210-リザルト
また勝ってしまった。
…だが、喜んでばかりも居られないな。
今回の戦いにもアドアステラは出て来なかった。
即ち、次…ファラフォーム星系か、オルトスプライム星系で出てくる可能性があるということだ。
今回の戦いで王国側は主力艦船の99%を喪失、通常戦力の85%を失った。
ファラフォームは蹂躙になる可能性が高い。
「何を見ているんですか?」
「いや…王国側の戦力分布だ、本星の防衛に回す以上、ファラフォームにはどれほど集まるかと思ってな」
話しかけてきたルルに応える。
彼女は紙コップを二つ持っており、一つを俺に手渡して来た。
中身を確認せずに一口飲むと、香ばしい苦味が口内に満ちた。
「コーヒーか…俺はあんまり好きじゃないんだけどな、ありがとう」
「はい、シン様」
俺がこの世界に来てもうすぐ一年だが、獣人はめちゃくちゃ成長が早いらしく、ルルは少女から女性に、ネムは幼女から少女へと成長した。
だからといってなんだという話だが、父親というのはこういう気持ちなのだと改めて思った。
この感情は、妹を育てていた時にも感じていたものだ。
「ルル」
「はい」
俺は折角なので、ルルにも聞いてみることにした。
「オーロラの予想では艦載機戦力は全滅していると思われるが、お前はどう思う?」
「今回の作戦で戦った戦闘機は、ほとんど素人か機械っぽい動きでした、ですから精鋭は一箇所に集められているかもしれません」
「成程な」
SSCプレイヤーなら、例え圧勝でも被害はなるべく減らすように動く。
これは人種に関係ない一律の考え方だ。
「ところで、ネムはどうしてる?」
「偵察任務の報告書を纏めてます、どうして聞くんですか?」
「お前たちはいつも一緒のように思えたからな」
「…私ももう、子供じゃないですし」
お、そう答えるか。
流歌は「私まだ子供だもん、お兄ちゃんと一緒がいい」って答えてたな。
…だからこそ、そのための「計画」でもあるのだが。
「あれは、どこに行く船なんでしょうね」
ルルに言われて窓の外を見ると、少し遠くにC.C.C.ヴァルチャー艦隊が見えた。
「あー....あれは試験艦だからな、そのまま後方の試験施設行きだ」
「...そうなんですね」
俺は静かに画面に目を戻す。
敵の戦力は殆ど残っていないだろうから、あと警戒すべきは「王宮騎士団」と呼ばれる常備戦力のみだ。
そして、現在燃料の関係で、主力艦隊はそのまま駐留している。
防衛にリソースを割く必要はないのだが、戦力の割り当ては重要だ。
まず、主力艦のほとんどは修理中及び燃料不足であり、現在のステージングエリアであるジスト星系に戻している。
つまりは....久々の主力艦無しの制限マッチである。
指揮官はアインス、ズィーヴェン、アハト、ノルンが最適だろうな。
艦載機は出せないが、無人艦載機とドローンならロスは気にせず戦える。
「あまり無理はしないでくださいね」
「ああ」
俺は頷くと、オーロラに渡す作戦草案の執筆を始めた。
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