179-『PVP』
かつて類を見ない数の爆撃艦隊を用い、俺たちは戦力の掃討に動き出した。
だが、これが思ったより厄介だった。
「くっ、中身はSSC経験者か...」
あの船、アドアステラ...ではなくグローリー級。
グラスター、バリンダス、メキステと続いたトーナメントのうち、メキステリーグで配られた、インペリアル級の改良型。
アドアステラは正確には船の名前ではなく、俺が妹にあれを渡す際にリネームした名前というだけだ。
さて、グローリー級は、どうやら中身はNoa-TunがやってきたSSCと同じゲームをプレイした経験があるようだ。
投射した爆弾をミサイルでしっかり撃墜してくる。
火力と比べても凄まじい連射力だ、こちらも欲しいくらいだな。
『第二艦隊、及びゲートの破壊を完了しました』
「よし、ツヴァイは第七爆撃艦隊を率いて第四アウトポストの制圧に回れ!」
「了解!」
いくらグローリー級が強くても、たかが一隻に出来ることなど高が知れている。
対してこちらは、失っても辛く無い爆撃艦隊で最良の結果を出せる。
誰だか知らないが、SSCでは個々の力より全の力がものを言うことを知るべきだ。
「アンノウン、第二爆撃艦隊を強襲しています」
「逃がせ!」
「了解!」
ヒットアンドアウェイ。
常にこれを繰り返し、グローリー級を主力艦隊から引き剥がしつつ、艦隊とアウトポストの交互に爆撃を仕掛けて損耗させる。
グローリー級の砲撃は強いが、超兵器のようなビックリ兵器をSNOの艦船は持っていない。
一隻、二隻程度失った程度で作戦に影響はない。
「主力艦隊、ゲートに向けて回頭しています!」
「回頭中は速度が下がる、一斉に仕掛けろ、旗艦を落とせ!」
「了解!」
ここは回避に努めて、逃げるのであればゆっくり曲がって速度を落とすべきではなかったが、グローリー級の艦長と違って向こうの指揮官は大した事がないようだ。
「旗艦の撃沈を確認」
「雑魚は放置! 順次グローリー級の位置を把握しながら...」
『ワープアウト反応、こちらの主力艦隊に向けて何かがワープアウトしてきます』
「“何か”じゃない、グローリー級だ。全主力艦隊、インクルージョンジャンプに入れ!」
『了解』
周囲の物体もまとめてジャンプさせる(ただしジャンプドライブ搭載艦は除く)インクルージョンジャンプを起動して、俺たちは主力艦隊を逃す。
ギリギリ間に合ったようで、宙域にはスキャンディスラプターと遮蔽装置を起動したプロトスカウターのみが残った。
直後、砲撃がスキャンディスラプターを貫き、粉々に破壊した。
全く...悪夢みたいな船だな。
「どうやって艦隊の位置を知ったんだ...?」
実質的な遮蔽状態の艦の位置を知ることなど不可能なはず。
だが、グローリー級はそれをやってのけた。
ただのセンサーじゃないな。
「第二アウトポストの破壊を完了」
「第一アウトポスト、破壊完了」
「特定した残存合流艦隊を撃滅しました、更なる残党も殲滅しました」
「適性反応少数、ただし領有権主張ユニット起動には至りませんでした」
直ぐに報告が上がってくる。
じゃあとは、惑星表面上の爆撃だけだな。
「ディーヴァ、ドライ。ガンズプライムの爆撃を...」
俺がそう命じようとしたその瞬間。
『ヤメロ!!』
どこからか、強い何かが飛んできた。
ぶん殴られたような衝撃を受ける。
「「「「「「『司令官!?』」」」」」」
「大丈夫だ...ガンズプライムを、爆撃しろ!」
視界がおかしい。
だが、指揮は続けられる...はずだ。
艦隊が動き出し、ガンズプライムの地表に向けて魚雷と爆弾の雨を降らせる。
地上にあった小規模な都市を粉々に粉砕し、地殻を破壊し、それを惑星全土に向けて行う。
徹底的な絨毯爆撃の間、俺はどこか遠くから誰かの悲鳴が聞こえてくるのを感じていた。
何なんだ、一体...
『ガンズプライムの破壊を完了しました』
「グローリー級は?」
『ガンズⅢの惑星軌道上に停泊したまま動いていません』
「わかった」
俺は何も言わずに戦闘指揮所を後にして、エレベーターのロックを解除。
戦闘指揮所の一個下にある、第二指揮所へ移動した。
「オーロラ、あのグローリー級に呼び掛けろ」
『了解』
あの船が俺の知るものである以上、ハメ殺す前に調べるべきことは調べておく必要がある。
俺はオーロラに命じ、グローリー級向けて通信を試みるのだった。
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