少年少女の喧嘩
私は宿屋の朝食をやめ、肉屋でステーキを食べることにして、宿屋を出た。
裏路地にあるこじんまりとした肉屋を選び、入店した。
「へい、いらっしゃい!注文はお決まりですかい?」
「おはようございます。レッドブルのステーキを5枚、ワインを1杯で」
「分かりやした!ご自由に席へお座りください」
もう食事処にはレッドブルの肉が卸されているのを知っての肉屋で食事を摂ることにした。
朝早くにも関わらず、繁盛している。
レッドブルが卸されたことを、街中に知れ渡っていた。
私はカウンター席に座り、ステーキが出てくるのを待つ。
レッドブルの肉は庶民でも高級な肉で滅多に食べられない。
レッドブルの肉を食べに街の住民や冒険者が、頬を押さえながら幸福そうに食べている。
隣に座ってきた見知らぬ冒険者の男性が話しかけてきた。
「西の街道に群がっていたレッドブルを誰かが討伐したらしくて、街の食事処の至るところに肉が卸されたんだって。お前さんも感謝しなきゃな!」
「ハハ、そうですね……」
私は隣に座った冒険者の男性にばしばしと肩を叩かれた。
討伐したのは、私ですけどね。
「へい、お待ちどうさま!ステーキ5枚、ワイン一杯ねー!」
「ありがとうございます」
私は皿に盛られたレッドブルのステーキをナイフとフォークで一口だいに切り、食べていく。
宿屋に帰ったら建築ギルドのマニュアル本を読破しようと思考を巡らしていた。
誰かの一軒家の前で少年少女が喧嘩していた。
喧嘩というよりいじめだった。
3人の少年が1人の少女を殴ったり蹴ったりしていた。
「おいおい、ボウズ達。女の子を暴行して良いと親に教えられてんのか?」
「あぁっ!!なんだお前、関係ねぇ奴は関わんな!」
「お前……ねぇ。低級ファイヤー」
私はリーダー格らしき少年の顔を目がけ、火傷を負わない程度の火柱を放った。
「うっうわー!熱っ、熱い!!やめろ、やめてください」
「うわー、熱い!?」
「熱いー!なんだよ」
私は火柱を放つのをやめ、少年達へと歩み寄り、屈んで身体を丸めた少女の背中を摩り、立たせた。
「行こうぜ、コイツに殺される。なんなんだよ」
威勢の良かった少年が逃げ出し、子分らしき少年の2人も逃げ出し、少女と2人になる。
「ありがとう……ぐすぅっ、ございます。お名前はなんていいますか?」
「シェイラだよ。強くなりたいか、君?」
「はい……アシュタロテ達より強くなりたいです!」
「そうか。私は宿屋に宿泊しているから、稽古をつけてほしい日は宿屋を訪ねてくれ。居なかったら、冒険者ギルドで尋ねてくれ」
「分かりました、シェイラさん」
「今度あいつらが手を出してきたら、レッドブルの肉をやると伝えな」
私はリラという少女と別れ、宿屋に帰った。