054-総力奇襲
それは、ある日の正午に起きた。
俺は初心を忘れないために、一週間に一回は戦闘指揮所で寝泊まりし、非常用食料を食べる日を設けている。
今日はたまたまそれで、硬いクラッカーを紅茶で流し込んでいたところだった。
『大規模フリート接近!』
「ぶっ!!」
突如鳴り響いた警報に、俺は紅茶を噴き出しそうになった。
すぐに飲み込み、叫ぶ。
「状況報告!」
『ここの位置を割られました! ドローンの艦隊が続々とワープしてきています!』
「飛んで火にいる夏の虫――――って奴だな?」
『いいえ。今回は未確認のドローンが紛れ込んでいます。今までとは異なるかと思われます』
すぐに俺はオーバービューを開き、全体の俯瞰図を確認する。
Noa-Tunとザヴォートに挟まれる形で、600機のドローンが存在している。
「まずいな、あの数に殴られたらシールドが持たないぞ」
『既にNoa-Tunの防衛設備が稼働しております』
「分かった」
ホールドスターの外壁部に設置されたミサイルランチャーから、ミサイルが吐き出されてドローンを攻撃している。
すぐにドローン艦隊による攻撃が始まり、ホールドスターのシールドが削られていく。
この弾幕だと、艦船を発艦できないな.....
「こっちもドローンで対抗だ! 出せるだけ出せ! もうやけくそだ!」
『了解!』
ホールドスターの各所から、こちらの配備できる限界の200機のドローンが飛び出していく。
一部のドローンの砲撃がそちらに向いたところで、俺はモルドレッド級を発艦させる。
前面シールドを展開して、小型艦が発艦する隙を作るのだ。
『司令官、敵が多すぎます! OSSSの使用を提案します!』
「この愚か者が...じゃなくてだな、そもそもOSSSはドローンに当たりにくいんだよ、大型艦用だからな.....」
『では.....これなんか、使っちゃいますか?』
「....まあ、それなら構わないな」
Noa-Tunのリングの砲台が回転し、巨大な砲身が現れる。
それは高速回転し始め、これから起こる何かの予兆を感じさせた。
『M91-ギガントマキアー、発射!!』
ギガントマキアーと呼ばれる巨大な重機関砲は、巨大な薬莢を吐き出しながら、太く重厚な銃弾を戦場にばら撒く。
いやあ、強いなやっぱり。
宇宙空間において、重力の制御下にない実体弾は、空気抵抗を受けずに速度のエネルギーを維持し続ける。
そしてそれは、ドローンには有効打であったらしい。
複数のドローンを撃ち落とし、AIのルーチンを混乱させることに成功した。
だが、ドローン達はすぐに乱れを取り戻し、秩序だった動きを見せる。
「そろそろ後詰めが動くな」
後方で待機していたドローンが、それを見計らったかのように動き出す。
さあ来い、何が来ても俺たちは負けないぞ....って信じたいな。
もう負けたくない。
Noa-Tunの名にかけて。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




