アールスカは忙しいらしい
私はレグニッグとモルニッグの決闘後、建築ギルドに赴いた。
同伴者のモルニッグがぶつぶつと愚痴ってきた。
建築ギルドまでの道のりで彼の愚痴に弟に言えと応えた。
「シェイラさん、なんで弟と闘っていつもの愚痴を吐かれなきゃならないんですか?」
「私に稽古をつけて貰いたいって言うから……ていうか、弱いなお前」
「弱いですよ!それを知っていながら闘わせるってどういうことですか、シェイラさん!」
「どういうって……兄弟で闘ってもらって稽古をせずに済むかなぁって思ったの。威厳がないな……お前って」
「俺に威厳があると思う方がおかしいですよ。C級になってないんですから、強くないですよ」
「昇任試験を受けろよ、早く」
「んなことぁ言ったって他のメンバーがやろうって気が無いんですもん……」
「やる気を出させるのがリーダーだろ!んなことじゃなぁ……」
建築ギルドに着いて、脚を踏み入れた。
「建築ギルドってこんな静か——」
「失礼なこと言うなよ。おはようございます。あの今ってS級建築士のアールスカさんって居ますか?」
受付カウンターに歩み寄って、用件を告げた私。
「おぉう、おはようさん。シェイラさんじゃねぇか……アールスカさんは次んとこ行ったぞ。えっと……アウグストって街だな」
受付カウンター内に居たいつものオヤジさんが応えてくれた。
「アウグストですか……ありがとうございます」
「アウグストねぇ……アウグストに行くのかい、シェイラさん」
隣で聞いていたモルニッグが、私に聞いてきた。
受付カウンターから離れ、建築ギルドの出入り口まで歩む途中で応えた。
「ディルカンに居ても建築士の級が上がらないし、行こうと思ってる」
「明日か?だったらあいつらを呼んで宴をしようよ」
「明日にも発てたら良いけど、ゆっくり休んでから出るのもアリだなぁ」
建築ギルドを出て、宿屋までの道を歩んでいく私たち。
「ディルカンを発つなら俺ら《冬の木枯らし》に一声掛けてからにしてくれよ。まぁ……弟もシェイラさんのことを慕ってるから一声くらいな」
「発つときはお前らに一声掛けていくから、今から心配すんな。リラにも一声掛けなきゃ心配するだろうし……」
「俺はもう帰るわ、ここで解散な!じゃあ、またなぁ!!」
大袈裟に手を振って、納得したら駆け出すモルニッグだった。
私も彼に手を振ってから歩き出した。
宿屋への帰り道で、リラに稽古をつけてないと思い出し、彼女の自宅に駆け出した私だった。
私が彼女の自宅に赴いて、玄関扉を開けると元気な彼女に迎えられた。




