自給自足できる少女
私は自室の扉がノックされた物音で起床した。
「おはよう、シェイラ。ダクロスが話があるって」
「おはようございます。はい、今すぐ……」
私の返答は起こしにきたニッニィケには届かず、扉の前から気配は遠ざかっていた。
私は着ていた寝汗が染みた部屋着を脱ぎ、いつもの着ている服に着替え、居間へと歩を進めた。
私はダクロスに告げられたのはパーティから抜けろという宣告だった。
私は一言今までの感謝を告げ、荷物を纏め、そそくさとダクロスらの屋敷を出て、ソロ冒険者となった。
街へと向かって歩き出した私だった。
「一人か……まぁ人目を気にせずに暮らせるからいいんだけどね。ふぁ〜あ。ギルドに行って、隣の都市まで行くのは面倒だなぁ」
今後の人生設計図は考えてあり、所持金が減ろうが自給自足もできるし不安は湧かない。
森を抜け、街へと駆ける。
街へと到着したのは1限20刻程で呼吸は乱れていなかった。
徒歩でだと3限は掛かる距離だが、早く到着けた。
パン屋で焼きたてのもちもちパンを購入して、パンを齧りながら、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに脚を踏み入れ、受付カウンターへと歩いていく。
「おはようございます!シェイラさん、本日はどうされましたか?」
「これ。抜けることになった……」
私は受付嬢の前にパーティ脱退用紙と冒険者証を出した。
「なんでそんな急な……あぁ申し訳ございません。では——」
受付嬢のノーウェンは赤髪を揺らし、パーティ脱退用紙と冒険者証を奥へと持って行き、10刻はかからずに戻ってきて冒険者証を返却した。
「——これからどうするんですか、シェイラさん?他のパーティに加入はされないのですか?」
「あぁ、うん……しばらくはのんびりと一人でやっていくよ。あぁそうだ、これらお願いします」
魔具鞄から魔物の魔核や換金物を出し、換金してもらう。
換金して貰い、冒険者ギルドを出て、雑貨屋に赴き、調理器具を購入し、新鮮な野菜を幾らか購入して、隣の都市まで向かう。
幌歩竜車に乗車せずに徒歩で隣の都市まで向かうことにした。
ハプニングが起こるのも楽しんでいこうというスタンスで歩んでいく。
屋敷を出て、初めの夜を迎え、魔法で火を起こし、森で狩った体毛が棘になるラビットを調理して、楕円形の赤とオレンジに染まった果実を絞った果汁で喉を潤した。
飲んだ果実の味は甘味と酸味がバランスよく飲みやすいものだった。
簡易テントを張り、一夜を過ごした。
翌日も快晴で過ごしやすい気候だった。