかい、きみらぁ?」
「うわぁ、誰だよ。あんたのせいで不意を突かれたじゃんか!」
脚もとに落ちていた小石に脚を取られ、バランスを崩して少女の木剣の先で点をとられ悲鳴を上げてから文句を垂れた。
「お姉さん、旅人ですか?はぁはぁ……仲間とはぐれたの?」
「私は冒険者だよ、一人でね。もう夜だよ、稽古なんてしてたら親に叱られるぞ。さっさと帰らないと」
「稽古なんてもんじゃねぇ!!決闘だ、生意気な小娘と。なにかとつけて、喧嘩を吹っかけてくんだ、こいつ!」
「誰が生意気な小娘だ!私はおまえより強いんだ!このブロー!」
ブローと呼ばれた少年は少女の胸ぐらを掴み、少女もブローの胸ぐらを掴み、口論を始めた。
「どっちがどっちより強いかとか良いから、さっさと自宅へ帰んな」
私はブローと少女に頭の上に拳骨をくらわし、喧嘩を仲裁した。
「小娘〜今日も勝ったぞぉー!!ははっ」
ブローは拳骨をくらった箇所を撫でながら、木剣を振り回し、嬉々としながら村の奥へと姿を消した。
「私まで拳骨をくらわすなんて酷いです。冒険者なんですよね、宿屋に案内しましょうか?」
「ははっ!宿屋に案内してくれるのか?優しいなお嬢ちゃん」
「むぅぅっ。お嬢ちゃんはやめてください」
少女は歩きながら頬を膨らませ、不貞腐れる。
5刻程少女と歩いて到着した明かりが灯った一軒の建物が宿屋らしい。
少女の後に続いて宿屋に脚を踏み入れた。
「ただいまー。お客さん来たよ!ご飯なに〜?」
少女が挨拶をすると顎髭を生やした男性が奥から出てきて挨拶をした。
「おかえり……ってその頭のコブはどうした、ベンドゥラ?あれ……お客さんかい、お嬢さん?」
「さっきストーミィグ村に着いた冒険者です。一泊したいんですが……」
「ようこそ。狭くてボロい宿屋ですがごゆるりと。食事付きのプランで宜しいですか?」
「ええ、その方でお願いします」
「ご承知しました。お食事はもうじきに出来上がりますので、お好きな席でお待ちください」
カウンター席で軋む椅子に腰を落ち着かせ、食事を待った。
奥で嫁らしき婦人の声が聞こえ、先程の男性の声も聞こえた。
左の椅子にベンドゥラが座って、話し掛けてきた。
「お姉さんは何処から此処まで来たの?」
「シャラフっていう国から来たんだ。ベンドゥラはさっきのブローって子と仲が悪いのかい?」
「シャラフって隣の国だよね?ブローとは仲良しじゃない」
私は食事を摂り終え、ランタンをおじさんに持っていくように言われ、浴室に向かって、ミシミシと軋む浴室で汗を流し、浴槽に浸かり、借りた部屋で就寝した。