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浅い呼吸

作者: 鯱

関係が壊れてほしくなくて押し込みました。

後悔は、、してません____


 初めて会った時、この大人とは仕事外で関わることはないと思いました。

人の感覚とは当てにならないもので、3年後あんな思いをするとは思いませんでした。


 社員のあの人はアルバイトの自分に仕事を教えてくれる教育係のような立場でしたが、社員にしてはやる気は感じられないと不信感を抱いていました。

自分の感覚は正しかったようです。

対して初アルバイトの自分は仕事を早く覚えなくてはという変な焦りと緊張感が、あの人にはやる気のないすぐに辞めそうなアルバイトに見えていたようです。

人の印象の受け取り方とはおもしろいものと気がつくのも時が経てからだと、初期より関係性に変化が生じた今感じております。

 仕事にも慣れアルバイト同士での会話も弾んできたころです、仕事外で関わることはないと思っていたあの人含め社員さん達とご飯に行くことになりました。制服姿以外で会うのはソワソワしますがそれも初めの3秒だけでした。初めてのメンツによる、よそよそしい乾杯を終えたあとは成人組のアルコールにより分厚いと感じていた壁がすぐに壊れました。あの人も仕事外だと意外と普通の人だなと感じてからは早かったです。仕事中のコミュニケーションも増え、仕事外の交流も増え、家族の話、恋愛観の話、結婚願望の話、共通の趣味の話、仕事中の愚痴の話、内容が空っぽのしょうもない話をもするほどの仲になりました、3年かけて。それは兄妹のように。

 実の家族よりも話しやすく相談しやすく気を使わず居心地が良かったのです。

今まで周りにはいてないタイプの大人で新鮮でした。

休日2人だけで出かけたこともありました、一度だけ。

一人暮らしをするというので泊まらせてもらったこともあります、一度だけ。

一度だけになったのは直後にあの人が告白されたからです。仕事先とは全く関係のない自分が知らない人から。

自分はあの人の恋人ではないから関係ない、ことでもなかったみたいです。深く呼吸できてない事に自分が真っ先に気づいたのでこれを気付かれないように必死に隠しました。初めてです、あの人といる時にこんなにしんどい呼吸を経験したのは。とりあえず頭の中に浮かんだしょうもないあれこれを掻き消すように思ってもない言葉をあれよあれよと掃き出します。

「恋人欲しいゆーてたし良かったやん」「結婚考える歳ゆーてたし考えれる子なんやったらええやん」「恋人できたら家泊まりに来られへんくなるやん」「日帰りで旅行行こーゆーてたんも恋人と行くようなるんかぁー」あの人に恋人ができると自分との時間が削られると分かっているのに嬉しそうな顔をみたら勧めることしかできませんでした。

この関係はずっと続くと思ってたのに性別が違うだけで続けることが難しいのはなぜでしょう。そんな気持ちは待ち合わせてないのに。血が繋がってない兄妹の存在証明はできないものですか。

 そんなに恋人が必要なものですか。

大事なあの人に投げつけたい言葉を押し込んだ当時の自分を褒め称えています。おかげで関係性は壊さずに済んだので、想像通り時間は削られましたが。

後悔は、、してません____

今でも押し込んだままです。

引っ張り出さないように我慢してます

今も呼吸は苦しいですが、、

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