200-最終決戦の開幕
こうして、Noa-Tun連邦は一気に戦線を拡大した。
オルトス王国側は、一方的な侵略者に対して何度も降伏の使者を送ったが、それらはすべて侵入と同時に撃墜された。
王国から脱出するべく、Noa-Tun側に交渉した王国貴族や資産家は数十人もいたが、全て虚ろな目をして戻ってきて、滅茶苦茶な行動を繰り返し、経済を大きく混乱させた。
「.....と」
報告書の入力を終わらせたアインスは、椅子から立ち上がる。
現在、Noa-Tun連邦第一主力艦隊がいるのは、バーザック星系。
そして、隣接する星系は......
『ブロスパ星系へのジャンプ準備、完了しました』
「分かりました、全艦アクセラレーションゲート前に移動」
王国と隣接し、王国に友好的な国家。
ホーエンティア帝国への戦端を、Noa-Tun連邦軍は開こうとしていた。
『アクセラレーションゲート起動』
「ジャンプ開始!」
加速ゲート.....数万光年の距離を移動する、ワープドライブでもジャンプドライブでもない技術。
そこを滑るように艦隊は移動し、ブロスパ星系.....王国と隣接し、ホーエンティア帝国のハブ星系であるその場所へとジャンプアウトした。
「敵影、視認。総数は?」
『総数、35。一般的な警備艦隊ではなく、軍備補強された正規軍と星系軍の混成艦隊と予想』
「攻撃開始」
『攻撃開始します』
放たれたレーザー砲が、遠距離から一方的にホーエンティア艦を撃ち貫く。
シールドではなく装甲に重点を置くホーエンティア艦船では耐えられなかったのだ。
『敵艦隊、スキャン波を放出。ロックされています』
「ウィズドロー、シュナイダー、突撃! 攻撃開始!」
艦隊から飛び出した要撃型フリゲートであるウィズドローとシュナイダーが、一瞬で亜光速まで達して敵との距離を詰め、ワープ妨害を行う。
そして、シュナイダーがブラスターを、ウィズドローがガトリング砲を、それぞれ撃つ。
シールドが容易に剥がれ落ち、装甲を実体弾が貫通。
内部で炸裂し、敵に被害を与える。
混乱した艦隊に、ミアプラキドゥスによる長距離レーザー砲撃が突き刺さり、爆沈した。
『敵艦隊の殲滅を確認』
こうして。
Noa-Tun連邦はオルトス王国だけではなく、ホーエンティア連邦とも戦端を開いたのであった。
「と、まあ...すぐ終わったんだがな」
『余裕でしたね』
ホーエンティア帝国には三日で消えてもらった。
アドアステラが救援に向かうより先に排除する必要があったので、道中の前哨基地はガン無視で首都星系に主力艦を集中投下して潰した。
何故ここまでする必要があるのか?
その答えは簡単だ。
「さあ、オーロラ。報告を聞こう」
『クオリアス戦線――――つまり、オルトス王国、首都星系周辺への侵攻準備が整いました。既に包囲が完了しています』
「よし、分かった」
俺は右手を上に掲げる。
そして、前へ向け振り下ろした。
「並列作戦を開始する、これより全Noa-Tun連邦軍所属の戦力は、クオリアス戦線での戦闘許可を無条件で承認する!」
『了解』
戦いに決着をつける時が来た。
何度もやって来た事だ。
だが今回は、「計画」が関わってきている。
複雑で、難解な最終決戦になるだろう。
だが、あいつは必ず納得してくれるだろう。
「さあ、フィナーレを奏でようじゃないか」
「シン様、キャラが違うような.....」
「.......ああ」
無理をしているのは、間違いない。
……それは、確かな事だ。
「大丈夫だ、行こう」
俺はルルを抱き上げた。
そして、その足で食堂に向かうのだった。
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