194-ラステイク奪還戦(前編)
まずいことになったな。
ラステイク星系が奪還された。
しかも、王国軍の艦隊は既にジャンプを繰り返しており、総戦力十二万がそこに集結している。
つまり、こちらも主力戦力を出す必要がある。
「編成は終わったか?」
『はい。首都防衛用の艦隊を除き、待機戦力の98%の出撃準備を完了しました』
「では、俺も出るので準備をしろ」
『はい』
アバター級を出撃させる。
この戦力相手では、あれを使うしかない。
そしてあの武装は、俺がいないと使えない。
とまあ、色々すっ飛ばして艦隊をラステイクにジャンプさせた。
既に、六人の指揮官は自分に割り当てられた六万ずつの戦力を動かし始めている。
俺たちは本陣としてここで待機だ。
『ここにいていいんですか?』
「ああ、何故なら――――敵陣にはアドアステラがいるからな」
絶対にこっちに向かってくる。
....なんというか、特殊能力持ち同士の不思議な勘でどこにいるのかが大体わかる。
流歌もそうだろう。
俺が戦場に出てきたことは、流歌には確かに分かっているはずだ。
『α艦隊、交戦開始』
『β艦隊、交戦開始』
『γ艦隊、索敵中』
『Δ艦隊、交戦開始』
『ε艦隊、索敵中』
『ζ艦隊、索敵中』
報告が上がってくる。
俺は戦況を見る。
「成程、爆撃艦を警戒して高速艦に切り替えたか」
レーザータレットは高速で飛行する対象に対して有効なので、今回王国側の戦闘は不利になるはずだ。
だが、相手も小型艦がほぼいない、耐久力も十分に高いな。
「アインス、プランBに移行」
「はい」
古代の聖人モーセが海を割ったように、艦隊が二つに割れ、主力艦ヤハウェが進み出る。
「一番槍ってよく言うだろう」
ヤハウェが充填を開始すると同時に、王国艦隊がレーザーを避けられる散開隊形に移行する。
その判断は間違いではない、この場合は間違いだが。
『発射します』
ヤハウェには今回、「Incinerator Vortex Field Generator(通称IVFG)」が装備されている。
超高熱の渦を生み出す最終兵器であり、瞬時にフィールド内が超高熱になるので回避は不可能だ。
降下が終了すると同時に、アインスの艦隊から要撃型の艦船が複数種類突撃を開始するのが見えた。
アインスもだいぶ慣れて来たな。
『艦載機、未帰還0....撃破数250』
「おい待て、なんかおかしくないか」
『ルル様がご活躍されているようです、他にエース機が5いますから』
「成程な.....って、そうはならんだろう」
『なっていますから....』
ともかく、β艦隊も大丈夫なようだ。
Δ艦隊の方は、ドライが敵の前衛をオギエルで抑え、ミサイル艦隊が長距離から巡航ミサイルで攻撃を仕掛けている。
まあ、これなら問題ないだろう。
さて....
『ワープアウト反応を検知』
「来たか」
王国艦隊がこちらにワープアウトしてきた。
遠距離でも見えるくらいには大艦隊だ。
『推定数、10万』
「艦載機の展開を開始しろ、主力艦は決戦モジュールを起動。ナグルファーとミドガルズ・オルムはクアッドコアアクセラレータを起動」
決戦モジュールは動けなくなる上ワープも出来なくなる代わりに電子・電力システムが超強化されるもので、クアッドコア・アクセラレータは内部に搭載した四基のパワーコアを同時稼働する、この世界に来て作った装置だ。
パワーコア同士の干渉もあり、四個までしかくっつけられないのだが。
『敵艦隊内部に三隻の主力艦を確認。船籍照合――――ドレッドノートクラスと思われます』
「大分渋ったな、タイタンクラスでもいいだろうに」
『艦隊規模から、ドレッドノートクラスはあくまで補助的な立ち位置と思われます』
「主力艦を補助扱いか」
まったく、この世界は俺の常識からは大分かけ離れてると言えるな。
ナグルファーから数千機の艦載機が展開され、ミドガルズ・オルムがレーザー砲の旋回を開始する。
『ターゲットロック開始』
アバター級は揚陸艦だが、一応レーザー砲は120基、四連装なので480発のレーザーを一回で打てるわけだ。
勿論そんなもんぶっ放したらキャパシターが一瞬で尽きるので、この艦もクアッドコアアクセラレータを利用している。
『アドアステラ級重巡洋艦を確認、敵艦隊前列、前衛艦隊後方に位置しています』
「突撃してこないだけ前回より学習したな」
アドアステラ級は重巡洋艦だが、その装甲はどんなに強化されていても薄い。
突っ込んで来たら、一瞬でお陀仏だ。
さあ、やるぞ!
あと一話で片付けないとな、尺の都合上....
メメタァ
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