178-その艦の名は
攻撃を開始した艦隊だったが、そのうち防衛艦隊に派遣した味方軍艦隊に異常が生じ始めた。
『味方の損耗率が大きくなっています』
「何?」
あり得ないはずの事が起こった。
王国艦隊には、こちらのシールド/アーマー防御を抜くほどの打撃力は無いはず...
そう思ったが、事実何かが起きているのは確かだ。
「...主力艦を退避させろ、通常艦隊のみを残す」
『了解!』
主力艦は拿捕されるとまずい。
だがそれ以外ならば、最悪自爆させれば事が済む。
もとより技術奪取防止用のプロトコルは施してある事だしな。
だが、そうも言ってられなくなる。
『被害、更に増大!』
「何っ!?」
『突出した恐らく巡洋艦と思われるそれが、友軍を攻撃、撃破しています』
落ち着け。
俺はこの場の指揮官だ、俺が慌てていれば示しがつかない。
「スクリーンに投影!」
『了解です』
直後、スクリーンにその船の姿が露わになる。
この船は...何故、ここに!?
「全艦隊を下がらせろ! あれは...プレイヤーの船だ!」
『プレイ、ヤー...? それはいったい』
「俺たちと同じ存在だ、規格外!」
『承知いたしました!』
あの船は、昔俺がやっていたもう一つのゲーム、StarNovasOnline...通称SNOの艦船の一つ、グローリー級。
だが、そのカラーリングは...間違いない、そのカラーリングは...
アドアステラ!
かつてSNOの大会で優勝チームに配布された、世界でたった五隻しか無い限定船。
あの船に乗っているのは俺のゲームメイトなのか? それとも、船を譲られた別の人間?
何にせよ、あれはヤバい。
一隻あれば500人規模のフリート程度相手にもならない。
ワープ妨害をかけて最終兵器で囲んで叩けばワンチャンスある程度か、そのくらいの強敵だ。
何しろ、あの船は...あらゆる改造が施せるフレキシブルさが売りなのだから。
その船にかつて乗って旅したからこそ、俺にはアドアステラの強さが理解る!
「指揮官、あの船は一体...?」
「詳細は分からないが、俺の知識にある船と一致している。あれは、この世界最強の船だ」
明確には異なるが、そういう説明でいいだろう。
特にルルとネムは、最初からいるメンバーでこの世界の船の強さをある程度把握している。
「見た目は俺の知る船だが、武装が少し違う。改造を受けた上でとなると、雑魚では話にならない。主力艦で囲むしかないだろう」
『しかし、作戦を中断されることになりますが....』
「いいから全軍撤退だ、全員削り殺されるぞ」
『....了解です』
俺はすぐに、オーロラと指揮官たちに命じる。
「オーロラ、爆撃艦隊を準備して出撃、ミドガルズオルムで前線に飛ばせ。それから、前線に持ってきているスキャンディスラプターを起動して艦隊を隠せ」
『了解』
「指揮官全員はそれぞれ爆撃艦隊を指揮せよ――――あの艦を孤立させる!」
俺はとりあえず、アドアステラを孤立させる方向で動くことにする。
明確なやり方といえば、それくらいしか思いつかなかった....とも言う。
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