別れの挨拶と商人との出会い
私は《冬の木枯らし》の面々と挨拶を交わし、リラの自宅に向かった。
リラの自宅の玄関扉をノックして、出てくるのを待つ。
出てきたのは彼女の父親だった。
「あぁ、シェイラさん。おはようございます。今日はどういった用件ですか?」
「ディルカンを発って、アウグストに行くからリラに挨拶をと」
「そうですか、それはそれは……おぉ〜い、リラ!シェイラさんが来たぞ」
ばたばたと脚音が聞こえ、リラが姿を現すと飛び付いて抱きついてきた。
「師匠ぉ〜うぅ、おはようございます!!今日は稽古を早くしてくれるんですか!?」
「稽古をつけに来たんじゃないよ、リラ。ディルカンを発つから挨拶をしにね」
彼女はショックを受けたらしく腕を離した。
「また居なくなるの?もう行っちゃうの?ねぇなんで!なんでなの!?師匠ぉ〜師匠ぅぅ……」
リラが腹を叩いてきた。
「もうすぐ発つ。帰ってくるのはいつになるか分からない……私が帰ってくるまでに練習して、私を驚かせるくらい強くなってみな。強くなってたら私の旅にも同行を許そう」
リラに視線を送ってから、彼女の父親に視線を送る。
父親は頷くことはなく、瞬きをしただけだった。
「うぅぅ……ほんと?強くなってたら一緒に旅に出られる?」
彼女が私に聞いてきて、父親に顔を向け表情を窺う。
父親は笑顔を浮かべ、無言で娘の頭を撫でる。
父親に頭を撫でられたリラに別れの挨拶を告げた私だった。
「じゃあ、行ってくるよ。またな、リラ!」
「悲しいけど……うん、またね師匠!早く帰ってきてね」
私たちは片手を上げ、大きく振り合って別れの挨拶をした。
私はリラの自宅を後にして、幌歩竜車の停留所へと向かった。
私は乗り心地が良さそうな幌歩竜車に近付き、乗車賃をそばに佇んでいた男に払い、幌歩竜車に乗り込んだ。
30刻経った頃に車内が満員になり、扉が閉まり、発車した。
隣に座った裕福そうな格好をしたおじさんと会話を交わした。
「貴方はこれから何処へ向かうのですか?」
「儂はアウグストに帰るんだ。ディルカンは住みやすいとこで来てよかったわい。君は何処へ向かうんじゃ?」
「私はアウグストに向かうんです。建築士の級を上げに。アールスカさんに会って、建物を建てられるように教えを請いに行くんです」
「アールスカさんじゃと!!彼がアウグストにいるんかい?それにあんたが建築士!?それはそれは……儂はついておるようじゃ!建物を建てられるようにって言ったがS級を目指しておるんじゃろ……いつか依頼を頼むかもしれん。儂はアウグストで商人をしておるハンドラレだ。名前はなんという?」
「シェイラです。よろしくお願いします」
私とハンドラレはアウグストまでの道中、会話を弾ませた。




