215-王国の守護神
さて。
俺たちは完全に王都を包囲することが出来たが、ここで王都を放置しない理由は別にある。
食料供給源を絶たれてしまった王都オルトスプライムは、放っておけば内部で争って勝手に自滅するだろう。
だが、その場合流歌はどうなる?
彼女は絶対に、彼等を助けようとするはずだ。
…そうするように、俺が育てたからだ。
ならば、助ける暇もないように破壊する。
「オーロラ、敵戦力の詳細を開示せよ」
『はい』
俺は机上からホログラムを投影させる。
そこには、ステルス組が各所から集めてきた物凄い数の情報が集積され、オーロラによって編纂された情報があった。
サタリエルとホドが特に強いんだよな、通常空間に出なくても距離は短いがワープ出来る上、短時間ならスキャンにも引っかからないアクティブステルス能力…SSCで言う戦闘偵察艦のみが持つ能力が備わっている。
「主力艦は意外と数が少ないな....だが、これは無視できない」
俺は、データの一つに目を向ける。
それは、王国の恐らく最終兵器とも思えるものだ。
あまりに巨大すぎて、惑星軌道上には無いそれは、王国のシンパサイザーから齎された断片的な情報の数々を集積してようやく発見できたものだ。
『王国の最終兵器、小惑星級ミドガルズ・オルムとほぼ同サイズのものです。オルトスプライム軌道上に存在する超巨大マーケット・ハブに擬装されているようです』
その名は「オルティアンハルティスム」。
思えば、帝国にも「ビルジアイナディート」という名の超巨大主力艦が存在していた。
袋叩きにして破壊したが、今回も同様に脅威になるだろうな.....
「そして、常備戦力だが.....」
『兵站不足で整備もままならないようですが、少なくとも総数でいえば百万余隻、それに加えて傭兵の戦力が千五百存在しています』
「内訳は?」
『王国軍、主力艦1%、戦艦10%、巡洋艦20%、駆逐艦20%、フリゲート艦20%、コルベット艦20%、その他です。傭兵艦隊は主力艦1%、戦艦5%、巡洋艦30%、フリゲート艦44%、コルベット艦20%になります』
傭兵の戦力はかなり上下が激しいため、戦力の概算は出来ない。
ただし、決して見かけ通りではないだろう。
それより、傭兵って主力艦持ってるのか...?
「...オーロラ、傭兵の主力艦は何なんだ?」
『『マーセナリー・リーダー』....つまり、傭兵の最高ランクに位置する傭兵が所有する、超大型母艦です。搭載可能最大数は250機、主に帝国との戦闘に駆り出されているようですね』
「その際の戦闘データをもとに対抗手段を模索しろ」
『はい』
まあ、250機収納できるくらいなら何とかなるだろう。
一般的な艦載機母艦10隻分だしな。
最悪、サマエルで超遠距離から破壊する手もある。
レッドシャーク艦隊を使って異次元から攻め立てるのもありだな。
超多機能型主力艦ナイアルラトホテップをぶつけてみるのもよし。
鹵獲される心配もないので、ありとあらゆる戦力をぶつける事が出来る。
「そういえば、パニッシュメント級襲撃型旗艦の製造数は?」
『現在65隻です』
「現状の他主力艦に回しているラインをそっちに優先させろ、王国艦隊との戦闘ではなく、対アドアステラ戦術に利用する」
『分かりました、司令官はどうされるのですか?』
「三時間後に戦闘開始だろう、仮眠する.....前に、いつもの茶をくれ」
『了解しました』
俺はまだインプラントを入れていないので、睡眠に対する耐性や集中力などは一般的な人類と同じだ。
ハーブティーでも飲んで仮眠してから、戦闘に挑む。
「三時間後に起こしてくれ、最初は俺たちが突入する訳じゃないからな」
『はい』
オリジン・スターに設置されたジャンプブースターを稼働させることで、ジャンプドライブを大幅に強化して距離を延ばせる。
アバター級のジャンプ距離なら、ブースターを使用することでポータルを使い、他の艦船も同時に送り込む事が出来る。
アバター級は前回の戦いから教訓を得て、エミドとVe’z両方の技術を組み込んだチート主力艦と化した。
まさに「旗艦」に相応しい。
「じゃあ寝るか....」
俺はブリッジの艦長席をリクライニングモードにして、寝転がる。
オーロラが気を利かせて照明を落としてくれる。
まったく......緊張感のない決戦だな.....
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