勇者の帰還報告
その日、大勢のロードラン市民たちが、勇者たちの凱旋を一目見ようと街の大通りに詰めかけた。
人々は互いに笑い合いながら、勇者たちが来るのを待っている。空には紙吹雪が舞い、楽団のトランペットが高らかに響く。花火が空高く打ち上げられ、その音に驚いた白い鳩たちは一斉に青い空に飛び立った。やがて道の先に勇者たちが見えると、人々は歓喜の渦に包まれた。
勇者たちは、石畳を踏みしめ、胸を張り、誇り高く歩いてくる。明るい日差しが勇者たちを照らし、鎧に刻まれた幾千もの傷があらわになる。人々は勇者たちに手を振り、花を投げ、口々に称える。勇者たちもまた、人々に手を振り返すことを惜しまない。
やがて彼らは王城へたどり着き、城門をくぐった。門から居城へと続く道の両脇には、兵士たちが整然と立ち並んでいた。
クロードは彼らに笑いかけながら歩いた。年かさの兵士たちは硬い表情を崩さないが、幾人かの若い兵士たちは、クロードと目を合わせると、思わず唇をほころばせ、にやにやする。そんな彼らに、クロードはウインクを返す。彼らとクロードとは、ともに厳しい訓練をくぐり抜けたともがらなのだ。
やがて勇者たちは、居城へと続く長い階段を登り始める。階段の先に大きな扉がある。勇者たちがそばまで来ると、門の衛兵は槍を立て、無言で扉を押し開く。鈍く軋む音とともに、ゆっくりと扉が開かれる。勇者たちが通り過ぎるとき、衛兵が、小声でありがとうと言った。
やがて扉が閉じられると、外の歓声は消え、周囲は静寂に包まれた。
勇者たちは、長い謁見の間を、コツコツと足音を響かせながら歩いた。そして、王のもとまで来ると、ゆっくりと膝を折って敬礼を捧げた。
【 王 】「勇者クロードよ、あらためて言う、よくぞ無事帰還した。オラクス討伐の功績、見事なり。お前こそは、我が国の誉じゃ」
王の言葉に、クロードは顔を上げた。
玉座には、この国の王たるエルドランが座している。王は白いヒゲの奥から、クロードに笑いかけた。王は齢七十となった今でも矍鑠としている。彼は赤い王冠をかぶり、黄金の王笏を手に持っている。王は普段は飾らない人だったが、この日は最大限の礼節を持って勇者たちを迎えた。
王の左手には元老院議長である斎と呼ばれている老エルフが、静かに立っている。齢三百年を越える彼は、その半生で幾つもの王権を見届けてきた。普段、姿を表すことのない謎多き人物であったが、この日、彼はこうして、勇者たちを迎えたのだった。
そして、王の右手には、セレスティア王女と、その娘アマンダが立っていた。アマンダは、普段は套の奥に隠されている背中の赤い羽根を広げていた。
その羽根を直接目にするということは、ロードランの人間にとって、この上ない栄誉なのだった。
【クロード】「陛下、お言葉をありがとうございます。これは、決して私一人の力では成し遂げられなかったことです。私と共に戦った仲間たちの尽力があったからこそ、魔王を討伐することができたのです」
クロードは、頭を下げた。王は、クロードに優しく微笑んだ。
【 王 】「うむ、貴様はまことに謙虚な男よ……。勇者クロード、戦士アラゴー、剣士クロヴィス、僧侶リッター、魔法使いオリオン、賢者エレン。ここにはいない、数多の勇者たち……そして、わが息子ローウェン。諸君らの勇猛果敢さは、誰もが認めるところである。その活躍は、後世に語り継がれよう」
王の言葉に、皆は今一度頭を下げた。
【クロード】「それでは王様、オラクス討伐の顛末について、ご報告させていただきます」
こうしてクロードは語りだした。
【クロード】「オラクスとの戦いは、やつの居城である「黒曜の塔」にて行われました。黒曜の塔は、アイオーン島と呼ばれる火山島の火口に造られた巨大な塔で、その周囲には火口を住処とする悪魔たちが無数に徘徊していました。先遣隊の報告によれば、塔の内部は迷路のように入り組み、様々な罠が仕掛けられているとのことでした。
戦いは、数日にわたりました。我々は火口の魔物を排除する防御隊と、城に突入する突撃隊とにわかれました。突撃隊は悪魔たちの群れを突破し、いくつもの罠を乗り越えながら、なんとか塔の最上階へとたどり着いたのです。
最上階には、オラクスが待ち構えていました。オラクスは圧倒的な力を振るい、私たちは苦戦を強いられた。しかし、仲間たちの奮闘もあり、ついにあと一歩のところまでやつを追い詰めました。
しかし、それは仕組まれた罠だったのです。我々が最後の突撃を敢行したその瞬間、突如、あのおぞましい出来事がおきた……なにかの魔法の力により、死んだはずである仲間たちや、倒したはずの悪魔たちが、蘇ったのです」
クロードはおぞましさに声を震わせ、息をつまらせた。しばらくのち、彼は再び語りだした。
【クロード】「蘇った死体たちは、背後から我々に襲いかかってきた。不意にはさみうちにされ、多くの兵士が刹那のうちに殺された。我々はなにがおきているか事態を悟り、かつて仲間だった死体に刃をふるった。しかし、
切れども切れども、その生ける屍は、倒れることなく襲いかかってくる。気づけば戦線は崩壊し、ローウェン様もまた、その混乱の中で討ち死になされたのです。
私達が周囲を見回したところ、火口の縁に一人の怪しげな魔女の姿を見ました。私達は一か八か二手に分かれることとした。ゲイルとオリオンは塔から飛び降りると、魔女に向かって突撃した。ゲイルは僅かな時間でやつに肉薄し、剣をふるい手を切り落とした。魔女は身を翻して逃げましたが、そのおかげで死者の蘇りは止んだ。そして、さらなる闘いの末、オラクスを打ち倒したのです。
その後、その魔女については、くまなく捜索しましたが、見つけることができませんでした。おそらく、海を渡り逃亡したのもかと思います。我々は勝利しましたが、ローウェン様の命は、失われたのです。アラゴー」
アラゴーと呼ばれた男が立ち上がった。この男は、身の丈8フィートはあろうかという超人的な肉体の持ち主だった。男らしく短く刈り上げた髪に、右目に走る傷が、この者の勇猛さを物語る。生まれはここより遥か北の、アルフレードと呼ばれる大陸最北の国の出身だった。彼は、受胎告知の出来事を知ると、わずか8つのときに故郷を発ち、遥か五千マイルの旅路を一人で歩き、ロードランへ来た。そして、聖地探索の冒険者に加わり、およそ十年もの間闘いに明け暮れた、まさに猛者の中の猛者であった。
アラゴーは、ゆっくりと王の眼前まで歩みを進めた。彼は、大きな手に、布に丁寧に包まれた何かを握っていた。彼は、ゆっくりとその包を開いた。すると中から現れたのは、ローウェンの形見の、黄金色の指輪だった。
【セレスティア】「……あなた!」
王女は叫ぶと、アラゴーのそばまで駆け寄り、ひしと指輪を抱きしめ、叫んだ。
【セレスティア】「骨は!彼の遺骨などは、ないのですか!」
【クロード】「先程述べた事態でありましたゆえ、骨も持ち帰ることはできず。ローウェン様の体は、その場で荼毘に付すこととなりました」
【セレスティア】「そんな……!では灰は!?灰すらもないと言うのですか?」
【クロード】「残念ですが……」
クロードは首を振った。
セレスティアは、泣き叫んだ。彼女の涙を遮るものは、誰もいなかった。広い謁見の間に、ひとつ彼女の慟哭だけが響き渡っていた。
セレスティアはひとしきり涙を流した後、控えの間に下がった。アマンダも彼女に続いた。謁見の間は、しばしの静寂に包まれた。しばらく後、王が口を開いた。
【 王 】「実際のところ、何があったのだ。灰すら持ち帰れぬとは……」
【クロード】「ローウェン様も、敵の魔法により蘇生され、操られたのです。我々は、ローウェン様も、他の仲間たちも、溶岩に突き落とすよりほかなかった」
【 王 】「そうか……それは無念であったろうな」
王はうつむき、爪を噛んだ。
【 王 】「……してオリオンよ。手紙にあった、その魔法使いから切り落としたという、右手は」
【オリオン】「は。ここに」
オリオンと呼ばれた、黒髪のエルフの女が応えた。
彼女は、油で濡れたようなつややかな黒い髪を、二つ結びにして垂らし、その上に古風な三角帽を被っていた。彼女はエルフには珍しく黒髪であることから、耳が隠れているとまるで年若い少女のように見えた。しかし彼女は不惑をとうに越えた宮廷魔術師であった。そして歴戦の戦士であった。
オリオンは、箱を床に起き、蓋を開いた。箱のなかでは、ビロードの布に包まれた何かが、蠢いていた。
オリオンが布を取り去ると、中から右手が現れた。その右手は、カサカサと動きまわり、中から這い出ようと、箱の四隅をまさぐっていた。
王は椅子から立ち上がり、箱の前に立つと、右手を拾い上げた。右手は、グロテスクに王の手に絡みつく。しかし、王は気にする風でもなく、好きなように遊ばせている。
【 王 】「この手は、冷たいな……」
王は、そんなことを呟いた。そしてそれを、斎に向かって差し出した。
【 王 】「斎よ、触ってみてくれ」
【 斎 】「は」
斎は、右手を受け取った。そして、しばらく検分していたが、やがてそれを王に返した。
【 斎 】「魔法のからくりによって動いているのではありません。やはりそれは、純粋に生きているのかと」
【 王 】「うむ……オリオンよ、いま一度聞く。この右手の持ち主は、ウーラシール・ザハードであった。確かか」
【オリオン】「は。確かにあれは、ウーラシール様でございました」
【 王 】「しつこく聞くが、絶対に確かだな」
【 斎 】「王様、オリオンはウーラシールの一番弟子にございます。その彼女が言うのであれば、やはり間違いはないかと」
【オリオン】「王様、我々はすでに指紋によってこの右手の持ち主がウーラシール様であると確かめています」
【 王 】「しも……なんだそれは?」
【オリオン】「指紋とは、指の先にある渦のようなシワのことです。物に触った際に、手の脂がこの指先の渦に沿って付着するのです。指紋の形は一人ひとり違います。したがって、この右手の指紋と、ウーラシール様の持ち物に付着した指紋とを比較することで、この手がウーラシール様のものであると確かめることができるのです」
【 王 】「そうか……。ではやはり、ウーラシールは、生きていたのか……」
王はあらためてその右手を眺めた。そして訊ねた。
【 王 】「これを破壊しようとはしたのか?」
【オリオン】「は。沸騰した湯に入れたり、炭の詰まった壺に入れるなどしてみましたが、死なず。炭のようになっても、しばらく時間を置くと、また元通りに」
【 王 】「……オリオンよ、これは不死と呼べると思うか」
【オリオン】「わたくしはそう考えます。間違いなくこれは、不死です」
【 王 】「そうか……ではドレッドノートの意見が聞きたい」
【クロード】「は。では失礼して」
クロードはそう言うと立ち上がり、剣を鞘から引き抜いた。クロードが高く剣を掲げていると、刀身が輝き、周囲に眩しい光が溢れ出す。やがてみなの目が慣れた時、そこには赤い衣を纏った一人の霊体が浮かんでいた。王は、彼女に語りかけた。
【 王 】「ドレッドノートよ」
【ドレッドノート】「久しいな、エルドラン」
【 王 】「早速だがこの手について訊きたい。お前はこれが、不死だと思うか?」
【ドレッドノート】「……不死の定義については、大昔からいろいろと論争がある」
【 王 】「つまり?」
【ドレッドノート】「広義には不死だ。しかし、古代の魔術師は、その程度のものを不死とは呼ばないだろう」
【 王 】「というと?」
【ドレッドノート】「さっきも聞いたと思うが、蘇生術を受けたものたちは、火口に突き落とされた。そしてそれは、マグマの海に沈み、そのまま還ってはこなかった」
【 王 】「つまり、真の不死ならば、マグマに落ちても再生できると?」
【ドレッドノート】「ああ、無論だ。そもそも真の不死なら、このような片手だけの形にとどまっていることはない。片手からでも、全身を再生するだろう」
【 王 】「それは、肉体を切り落とされれば分身するということか?」
【ドレッドノート】「ああ、ただしそれは、多くの場合人の形をした殻でしかない。魂がないのだから、仮に動いたとしても、それは自動人形のように、自らの意志を持つことはない」
【 王 】「……つまりゴーレムのようなものか?それこそ、不死性とは呼べないんじゃないか?」
【ドレッドノート】「話は簡単だ。例えば肉体が破壊されたときに、魔術師は魂をその新しい殻に移す。それを繰り返すことにより、不死は達成される」
【 王 】「その話は、肉体が壊れないという不死と、矛盾するように聞こえるが……」
【ドレッドノート】「矛盾などしていない。これは並列化だ。安全策なんだよ。例えばお前なら、不死をどのように無力化する?」
【 王 】「私が文献で呼んだのは、不死は封印術によって拘束すべし、と」
【ドレッドノート】「正解だ。アルカードは、そのように排除された。肉体そのものが封じられれば、無限の再生能力を持っていたとしても、意味はない……そのまま海底にでも沈められれば、それは死となんら変わりないだろう。古代の魔術師が求めたのは、単なる死なぬ肉体ではない。あらゆる危険から開放された、完全な自由だ。それを実現させるための4つの条件がある。肉体の再生と、肉体の複製。そして、魂の再生と、魂の複製だ」
【 王 】「魂の複製……だがそれは、古代の魔法使いの力でも、実現することはなかったんだろ?」
【ドレッドノート】「ああ」
【 王 】「もし私が魂の複製に成功したとして、私が自分の分身を作り、その分身がさらなる分身を作り続けたら、それはいずれ永久機関に到達するのではないか?」
【ドレッドノート】「……」
【 王 】「どうなんだ?それは再帰性能力の定義を満たしているように思うが、違うのか?」
【ドレッドノート】「……ふっ。よかろう。貴様の妄言に付き合ってやろう。エルドランよ、貴様は双子の魂は同じものだと思うか?」
【 王 】「思わない」
【ドレッドノート】「それはなぜだ」
【 王 】「事実同じものではないからだ」
【ドレッドノート】「なぜそう言える」
【 王 】「双子がまったく同じ経験をすることはない」
【ドレッドノート】「その通りだ。もう答えは出たではないか。貴様がつくる第一の分身と、分身がつくる第二の分身とが同じ経験をすることはありえない。ここに再帰性は破綻した」
【 王 】「……それは私の再帰性の理解とは違うなあ」
【ドレッドノート】「ほう?」
【 王 】「再帰性とは、主体が自らを再定義することだ。そしてその再定義によって変化した主体によって、さらなる再定義を繰り返すことだ。こうして変化は蓄積される」
【ドレッドノート】「それは私の理解となにも変わらないが?お前はこういうことを言いたいのか?経験は常に加算されると?それは漸化式のように無限に発散すると?それはお前の自我肥大ではないのか?」
【 王 】「自我肥大?なぜだ?」
【ドレッドノート】「経験が常に足されるはずもなかろう。つらい経験をすれば、それは容易に人の魂を蝕む。それを繰り替えせば、たとえ清い魂に生まれたとしても、自殺に至る人間もいるのではないか?それとも貴様は、喜劇も悲劇も同じように糧とするとでも言うのか?」
【 王 】「ああ、そうとも。私なら喜劇も悲劇も糧とする」
【ドレッドノート】「齢七十の人間とは思えないほど幼稚だな。お前は人より頭は切れるが、人間理解は極めて凡庸だよ」
【 王 】「いや、私ならそうする。そして永久機関に到達できる。わかるんだ」
【ドレッドノート】「馬鹿が。その全能感はどこから湧いてくるんだ?ロキではあるまいし」
【 王 】「私は、ロキなどとうに越えたと思っている」
【ドレッドノート】「ほざけ。どうも頭だけでなく脳のシワまでツルツルになってしまったようだな。貴様のような薄らハゲと話すことはない。二度と呼び出すな」
剣が再び光り、ドレッドノートの姿は消えた。クロードは剣を鞘に収め、再び跪いた。王座の間には、再び静寂が訪れた。
【 王 】「……さて諸君。今日から四十日後、建国記念日の日に、クロードとアマンダの結婚式を執り行うこととする。そこにおいて、私は十字軍の結成を宣言するつもりだ」
十字軍。その言葉を聞き、クロードは改めて姿勢を正す。十字軍とは、いまから二千年前、東の地に消えた救い主を探すため、皇の勇者たちによって結成された、東方遠征隊の名だ。
【 王 】「クロード、私は君を十字軍指揮官に任命したい。引き受けてくれるか」
【クロード】「王様、大変な名誉にございます。その任、つつしんでお受けいたします」
【 王 】「うむ。大変けっこう」
王はそう言い、やおら椅子から立ち上がると、続けた。
【 王 】「……さて勇者諸君、私は君たちに褒美をとらせたいと思う。私は結婚式が終わったあとに、禁書庫の扉を開くつもりだ」
【クロード】「禁書庫でございますか……」
禁書庫という単語に、クロードが怪訝な声を上げた。
【 王 】「うむ。クロードは知っておろうが、我が国の禁書庫には、一つの言い伝えがある。曰く、”禁書庫の扉をくぐったものは、悪魔に望む魔法を与えられる”、と」
【オリオン】「悪魔に、でございますか?」
【 王 】「そうだ。君たちには、場合によってはこの悪魔を排除してもらいたい」
王は続けた。
【 王 】「禁書庫の扉はいままで一度も開かれたことはない。したがって、中の実態もよくわかっていないのだ。この悪魔と戦いになるのかはわからない。知っての通り、救い主に会い回心した悪魔には、人類に味方するものがいる。私は、この禁書庫の中の悪魔がそういったものの一人であると考えている。しかし、確証があるわけではない……。君たちが望まぬのなら、私は禁書庫を開くことはしない。諸君には、別の褒美を用意することにしよう」
【クロード】「……王、その任、お受けいたします」
【 王 】「おおクロードよ、やってくれるか」
【クロード】「は、是非に」
【 王 】「うむ、よかった。仔細については別の日に話すことにしよう。では」
王は勇者たちを扉まで送った。
扉が開き、勇者たちが姿を表すと、再び群衆の間から歓声が湧き上がった。その歓声を聞き、王もまた朗らかな気持ちになった。
【 王 】「クロードよ、お前がこの国にもたらしたものは計り知れんぞ。きっと多くの人間が、名声を求めてこの国に集まってくるに違いない」
王の言葉に、クロードは笑顔で応えた。
【 王 】「クロードよ。君とアマンダの勇気が、この王国を導いてくれることを切に願っている」
勇者たちは、王の言葉に頭を下げた。そして階段を降りていった。
勇者たちが沿道に入ると、再び大きな歓声が湧き、大きな花火が空高く打ち上げられた。
【 王 】「ふむ。ではもし人の殻をつくり、それに新しい魂を入れることができたら、それは新しい人間をつくることになるのか?」
【ドレッドノート】「そんなことはできない」
【 王 】「できたとしたら?」
【ドレッドノート】「できない。答えるのも不快だ」
さっき、肉体が壊れた時、魂を新しい殻に移すといったな。それは可能なんだな?」
【ドレッドノート】「ああ、可能だ。貴様も幽体離脱ぐらいはしっているだろう」
【 王 】「だがそれは霊的な現象だ。魔法ではなく