057-水を得た魚
敵ドローンをほぼ排除したはいいが、こっちの被害も甚大だ。
ほぼ考えなしにボムをぶっ放したせいで、退避の遅れた大型艦が数十纏めて消し飛んだ。
こればっかりは俺のミスなので、仕方ないとする。
なお、榴弾系は爆発の外側にいた対象がフリゲート以下のサイズであれば、耐えられるかほぼダメージを受けないため、アコライト艦隊はまだ無事だ。
「アコライト艦隊をドローン直上へワープさせろ!」
『....しかし、それでは敵ドローンと交戦してしまいますが....』
「そのまま再度ワープ、味方のドローンをぶつけて時間を稼げ」
『何の時間.....成程、失念しておりました、やりましょう!』
オーロラは俺の画面にあるとある情報を見て、俺の意図を察してくれたようだ。
アコライト艦隊が回頭し、ドローンの上部へと移動する。
「射撃開始! 敵のロックオンが移ったら即座にワープ! 妨害を掛けられた艦は放っとけ!」
射撃を開始したアコライト艦隊により、ドローン艦隊に光の雨が降り注ぐ。
アコライトの小さな砲は、自分より少し小さい対象から遥かに大きい対象まで距離さえ離れていなければ当たる。
ドローン艦隊のアルゴリズムからして、味方の損耗がある程度拡大したならそちらに注意を向けるはずだ。
『アコライト、被弾率増加』
「離脱させろ」
『ワープ開始。数隻が取り残されました』
どうせ人間も乗ってないし、ここは俺たちの陣地だ。
失うことは恐れない。
最初の遅れを取り返す。
「もう少し時間が要るな...味方ドローン、戦線維持! 改良型と変異型ドローンだけを戻せ!」
量産機には悪いが犠牲になって貰う。
改良型と変異型は量産が効かないので戻っていただく。
「ッあ!?」
その時、戦闘指揮所が揺れた。
何が起きたのかとモニターに目をやると、戦闘指揮所の独自シールドに被弾していた。
『敵後衛ドローン、輻射後遺症から復帰。シールドは消失していますが、不明な兵装は無事の模様』
「的確にこっちを狙ってくるか」
こちらが何をしようとしているかは分かっていないが、何かしようとしているから攻撃してきたのだろう。
「さあ、反撃と行こう! Noa-Tun周辺に存在する巡洋艦以下の全ての艦艇は、後衛ドローンに向けて突撃、全火力をもってして対象に攻撃せよ。Noa-Tun全兵装オンライン、敵後衛ドローンに向けて攻撃開始」
変なシールドを使いやがって。
あのシールドの発生源をサルベージでもしないと、この損害を埋められない。
「動力部に攻撃集中! 熱源をすべて撃ち抜け! 沈黙させろ!」
エネルギー兵器を使えないようにさえしてしまえばいい。
Noa-Tunに装備されたミサイルポッドからスマートミサイルが放たれ、レーザーと実体弾の雨に混じって飛ぶ。
「......綺麗だな」
見慣れた光景なのに。
危機を脱したからかは分からないが、不思議とその光景に胸を打たれた。
『感動している場合ではありませんが....』
「おっと」
俺は制帽を被り直し、戦況を俯瞰する。
まだ敵ドローン艦隊の数は多い。
だが、時間は十分に稼げた。
「そろそろリペアも完了したはずだ、行け――――モルドレッド!」
貫かれたモルドレッドと、無事なモルドレッドもう一隻。
それらが同時に、ワープを開始する。
場所は、敵ドローン艦隊のど真ん中。
「ドローン急速離脱! 逃げられなかったのは放っておけ、モルドレッド級はEMバーストを展開!!」
モルドレッド級が隣接し合った状態でEMバーストを展開する。
EMバーストの破壊力は敵味方問わず、範囲内にいた全てを薙ぎ払い、粉々に吹き飛ばす。
EMバーストは味方にも作用するが、モルドレッドのシールドは硬くそれで破壊されることはない。
『敵ドローン艦隊、残存数42まで減少。これにて戦闘を終了とさせていただきます』
「ああ」
『お疲れ様でした』
戦場は残骸まみれとなり、残ったドローンたちは逃げていく。
オーロラがその航跡をしっかりと記録して、戦いは終わった。
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